息子が小学4年生の時、クラスで仲間外れにされている男の子がいました。その子は少し発達障害がある子で、感情を抑えるのが苦手で突然泣いてしまうこともあったそうです。息子とその子は同じ幼稚園出身。初めて小学校で同じクラスになり、その子が嫌がらせをされていることに気づきました。そこでかばったところ、いじめの矛先が息子に向いたというのです。
帰宅後、息子の様子がおかしい
私は専業主婦なので、毎日息子たちを家で迎えます。その日は、いつも首から下げている水筒のひもを握りしめて息子が帰宅しました。なんとなく違和感を感じたものの、その時はまだ私は何が起こったのか気づけませんでした。
いつもキッチンに水筒をおいているのに、なぜか持ち歩いている息子。なんとなく
「なんで水筒持ち歩いてるの? 洗うから貸して」と話しかけました。
「なんか紐が切れたからテープで貼ったけど、首からかけると取れちゃうから、これからは手で持っていくわ」と言って気まずそうに差し出す息子。私はすぐにピンときました。そもそもまだ新しい水筒の紐が切れるわけがない。
テープをはがすと、明らかにはさみで切ったようなキレイな断面。私に隠そうとした息子を思うと悲しくなりました。
いじめの矛先が息子に
本当のことを聞かせてと息子に問い詰めると、息子は少し困ったような顔をして話してくれました。
「友達がいじめられたから、僕が守ってあげたんだ。そして体育が終わって、お茶を飲もうとしたら紐が切れてたの。ママが悲しい気持ちになるから言いたくなかったけど… ごめんね。紐が取れないように力持ちのパパに結んでもらおうかな」
私は涙が出てきました。息子は何も悪くない、それなのにこんなに傷ついて辛い思いをしている…、私は先生に言っていじめっ子の親御さんに話をきいてもらおうと思いました。すると息子が
「僕は大丈夫だから。何もしないで」と言うのです。私も黙っていられなくて
「だって何も悪いことしてないのにこんなに辛い思いをするのはおかしいよ! 先生に怒ってもらったほうが良くないの?」というと、息子は
「明日僕が先生に言うよ。だからママは何も言わないで」と言うのです。
その夜夫に相談したら
「水筒の件は見過ごせないけど、男の世界も色々ややこしいことがある。自分で解決するというなら出来るところまで見守ろう」と言われました。
自分で行動を起こした息子
翌日、息子は晴れた表情で帰宅しました。
夫が固く結んだ水筒を下げて
「この水筒を昼休みに先生に見せたら、5時間目を学級会にしてくれて話し合ったよ。僕が本当のことを話したら、先生が驚いていじめっ子たちを叱ってくれた。みんな謝ってくれたよ。だから自分で先生に言ってよかった!」と嬉しそうに話しています。
すると担任の先生から電話がかかってきました。先生は気づかずにいたことを謝っていました。実際私も水筒の件がなければ気づかなかった話。先生には今後も見守ってもらうようにお願いしました。
いじめっ子の親御さんからも謝りに行きたいと電話がかかってきましたが、それはお断りしました。ただ「今後このようなことがあったら困る」ということだけはしっかり伝えました。
あれから私の知る限り、いじめはないようです。息子も強くなり、今となっては息子の経験値になったとさえ思える体験でした。
これからも弱い者に優しく、強い者に強い息子でいてくれたら嬉しいです。
(ファンファン福岡公式ライター / まぁこ)