モーニング娘。解散?! その時、リーダー中澤裕子は?【<突破>シリーズ第2回】

 実際に起きた驚きの突破劇を紹介するテレビ番組「THE突破ファイル」(FBS福岡放送)。ファンファン福岡では番組の放送に合わせ、福岡で活躍中のタレントさんの「突破」エピソードを紹介しています。

 第2回目は「モーニング娘。」の初代リーダー・中澤裕子さんに話を伺いました。聞き手は今回も、FBS福岡放送「バリはやッ!ZIP!」でおなじみの森洸(もり・ひかる)アナウンサーです。

出典:ファンファン福岡

シングル6枚目で訪れた解散の危機 森  今日はお会いできるのを楽しみにしてたんですよ。なぜかというと、高校時代にモーニング娘。のファンクラブに入ってまして。高校生のころ、地元の佐賀から電車に乗って福岡サンパレスのコンサートにも行ってました。大ファンでした! 安倍なつみさんの!! 中澤 も~(笑)、そうでしょ? ありがとうございます。

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森  では本題に。まずはモーニング娘。時代、一番の危機は何でしたか? 中澤 デビューまでの道のりはいろいろありまして、そこは(オーディション番組の)「ASAYAN(アサヤン)」を通じてたくさんの方がご存じかなと思いますが、デビューしてからの危機というと、シングル6枚目で「ふるさと」をリリースしたときですね。セールスが伸び悩んで・・・。 モーニング娘。と、とあるアーティストさんのどちらが順位が上かと競っていて、私たちが負けたんですよ。CDを買ってくださったファンの方にはもちろん感謝していましたが、そのときにマネージャーさんから「次の曲でヒットが出せなかったらもう解散です」と言われて。 森  ほかのメンバーも言われたんですか? それとも中澤さんがリーダーだから? 中澤 ほかのメンバーが言われたかどうか、確認はしませんでしたね、ほかのメンバーとは年齢も違いますし。モーニング娘。としてCDを何枚か出して紅白にも出させてもらっていたので、「解散になってもいいや」と思ってもよかったのかもしれないですけど、やっぱり“結果が振るわなかったら解散”って嫌じゃないですか。 森  誰かに相談したりしましたか? 中澤 全くしなかったですね。もともと誰かに相談して解決するタイプではないし、芸能のことを誰に相談していいのか・・・。親も分からないし、当時は芸能人の友だちもいないし、プライベートがほんのわずかだったのでメンバーとは仕事の場所から離れると連絡も取り合わないし。「リーダーだからまとめろ」と言われていましたけど、何をまとめればいいんですか?と。

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森  あのときASAYANを見てて、「“中澤姐さん”怖いんだろうな」と思ってましたが、やっぱり怒ってましたか? 中澤 年齢は違っても芸能のスタートは一緒なので、芸能のことは分からないことは分からない。でも挨拶だったり、ちょっとした礼儀だったりは、言ってましたね。 私、せっかちで、「靴は脱いだらすぐ直す!」みたいなテンポ感があるんですよね。悪気はないけど何気ないひと言が怖かったことはあると思うし、今になっても「本当に怖かった」と言われる・・・。「怖くなかった」といってくれる人はいないですね(笑)自分もピリピリしてるから優しくなれないんですよね。焦ってる分「自分がちゃんとしないと」と、空回りしてたところはありますよね。マネージャーさんがスパルタだったので、その影響もあります。

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「LOVEマシーン」の大ヒットがなかったら今はなかった 森  人知れず泣いたりとか、あったんですか? 中澤 しょっちゅうですよ(笑)。でも、そういうのが伝わらないようにしてたんです。つらいとか言いたくないし、そんな風に見せたくないので。 「次の曲でヒットが出せなかったら解散です」と言われて、どうなるんだろうと思っている中で、また追加オーディションがあって、新メンバーの後藤真希が入ってくるんですけど、いろんな偶然が重なって(シングル7枚目の)「LOVEマシーン」でとんでもない現象が起こりました。世の中の皆さんの反応もガラっと変わりました。最初の危機は、LOVEマシーンに出合ってなかったら乗り越えられていなかったでしょうね。解散していたでしょうし、今はなかったと思います。自分たちも驚いてました、こんなことが人生で起こるんだと。 森  中澤さんがリーダーとして、危機を乗り越えるためにしたことってありますか? 中澤 LOVEマシーンをリリースしたあとに石黒(彩)と市井(紗耶香)の卒業が続いて、その間にも4期メンバーが入ってきたり。メンバーがどんどん増えて、年齢差も開いていって-。その中で、辻(希美)、加護(亜依)の存在は大きかったですね。私はあの子たちを“怪獣”って呼んでるんですけど(笑)、この子たちをどうにかしないと、とさらに厳しくはなりました。カメラが回っているところで騒いでたりすると「いいかげんにせい!」と怒ってましたね。当時、辻、加護は小学校を卒業したばかり。「静かにしなさい」と言ったってできるはずがないと今なら思うんですけど、でも仕事だから「いいよいいよ」とは言ってあげられない。あの子たちが私の本気度スイッチを押してくれたかもしれない。私も“卒業”を考えていたので、このままの状態ではだめだ、放置しておけない、と。リーダーじゃなかったら何の責任感も持たなかったかもしれないですね。

