七五三の前撮りで嫁姑バトル勃発!

七五三といえば、7、5、3歳の子どもの健康を祝う行事。一般的に11月の土曜日、日曜日に神社へ足を運び、お参りをします。記念に子どもの写真や家族写真を撮る方も多いことでしょう。10月と11月は写真スタジオが混み合うため、その時期を避けて、子どもたちが真っ黒に日焼けする夏休み前に、七五三の写真撮影をする「前撮り」も人気です。そんな前撮りで、嫁姑(よめしゅうとめ)バトルが勃発したお話です。

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義母がくれた着物

出典:写真AC

 「この前、七五三の前撮りをしたんだけど… ついに義母にぶち切れてしまったのよ」。そんな話を友人Aが教えてくれました。事の発端は義母がAにくれた、お下がりの着物でした。  

 「Aさん、今年はお孫ちゃんが数え年で7歳だから、七五三よね。渡したい物があるから、今度のお休みにわが家へ来てちょうだい」  
 義母からこう言われてAが旦那の実家へ行くと、着物を手渡されました。着道楽の義母が
 「これは特別にしつらえた良いお着物なのよ。私には少し若すぎるからあなたに譲ってあげるわ」と自慢するくらいですから、確かに良い物なのでしょう。けれどAの趣味ではないのです。Aは困惑しました。  

 「こんな良い物を譲っていただいて大丈夫ですか? Bさん(旦那の妹)が欲しいのでは?」と、謙遜(けんそん)するそぶりで、義妹にお下がりの着物を譲ろうとしましたが、義母はこう言うのです。  

 「いいのよ。Bのところもお孫ちゃんが5歳だから七五三でしょう? あの子は着物好きだから、この前一緒に贔屓(ひいき)の呉服店へ行って新しい着物をあつらえたの。娘だからといって特別扱いはいけないでしょう。あなただってもう私の娘同然なんだから! だから遠慮せずに、もらってちょうだいな」  

 義母が、義妹と同じように気遣ってくれるのはありがたいのですが、だったらなぜわが子には新品で、嫁の私にはお下がり…?!   

 Aはチクリと嫌みの一つも言いたくなりましたが、ぐっとこらえました。それに、目の前に用意された着物は、趣味には合わないものの良い物には間違いないようです。アンティーク着物もブームですし、小物を自分好みの物にすれば自分らしく着こなせそうだと判断して、持ち帰ることにしました。  

写真館での撮影で事件が!

 それから1カ月後、早々に着物を活用するときがやってきました。七五三の前撮りで、両親の着付け代が無料になるキャンペーンをしていて、家族全員が着物で家族写真を撮ることになったのです。Aは義母から譲り受けた着物と帯に、お気に入りの帯留めと、刺繍(ししゅう)入りの半襟を合わせることにしました。  

 撮影当日の朝、予想外の来客がありました。それは義母…。旦那が口を滑らせ、その日に七五三の前撮りで家族写真を撮ることを伝えてしまったのです。仕方なくウキウキ気分の義母も一緒に、写真スタジオに行くことになりました。  

 子どもの着物を着付けてもらい、Aと旦那も着付けを終えて支度室から出てくると、義母は着物姿のAを上から下までジロジロと見てこう言い放ったのです。

出典:写真AC

 「なに? その趣味の悪い組み合わせ。せっかくの上品なお着物が台無しじゃない! そんなひどい着方をするなら、返してもらうわよ!」
 勝手に帯留めと半襟を変えたことが義母の気に障ったのでしょう。けれどこれから家族写真を撮る直前に、そんな嫌みを言われて平静でいられるでしょうか。その場では旦那がとりなしてくれましたが、Aは内心ムカムカ。

 怒りがこみ上げていたので、カメラマンさんに何度も
 「おかあさーん! 表情が硬いですよ~。もっと自然な笑顔で!」と注意される始末。せっかくの家族写真だというのに、ピリピリとした表情になってしまいました。

 Aは撮影が終わった瞬間、着物を脱ぎ捨て、雑に着物を畳んだものを手に持ち、義母のところへ行きました。
 「大事なお着物をありがとうございました。あまりに上等すぎて、私には不似合いなのでお返しします!  お着物専用のクリーニング屋さんに出して、きれいにしてからお返しするのでご安心を」

 Aはそのままアワアワしている義母と旦那を放置して、子どもを着替えさせてから自宅へ帰ったそうです。旦那は平謝りしていますが、今は義母に会う気持ちになれないそうです。
 「次に会うのは、お正月かなぁ。あー嫌だ嫌だ!!」。そう話すAの眉間のしわが、なんと深かったことか! いらないもらい物は、するものではないですね・・・。

(ファンファン福岡一般ライター)

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