子育てをしていると、ついつい怒りすぎてしまうことは誰にでもあるのではないでしょうか。言いすぎだとわかっていても止められない。感情の高ぶりを抑えられない。 私にもそんな苦い思い出があります。
小学4年生の長女を怒ってしまった
もうなにが原因だったかすらよく思い出せないのですが、わが家の長女が4年生の頃、ひどく怒ったことがあります。『叱る』ではなく、感情的に『怒って』しまったのです。
どうしても、どうしても許せなくて、感情がエスカレートして、
「もう帰ってこなくていい!!」と長女に言ってしまいました。長女はそっと家を出ていきました。
もう4年生だし、近所の友達の家にでも行くだろうと思って追いかけませんでした。顔を見ていると、際限なく怒ってしまいそうだったので、私が離れたかったのかもしれません。
長女はしばらく玄関前でうずくまって泣いていたようです。のちに近所のママ友から聞いたのですが、やっぱり友達の家に避難しに行ったそうです。帰れない理由を聞いたママ友が
「家に帰って、お母さんにあやまっておいで」と家に入れずに、送り出してくれたのだそうです。
しばらくして、長女はそっと家の中に入ってきました。すぐに私と顔を合わせるのは勇気がいったのか、しばらくトイレに閉じこもっていました。帰ってきたのはわかっていたけれど、
「ごめんなさい」と言ってくるまでは許す気はありませんでした。
トイレに書かれた「ごめんなさい」
あたりが暗くなりはじめたころ、ようやくトイレから出てきて、小さな声で
「ごめんなさい」とあやまってきた長女。
「ママも怒りすぎてごめんね」とあやまって、この件は一件落着しました。
でも、後日、トイレ掃除をしているときにあることに気がつきました。それはトイレのすみっこに小さな字で書かれた『ごめんなさい』の文字。長女の字でした。
長女はあやまりたくても、なかなかあやまれなくて、トイレでずっと泣いていたのでしょう。消え入りそうな文字に、長女のきもちが表れているようでした。その文字を見て、私は感情にまかせて長女を怒ってしまったことを激しく後悔しました。
今でも消さずに残しているトイレの『ごめんなさい』。今では油性ペンで書いたことを笑い話にできますが、怒りで感情的になったときは、トイレに入って、この『ごめんなさい』の文字を見て、冷静さを取り戻すようにしています。
トイレに入るたびに、『ごめんなさい』の文字が目に入るたびに、胸が締め付けられるような思いがしますが、『もう二度と、子どもにこんな思いをさせないように』という私への戒めでもあるのです。
(ファンファン福岡一般ライター)