結婚式は、今まで他人だった者同士が家族・親戚となり、交流を深める大切な儀式です。しかし、この結婚式を迎えるまで新郎・新婦は、とても大変な気苦労を重ねます。今回は、そんな気苦労が絶えなかった兄夫婦の、結婚式で起こったびっくりエピソードについて紹介します。
兄が連れてきたお嫁さんは…?
ムシムシと暑い夏のある日のこと。突然、兄が彼女を家に連れて来て、両親に結婚したいと告げました。そのときの兄の年齢は30歳。年齢的に将来を心配していた両親にとっては「これで安心だ」と言わんばかりに大喜びで承諾しました。
しかし、何とこのとき彼女さんは、高校を卒業したばかりの18歳。しかも、妊娠5カ月だったのです。そのことを知った両親は
「おなかが目立たないうちに全てを終えないといけない!」と大慌て。
「向こうへのあいさつはどうする?」
「結納はいつがいいか」など、両親の顔は青ざめていました。
できるだけ物事を穏便かつ素早く済ませるためにと、兄が彼女さんの家へあいさつに行く際は、わが家の両親も一緒に行くことになりました。そして、両親の口から妊娠していることを伝え、結婚についてもお願いすると、彼女さんのご両親もびっくり。
しかし、反対しようにもすでに妊娠5カ月なので、もう産むしかないと彼女さんの両親はしぶしぶ承諾しました。そんな様子で、両親へのあいさつから1カ月もしないうちに、兄と彼女さんは結婚式を挙げることとなりました。
結婚式で事件発生!
結婚の喜びをかみしめる余裕もなく迎えた結婚式当日のことです。急だったこともあり、結婚式は身内のみで私は受付を担当することになりました。そこで私は一生忘れることができないほどの驚きの光景を目にしたのです。
せっせと受付作業を行っていると、1人の男性が不満そうな表情で受付に向かって歩いてきます。一見フォーマルスーツを着ているので見逃しそうでしたが、何と結婚式なのに黒いネクタイをしているんです。その異様な様子に気づいた人は、みんなザワザワしています。
しかも受付まで到着して間近で見ると…。
その男性は、革靴も左右ちぐはぐのものを履いているではありませんか。
記帳をし始めるその男性。名前を見ると、彼女さんと同じ名字です。私が何と声をかけていいのか迷っていたところ、慌てた様子で彼女さんの両親がその男性に近寄りました。
「A(男性の名前)! 今すぐ家に戻りなさい! 何なのその服装!」
彼女さんのお母さまがその男性の腕をつかみ結婚式場を出ていきます。その様子に一時ロビーは騒然となりましたが、その男性は何とか結婚式が始まる前に白いネクタイと左右同じ革靴で戻ってきました。
しかし、披露宴の席でも
「俺は認めない! 2人の結婚を認めない!」と何度も言っていたため、結婚式の空気は終始変な空気が漂っていました。
結婚式後、家に帰ってから聞いた話ですが、何とその男性は彼女さんのお兄さんだったようで、妹の「授かり婚」にどうしても納得できなかったそうです。その結婚に賛成できない気持ちを、ネクタイと革靴でアピールしたとのことでした。
義兄をデレデレにさせたのは?
その後、彼女さんの実家へ行くたび兄は気苦労が絶えませんでしたが、何と彼女さんのお兄さんは、赤ちゃんが生まれたとたん人が変わったようにデレデレおじさんに変貌したそうです。
それにしても、あんなに怒っていたおじさんさえも、デレデレにさせてしまう赤ちゃんのパワーって本当にすごいですよね。あれから十数年、赤ちゃんだったあの子の誕生日が来ると、私は毎年この結婚式の出来事を思い出します。
(ファンファン福岡一般ライター)