元プリンスホテルシェフが作る大ボリューム飯【ビッグ鯛はのぼる】

 サンセルコ(福岡市中央区渡辺通)の地下飲食街でひときわ目を引く大量のポップが目印の定食屋「ビッグ鯛はのぼる」。おいしくてボリュームたっぷりだといううわさの店舗へ行ってきました。

遠くからでもすぐわかる! 大量のポップ

出典:ファンファン福岡

 地下飲食街へ向かうとすぐに目に入ってくる手作りのポップ。メニューの写真が貼られ、説明が書いてあります。  店内はカウンター席とイス、テーブル席合わせて15席ほど。出迎えてくれた店主の尾方登さんの笑顔にひかれ、カウンター席に腰を下ろします。  「何にしますか?」とにこにこ顔の尾方さん。オススメを聞くと「初めての人が頼むのはだいたい豚のショウガ焼きかカレーやねえ」と言います。居合わせた常連のお客さんも「週5日くらいで通っていますけどほぼカレーを頼んじゃうんですよね」とのこと(週に5日はすごい!)。じゃあカレーに…と思ったところで「でも7割くらいのお客さんはショウガ焼きを頼みますかね!」と尾方さん。むむ、悩ませてくれますね。

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 では7割のお客さんにならって、「豚ロースしょうが焼き定食」(590円)を。実際に使用している肉を見せてくれたのですが、大きい! 15cmはありそうな豚ロースを大体6枚使用するというので食べきれるかな、と少し不安に。 ずらりと並ぶ炊飯器

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 「すぐ出来ますので、その間にご飯とかみそ汁を取っておいてね」と言われ、ずらりと並んだ炊飯器の前へ。「炊きあがったばかりのご飯が左から2番目よ」と、調理中なのにどこに目が付いているんだろう…とびっくりしつつ、教えてもらった炊飯器を開けるとほかほかのご飯が。1日に8升は炊くといい、「お昼時は炊くのが間に合わないこともあるんですよね」と笑います。なんとご飯は3杯、みそ汁は2杯までおかわり可能だそうです。それはなくなるのも早いはずですね!  ところでみそ汁は? 「それも炊飯器の中です! 右から2番目がみそ汁ね」

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 本当だ、開けると熱々のみそ汁が! 「すぐなくなるので保温もあんまり意味がないんですけどね」と笑う尾方さん。 お店の由来は?

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 ショウガ焼きを待っている間に尾方さんとおしゃべり。まずはその特徴的な店名について尋ねると「実は店を始めたころははたい焼きをやっていたんです。それも普通のサイズじゃなくておっきいの。30cmはあったかなあ。それで奥さんが『ビッグ鯛』は『のぼる』がやっていますっていうことでビッグ鯛はのぼるにしようって」  なるほど、店名はそのころの名残なんですね。サンセルコの地下入り口にある看板を見てみると本当だ! まだここには「たい焼き」の文字が残っていました。

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 たい焼き屋を始めようと思ったきっかけは、近所の子どもたちのひとことがきっかけだったとか。若い頃から料理が好きでプリンスホテル(現・横浜プリンス会館)でシェフを務めていた尾方さんは、近所の子どもたちによくお菓子を作っていたそうで、そのお菓子も好評だったのですが、ある日「たい焼きが食べたい」というリクエストが。  「作ったことはないけど、見よう見まねでなんとかできるだろう」と試作したところ、これが大不評! 「おじちゃん。まずい」と子どもならではのシンプルな言葉に尾方さんは燃えたそうです。「絶対においしいと言ってもらう!」と、そこから数々のたい焼き屋をめぐり、作り方を教えてほしいと頼み込み、断られた時はじっと見て技を盗んだといいます。  そうしてできたたい焼きを、「おいしい!」と言ってもらえたときに、もっとたくさんの人に食べてほしいと思い、たい焼き屋をスタート。普通のたい焼きじゃ面白くないと「ビッグ鯛」にしたそうです。 そして定食屋へ

出典:ファンファン福岡

 ところがこのたい焼きもお客さんの「おいしいけどずっとたい焼きばっかりは食べきらんねえ。定食とかちょっと作ってやらんね」という一言で終わりを迎えることに。なんと7カ月でたい焼き屋は定食屋へと転身します。「お客さんに言われるとどうしても答えたくなってしまうんですよね」と尾方さん。せっかく特注で造った30cmのたい焼きの金型も破棄したそうですよ。  そして始めた定食屋で、元プリンスホテルの洋食シェフの手腕を存分に振るいます。手書きのメニュー表は奥さん作。昨年亡くなってしまったという奥さんが大好きだった尾方さんは、「今でも悲しいけど、このメニューに囲まれていると奥さんが(そばで)見てくれているような気がします」とほほ笑んでいました。 甘めの味付けがたまらない!

