福岡市地下鉄箱崎宮前駅から徒歩約7分、粕屋総合庁舎前信号そばの古民家ベーカリー「粉の実(こなのみ)」(福岡市東区)。2008年にオープンし約3畳の小さなスペースでパンを販売していた同店が、20年7月にリフォーム。カフェメニューが楽しめる広々した店に生まれ変わり、話題になっています。※価格は全て税別
優しい味わいのソフト系パンが並び、カフェメニューも人気
「もともとこの建物は、夫の祖父であるガラス細工士の小川勝男が博多チャンポン(ビードロ)を作っていた工房でした。私はその一部をパン店として使っていたのですが、祖父が亡くなった後、この築100年を超える家を放置するのはもったいないと考え、思い切ってリフォームして1階をカフェにしました」とオーナーの小川香織さん。折しも、新型コロナウイルスの影響で航空業界を目指していた娘さんの進路が難しくなり、「それならば親子でやってみよう」と現在は2人で切り盛りしていると話します。
店の入口は建物の右奥で、引き戸を開けるとその日のパンが並ぶスペースがあり、その奥がカフェです。総菜パンやスイーツ系のパンなど15種類ほどが毎日午前11時から販売され、アンティークの戸棚には人気の生クリーム食パンや全粒粉の食パン、イートイン用に果物のタルトやチーズケーキが並んでいます。
同店のパンは、毎日食べても飽きのこないような優しいおいしさが特徴。「この周辺はお年寄りも多く、ソフトで親しみやすいパンが好まれます。また、店のオーブンの性質上、高温をキープしなければならないハード系のパンではなく、ソフト系のパンをコツコツ焼くスタイルです」と香織さんは話します。
一番人気はシンプルな丸パンの「ミルクロール」(税別80円)。「並べている分を全部買って行くお客さんがいるほど根強いファンが多いんです。中には何も入っていませんが、生地に練乳を練り込んで焼いているのでしっとりしていてほのかに甘く、小ぶりなサイズ感もあってついつい食べちゃうんですよ」と笑うのは娘の寿寿七さん。カフェでの調理やパン作りの補佐もする看板娘です。
お店は高い天井に太い柱や梁(はり)といった日本家屋の良さを生かした空間に、どっしりとした木を使った椅子やテーブル10席、カウンター6席が並びます。
店内のそこかしこに博多の伝統工芸品が飾られていて、落ち着いた雰囲気が楽しめます。
おすすめは人気の「週替わりランチ」(870円)。メインとサラダとトースト2種類に、選べるドリンクが付いたお得なセットで、この日のメインは体が温まるスープカレーです。
スパイシーなスープカレーには、ほろほろに煮込まれた鶏肉と揚げ野菜が入り、ゆで卵が添えられています。しっとり甘い生クリーム食パンと穀物のうま味と力強さを感じるさくさくの全粒粉食パンの2種類をスープに浸して食べると、味や食感の違いが際立ちました。
厚焼き卵がインパクト大の「ミックスサンドイッチ」(700円)や写真映えする「グラタントースト」(550円)など軽めの単品もあります。単品メニューを注文するとドリンクが半額で提供されるのでお得です。
午前7時半~11時のモーニングタイムは、トーストとドリンクのセットなど4種類が用意されています。ふわふわトーストにバニラアイスクリームを添えた人気の「フレンチトースト」(500円)なども朝から注文することができるので、朝から甘いものでパワーをチャージしたい! という人におすすめです。
ランチだけでなく、モーニング営業を始めたのは「パンを焼くために早起きしているので取り組みやすかったことと、この周辺は朝ご飯を食べられるお店がないので少しでも地域の方に楽しんでいただきたくて」と精力的な香織さん。
香織さんは実は「オガワカオリ」というペンネームで趣味の本を2冊も出版しています。この古民家に合うアンティーク家具やコーヒーカップをこつこつ集めるなど凝り性で好奇心旺盛、そんな香織さんとの話を楽しみに訪れる常連客も多いようです。
訪れた2021年2月は、スマホの地図アプリ「google map」では店の前にある道が表示されておらず、迷子が続出中とか。道が正しく表示されている「Yahoo!地図」を使うか、車利用の人は店の前に用意されている同店専用駐車場の住所(福岡市東区箱崎1-19‐22)を入力して目指すと分かりやすいですよ。
粉の実
住所:福岡市東区箱崎1-18-8 電話:092-631-1777 営業:7:30~18:00(L.O. 17:30)、パン販売11:00~ 水・日曜、祝日休 インスタグラム @conanomi_1777