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森  もともと人を引っ張るタイプだったんですか。 中澤 違いますね。1人でいたい、群れたくないタイプです。でも、この世界に入る、モーニング娘。としてやっていくと決めた以上は、協調性は必要だし、リーダーになれと言われたら頑張るしかない。マネージャーやスタッフが、役を与えたら頑張ってくれると思ったのかもしれないですね。 森  もう一度モーニング娘。のリーダーをやるとしたら、同じことをやると思いますか? 中澤 同じことやると思いますね。あれが私のやり方なので、こんなに大人で母親になっていますけど、この年齢でリーダーに戻ったとしても同じやり方をしていると思いますね。 35歳を過ぎて頭をよぎった“引退”の2文字 森  中澤さんといえば、福岡に拠点を移されたのもびっくりしました。

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中澤 「危機」として考えるのであれば、35歳を過ぎてちょっと仕事も不安定でそんなに忙しくなくて、この仕事もこれまでかなと思うときがあったんですね。ここでしがみつくのかやめるのか-。でもやめてもやりたいことがないし、どうするんだろう、と2、3年もやもやとしてました。 そのころ、なっち(初期メンバーの安倍なつみさん)が「もう1回みんなとステージに立ちたい」と言ってくれて。それで(モーニング娘。OBで結成する)「ドリームモーニング娘。」の活動が始まるんですね。 なっちに言われて、「あんたがやるならやるわ」と気持ちが固まったのが37歳のとき。そこからもう一回頑張ろうと思って丸1年活動するんですが、「もうやり残したことはない」とすごい充実感がありました。

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その終わりのころに結婚の話も出てきたんですが、当時付き合っていた夫に「ドリームモーニング娘。をやりきったら次のステップに行けるから、そこまで待ってくれるのであればぜひ結婚してください」と言って、活動をやりきって、今現在、福岡にいます。 次のステップとして、結婚生活が始まって、母になり、福岡に拠点も移し、このままフェードアウトしてもいいと、そのときは仕事がなくなってもいいと思って福岡に来ました。 森  福岡でも仕事をやりたいという思いはありましたか。 中澤 ありました。でも何のつてもないし。縁もゆかりもないので、欲張らずに主婦として母として福岡で新しい生活を始めるのを第1の目標としてやってきましたね。福岡で「めんたいワイド」に出られるのが決まったときは、続けてやらせてもらえるように全力でやりました。そしたら、出産でお休みをいただいたあとも使ってくだって、もう本当に一生足を向けられないです。 森  縁もゆかりもない福岡に来て、不安はありませんでしたか。 中澤 全くなかったです。仕事もない、知り合いもいない、親戚もいない-。でも不安は1ミリもなかったです。それが私の人生というか。この年齢で一から積み上げていけることの方が貴重すぎて、こんな経験をこの年齢から始められるんだと思ってました。福岡に引っ越すときは東京から車で来たんですが、車で関門海峡を渡ったときに「行くよ~! 渡ったよ~!! 九州入った~!!!」みたいな。大騒ぎしてました(笑)

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森  そのくらいの年齢のときって、どういうモチベーションで乗り切ってきたんですか。 中澤 モーニング娘。デビューが24歳のときですけど、「モーニング娘。になるために生まれてきた」と思ったんですよね。幼い頃から夢はありましたけど、100%無理だと思う夢だったので。 3年3カ月でモーニング娘。を卒業するんですが、それからハロプロ(ハロー!プロジェクトの芸能活動)にかかわったときも「このために生まれてきたんだ」という気持ちを持ち続けて活動してきました。 でも娘が生まれるときには「違う! 私はこの子を産むために生まれてきたんだ!!」と思って(笑)。私、単純なんですよ。 プラスもマイナスも、全て前向きに捉えられるようになってきました。福岡に来てからは本当に前向きですね。ネガティブな言葉は口に出さない。嫌だなと思ったときも「嫌じゃない」と口にしてみたり。想像できないことがたくさん起きますけど、まずは全部受け入れる。それが乗り越える秘訣かなと。 森  勉強になりました。ありがとうございました。 ◆「THE突破ファイル」 次回の放送は11月22日(木) 午後7時~

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