シリーズ累計300万部を超えるベストセラー絵本「あらしのよるに」。映画版などで主人公のオオカミ・がぶの声を務めた中村獅童さんが作品に惚れ込んで歌舞伎化した話題作が11月、博多座に上陸。原作者・きむらゆういちさんに絵本の魅力、歌舞伎作品の見どころなどを伺いました。
絵本「あらしのよるに」誕生のきっかけは? すべてのドラマや小説、映画には主人公がいます。主人公に感情移入して、ドキドキハラハラするのが基本ですが、この物語は読んでいる人だけが真実を知っている。主人公の2匹はお互いが食うか食われるかの関係である真実を知らないわけです。読んでいる人だけがドキドキする、主人公を見守りながら読む話は子ども向けの作品には少なかったので、書いてみたかったという思いがありました。 絵本が歌舞伎になると想像つきましたか? 今までも映画や舞台、人形劇になってきましたが、まさか歌舞伎になるとは…。日本の伝統芸能ですし、驚きましたね。私は事務所ではなく、なぜかファミレスで原稿を書くんです(笑)。当然ですが、ファミレスで書きながら、まさか将来歌舞伎になるなんて、当時想像だにしていませんでしたね。 2015年に京都・南座で初演、翌年には東京・歌舞伎座でも上演されました。観劇された感想は? 実は、あまり歌舞伎を見たことがなかったのですが、演出が面白く、がぶとめいの個性的な衣裳も自然に見えてくる。そしてしっかりと歌舞伎になっている。歌舞伎のために書いたんじゃないかと思えるくらい自然で、気付いたらその世界にハマり、ついつい感動しながら見ちゃいました(笑)。今まで僕が見た歌舞伎の中で『あらしのよるに』が一番面白い! 原作者も太鼓判を押す 歌舞伎版。ますます楽しみです。 がぶ役の獅童さんはもちろん、めい役の(尾上)松也さんもハマり役。博多座版は、より磨かれたベストな状態で開幕すると思います。楽しみにしていてください。 博多座11月公演 新作歌舞伎「あらしのよるに」
嵐の夜、真っ暗な小屋で出会ったオオカミ・がぶとヤギ・めいは、お互いの姿が見えないまま意気投合。「あらしのよるに」を合言葉に再会した翌日、お互いの姿を知った2匹は驚きながらも友情を育んでいく。 日時/11月3日(土)~11月27日(火) 場所/博多座(福岡市博多区下川端町2-1) 観劇料/A席15,000円、特B席12,000円、B席9,000円、C席5,000円 ※9月8日(土)10時から電話予約・インターネット発売開始。9日(日)10時から博多座チケット売り場でも販売。 お問い合わせ/博多座電話予約センター TEL.092-263-5555(10:00~18:00) Profile きむらゆういち 東京都生まれ。多摩美術大学卒業後、造形教育の指導やテレビ幼児番組のアイデアブレーンなどを経て絵本・童話作家に。主な著書に、累計300万部を超える人気絵本「あらしのよるに」シリーズ、累計1200万部の「あかちゃんのあそびえほん」シリーズなど。