高畑淳子さんと榊原郁恵さんが語る、博多座公演「雪まろげ」への思い

 うそつき女を演じてみたい―。森光子さんのそんなリクエストから、1980年に誕生した傑作喜劇「雪まろげ」。高畑淳子さん主演で2016年に復活した新演出版が博多座に初登場します。つい調子の良いうそをついてしまう芸者・夢子を演じる高畑さん、芸者仲間でお金が大好きな銀子を演じる榊原郁恵さんに作品への思いを聞きました。

出典:ファンファン福岡

— 待望の博多座公演。今から楽しみです。 高畑 博多座の舞台に立つのは初めてですが、福岡は芸事に関してフットワークが軽く、客席の反応も温かい。キャストも、新演出版の初演時のメンバーがほぼ集まってくれて本当にうれしいです。信頼感も高まり、さらに良い作品になるかと思います。 榊原 私は2度目の博多座ですが、舞台上から客席を見るのが素晴らしく心地いい。ちょうちんが飾ってあって、お座敷のようで。芝居小屋という雰囲気なので演じる側は入り込みやすい。また、博多のお客さまは観劇上手でもあるのでしょう。舞台に立つ前の不安を一瞬でかき消してくれて、とても気持ちよかったのを覚えています。終演後はおいしいものが迎えてくれるので、次の日も頑張ろうと思わせてくれる街ですね。私は舞台に立つと痩せるのですが、博多座公演では痩せなかったです(笑)。 — 「雪まろげ」の見どころは? 高畑 小さな雪玉を転がしているうちに、どんどん大きくなっていく…という様を東北の方では“雪まろげ”と言うのだそうです。青森・浅虫温泉を舞台に、私が演じる夢子がついた“ちょっとしたうそ”が雪まろげのように、どんどん大きくなっていく騒動を描きます。風変わりで個性豊かな芸者たちの掛け合いが大きな見どころです。 榊原 高畑さんの爆発的なエネルギーもこの作品の大きな魅力。 高畑 榊原さん演じる銀子がとっても色っぽい。とあるシーンの氷のような表情をした横顔がきれいでねぇ。メークさんに同じ口紅をもらえませんかと言ったことがあるくらい(笑)。 榊原 え~本当?

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— 森光子さんから役を引き継ぐことが決まったときの率直な思いを。 高畑 プレッシャーもありましたが、うれしさの方が勝ってましたね、稽古に入るまでは…。森さんはひら~りひら~りと、とても軽やかにうそつき女を演じられますが、いざやってみると一筋縄ではいかない。歌も踊りもあるし、あ~大変、 あ~大変(笑)。森さんがご高齢で演じられていたのが信じられません。

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— 「雪まろげ」のキーワードは“うそ”。今までについた印象的な“うそ”は? 高畑 高校生の時、よく母のまねをして髪の毛を巻いていました。パーマ禁止でしたので、先生に「なんだその頭は!」 と怒られながらも、「私天然パーマになったんです~」と。水泳部だったので、泳いだら直毛。うそをつき続けるのは、しんどかったですね(笑)。 榊原 う~ん思い付かないなぁ。でも大人はうそつきだと思った衝撃的な出来事を覚えています。着せ替え人形を親戚のおじちゃんにもらったのですが、洋服がワンパターンしかなくて。今度、人形のストッキングを買ってきてもらう約束をしたのですが、待てど暮らせど持ってきてくれない(笑)。大人はうそつきだと。うそをつくような大人になりたくないなって思ったのを覚えています。だって今でも根に持ってるんだもん(笑)。 — 最後にメッセージを。 榊原 夢子のうそに踊らされる、周りの一人一人がどこか温かく楽しく、ほっこりとさせてくれる心地良い喜劇です。さまざまな目線で楽しんでいただけると思います。 高畑 生きるのがちょっぴり下手で、転びながらも生きていく、愛すべき人たちばかりが登場する作品です。津軽弁で書かれた素敵な詩も登場します。東京での初演時、カーテンコールで観客全員が総立ちになった日が忘れられないんです。博多での公演、もちろん食べ物も楽しみですが、あの“味”を今度はぜひ博多座で味わってみたいですね。

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<プロフィル> 高畑淳子(たかはた・あつこ)  1954年生まれ。香川県出身。2003年「越路吹雪物語」で菊田一夫演劇賞、04年読売演劇大賞女優賞など数々の演劇賞を受賞。今月始まったNHK連続テレビ小説「なつぞら」にも出演。 榊原郁恵 (さかきばら・いくえ)  1959年生まれ。神奈川県出身。1976年、第1回ホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞し、翌年「私の先生」で歌手デビュー。主な出演作は、舞台「舞妓はレディ」「ノイズ・オフ」「サザエさん」など。 <榊原さん> ◎ワンピース ADELLY 電話:03-6228-7275 ◎リング トランジット アクセサリー 電話:03-5772-4781

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