結婚記念日の前夜、7歳の息子が突然工作を始めました。就寝時間になっても工作をやめない息子に、怒鳴り散らす私。いったい何を作っていたのか、翌日確認してみると思わず涙が…。怒鳴ってしまったことを後悔、そして息子の優しさに触れ感動したエピソードをお伝えします。
明日は結婚10周年記念!
ふとカレンダーを見ると、明日は「結婚記念日10周年」と記してありました。もう10周年か、過ぎてみればあっという間だけれど、濃密な時間を過ごしてきたなあ…。 物思いにふけっていると、7歳の息子が
「どうしたの?」と聞いてきました。
「明日はお父さんとお母さんが結婚して、ちょうど10年がたつ日なのよ」と伝えました。しかし息子は、結婚記念日という言葉にピンときていない様子です。
部屋を散らかしながら工作を始める息子
その日の夜の出来事でした。いつもならテレビを見ながらくつろぐ時間帯に、息子が何やら工作を始めたのです。捨てる予定の段ボールや空き箱などをクローゼットから引っ張り出し、部屋は散らかり放題。割りばしや折り紙、油性マジックなどを使い、いつになく真剣な様子で工作に取り組んでいました。
「もう夜遅いから、続きはまた明日にしよう」と声をかけましたが、息子はまったく聞いてくれません。
就寝時間の夜9時を過ぎても、一向に止めようとしません。部屋を見渡すと、段ボールの切れ端やガムテープのくずなどが散乱しています。なかなか寝ない、ますます散らかる状況にイライラした私は、
「もういい加減にして! 早く寝なさい!」と息子に怒鳴ってしまいました。それでも聞いてくれないため、諦めて放置することに…。
予想だにしなかった息子からのプレゼント
工作を開始してから約1時間、やっと作品が完成したようです。どんな作品が出来たのか見に行こうとすると、
「絶対に見ちゃだめ! 明日見て」と言い、急いで作品にバスタオルをかぶせていました。疲れた息子は、すぐにグッスリと夢の中へ。作品が気になりましたが、明日を楽しみに待つことにしました。
翌朝、家族の誰よりも早く起きた私は、息子が作った作品をコッソリ見てみることに。ゆっくりバスタオルをめくると…。
「おとうさん、おかあさん、けっこんきねんびおめでとう」
そこには不器用な文字が書かれた段ボールが置いてありました。その瞬間から私の目頭はカッと熱くなりました。一生懸命に作っていたのは、結婚記念日のプレゼントだったのです。なかなか工作を止めない息子に怒鳴ってしまったことを、とても後悔しました。
思い出深い結婚記念日10周年に
段ボールの中身を開けると、折り紙で作った色とりどりの花や、割り箸と厚紙で作った手作りうちわなど、手作り作品がたくさん詰まっていました。一つ一つ作品を手にとっていると、あふれんばかりの涙が出てきます。
親の知らない間に、優しい心が育っていることを感じ、息子のことがいとおしくてたまりませんでした。 朝起きてきた息子に怒鳴ってしまったことを謝り、ギュッと抱きしめました。
「一番うれしい結婚記念日のプレゼントだったよ」と言うと、息子は照れ笑いしていました。
親が子を愛するように、子も親を愛してくれています。そのことを実感できた、とても思い出深い結婚記念日10周年になりました。
(ファンファン福岡一般ライター)