こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの伊藤志保です。 政府や民間企業の働きかけによって、キャッシュレス化が少しばかり進んできているように思う今日この頃ですが、皆さんは利用していますか?
世の流れに押されるように、私自身の日常生活はほぼキャッシュレスへと移行しました。が、家庭内では現金のやりとりが求められることも多いため、夫や子どもにも挑戦してもらうことにしました。
コンビニでQRコード決済に挑戦
まずは私がスマホでQRコード決済をする様子を見せるところから、家族へのレクチャーが始まります。 そこで、コンビニに出掛けました。 QRコード決済は、クレジットカードと違って子どもでも利用することができます。それは今流通しているお金がデジタル化されたものにすぎず、現金と同じように子どもでも使えるというわけです。 子どもにとって特別ではなく、いつでも使えるようになってほしいと考え、どこにでもあるコンビニでQRコードによる支払いを体験してもらいました。 まず私がやり方を見せて、その次は子どものスマホに実際にお金を送金しました。決済アプリに送金されると、そこに送金額が表示されます。それを見て、夫も子どもも「ふ~ん」といった乾いた反応です。 気を取り直して、「実際に使ってみる」ステージへ進みます。子どもには使い方とどこで使えるかを教え、これまで以上にスマホをしっかり管理するように伝えてレクチャー終了しました。 数日後、子どもから「QRコード決済使ってみたよ」という報告がありました。ちょっとドキドキしたようですが、何の問題もなく買い物ができた様子です。店員さんから何か声を掛けられるということもなかったようです。
決済アプリで夫から子どもに送金
さて、次は別の決済アプリに挑戦しました。今度は夫が、子どものスマホに1000円送金しました。 わが家は、働かざるもの食うべからずではないけれど、子どもにお小遣いを渡していません。ですから子どもにしてみれば、棚ぼた式に手にしたお金です。 うれしかったようで、早速QRコードを使ってアイスを買ったそうです。支払った時の音がかわいかったとも話してくれました。 というわけで、QRコード決済の使い方は夫も子どもも早々に習得しました。 そして、私たち夫婦間でもお金のやりとりは決済アプリを利用する機会が増えてきました。例えば、「○○でパンを買ってきて」なんてときには決済アプリでお金を送ります。まるでメッセージを送るかのように、瞬時に相手に届くのは快適なものです。そしてそれをわざわざ現金化することなく、その決済アプリで買い物をして支払いまで済ませることができました。 結構大変なお金のやり取りが、随分軽やかにスマートになりました。
キャッシュレスは子どもの教育上良くない?
ところで、キャッシュレスは子どもの教育には良くないとしばしば言われます。例えば、お釣りの計算ができないとか、お金の価値が身につかないというものです。 でも恥ずかしながら、私自身、計算は大の苦手です。暗算なんてまずすることはありません。ファイナンシャル・プランナーは数字に強いのではと思われがちですが、計算に強いことと数字に強いこととは意味がまるで違うのです。 計算が速く正確にできるのは素晴らしいことですが、電卓でできることは、AIがとって代われることでもあります。それ以上にその数字が意味するもの、数字から読み取れるものに気づけることを私は重視しています。 そしてお金の価値はお金そのものの価値ではなくその先にある商品やサービス、そこに生まれる経験や感情にこそ価値があると考えています。お金は万能で、増やすことも貸し借りすることもできます。お金は価値があると思われがちですが、ツールにすぎないからこそ形や大きさの違いで感じ方の変わる現金よりも、ただの数字としてお金を見るくらいでちょうど良いのではないかと感じています。 宝くじの高額当せん者に自己破産者が多いという話があります。お金ではなく、その先にあるものに目を向けることができれば、きっと当せん金も生きた使い方ができるのだと思います。 もちろん、キャッシュレス化の弊害やデメリットはあります。今はまだ、現金でもキャッシュレスでも好きに選べる時代です。無理強いするつもりもありません。ご自身の考え、家庭の方針に合った方法で利用してください。くれぐれもただ流される、ということだけはありませんように。