出典:ファンファン福岡

 温かい尾方さんの人柄に触れて、ほっこりしているといい香りがするショウガ焼きが出てきました。自分で作るような薄い豚バラ肉のショウガ焼きではなく、しっかりと分厚い豚ロースに白ごまがふんだんにかかり、目玉焼きと昔懐かしいナポリタンが付いてキャベツもたっぷりと盛られています。鶏肉のフライも2個のって、ボリュームたっぷり!

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 「あったかいうちにどうぞ」という言葉で、一旦、話をストップしていただきます。お肉を一口かじると九州の人間にはうれしい甘味のあるしょうゆの味に、すりおろしたショウガの風味がぶわっと香ります。白ごまの香ばしさと食感がいいアクセントになっていて白米をわっとかきこみたくなる衝動に駆られます。

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 みそ汁も白みそが少し多めの合わせみそで、やさしい味わい。白米と肉を交互に堪能しながら時折懐かしい味がするナポリタンをはさみ、あっというまに平らげてしまいました。肉の食べ応えがあって、しっかりと「お肉を食べた!」という満足感があります。  食後に1杯付いてくるアイスかホットか選べるコーヒーを飲みつつ、尾方さんとの話を再開します。 こちらもオススメ! 大エビフライカレー  話している間にもう1組、お客さんが来ました。こちらのお客さんは、以前ふらっと立ち寄った際に食べた「ビーフカレー」(490円)がおいしくて「ぜひこのおいしさをみんなに知ってもらいたい!」と奥さんと友人を連れだって来たといいます。

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 「前回食べたカレーが本当においしかったので、今日もカレー。でも今日はエビフライを付ける!」と「大エビフライカレー」(890円)を注文していました。  「カレーは先にこれにご飯を載せてくださいね」と大皿を手渡す尾方さん。なるほどご飯の量を食べる人が自分でよそって調節できるのはカレーも変わらずなんですね。  「このくらいで」と手渡すお客さんの皿を見て思わず「えっ! 少ない、足りますか?」と余計なお世話を焼いてしまいましたが、前回もカレーを食べたというお客さんは「いやいや、これが意外とすごい量になるんですよ、このくらいでいいんです」とにやり。  出てきたカレーを見て納得です。エビフライが5尾のっていてボリューミー。大エビフライというだけあって、15cm以上はありそうな大きなエビフライがこれでもかと載ったカレーは、メニューの写真で見るよりもなんだか豪華。  「うちはメニューより豪華な料理を出すことにこだわっているので!」と尾方さん。「出てきた料理が、写真で見たものよりも質素だと悲しくなるじゃないですか」と言います。「お客さんが驚く顔を見るのも楽しみなんです」  お客さんにエビフライの感想を聞くと、「衣はさっくりとして、中のエビがぷりっぷりです。ビーフカレーがいいソースになってます」とのこと。次はこれにしようと固く心に決めました。 「ビッグ鯛」舞台化  実は尾方さんと「ビッグ鯛はのぼる」が来年の夏、米・ニューヨークで舞台になるそうです。お客さんにニューヨークで活躍している舞台監督が居て、尾方さんの話を聞いているうちに、「あなたを主役に舞台をつくりたい」と熱望したのだそうです。

出典:ファンファン福岡

 日本での公演は未定と言いますが、すっかり尾方さんのファンになってしまったので、ぜひ見に行きたいと思いました。 「尾方さんはニューヨークまで行って観劇するんですか?」と尋ねると、「いや、お店があるので行きません。年中無休でやっていますからね」  いつも笑顔の尾方さんとボリュームたっぷりの本格派料理が味わえる「ビッグ鯛はのぼる」。ぜひ足を運んでみてください。

ビッグ鯛はのぼる

住所:福岡市中央区渡辺通1-1-1 サンセルコ地下1階 電話:092-713-8708 営業:10:30~20:00 無休

施設名:ビック鯛はのぼる
住所:福岡県福岡市中央区渡辺通1-1-1サンセルコB1F

※情報は2019.6.13時点のものです

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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