自分や夫婦、子どもの将来のために少しでも貯金額を増やしたいという人はたくさんいるでしょう。そのために食費や光熱費などの支出を減らし、節約している人も多いと思います。しかし中には貯金ができない人、もともとお金をためることが苦手な人も見られます。 では貯金ができない人は、どうすれば無理なく貯金額を増やすことができるのでしょうか。今回は「誰でも上手に貯金できる四つのテクニック」についてご紹介します。
1. 20~30代の半数が貯金なし
もしあなたが今、貯金ゼロだったとしても落ち込むことはありません。国が行った調査によると、20歳代で貯金がゼロの人の割合はなんと61%。30歳代でも40%の人がゼロです。だからといって安心してはいけません。貯金ができない体質から一日も早く脱却しましょう。 〈20代の貯金額〉 貯金0円・・・・・・・61.0% 100万円未満・・・・・12.2% 100万~200万円未満・・・8.7% 200万~300万円未満・・・4.3% 300万~400万円未満・・・2.9% 400万~500万円未満・・・2.5% 500万~700万円未満・・・4.0% 700万~1000万円未満・・・2.0% 〈30代の貯金額〉 貯金0円・・・・・・・40.4% 100万円未満・・・・・9.4% 100万~200万円未満・・・7.3% 200万~300万円未満・・・5.7% 300万~400万円未満・・・3.2% 400万~500万円未満・・・3.2% 500万~700万円未満・・・4.6% 700万~1000万円未満・・・5.9% 次に、貯金ができている人の平均貯金額は、20代で363万円、30代で1002万円でした。中央値は20代で170万円、30代では500万円です。意外にためていますね。ただし20代、30代とも、100万円未満の人の割合が最も多くなっています。
2.貯金上手になる四つの方法とは
貯金がなかなかうまくできない人の多くは、毎月のお金の流れを把握していないように思います。まずは自分の収入と支出をきちんと把握して、お金と向き合うところからスタートしましょう。そして、これから紹介する方法にチャレンジしてみてください。
2-1. 複数の口座を開設しよう
まず貯金する口座は、大きく分けて「使う口座」と「ためる口座」に分けましょう。そして、それぞれ「使う口座」と「貯める口座」を二つずつ、計四つの口座を用意してください。 具体的に説明します。 一つ目の「使う口座」は毎月の電気代や携帯電話代、クレジットカードの引き落としなどの固定費が振り替えられる口座として活用します。この口座には毎月給料が入った時、あらかじめ振り替えられる金額を入金するようにしましょう。 二つ目の「使う口座」は食費や日用雑貨や交際費など、やりくりしなければいけない生活費の口座にします。1週間ごとに使う金額を決めてこの口座に入れておき、1週間ごとその金額を引き出すようにしましょう。 次に「ためる口座」です。一つ目の「ためる口座」は、年内使う予定がある費用をためる口座にします。車を持っていれば、税金や車検代など、旅行が好きならその費用、実家への帰省代、恋人への誕生日やクリスマスプレゼント代など、それほど大きくない金額を貯金するための口座として使います。10万~20万円を目標に貯金していきましょう。 二つ目の「貯める口座」は数年後までにいくらかまとまった金額を貯金する口座にしましょう。結婚費用や車の買い替え費用、マイホーム購入の頭金など、100万~200万円を目標にためていきます。ボーナスが出たときは、ある程度まとまった金額をこの口座に貯金するとなお良いですね。
2-2. 強制的に定額貯金をする
お勧めは「先取り貯金」です。毎月余ったお金を貯金しようとしてもなかなかうまくいきません。強制的に貯金できる仕組みをつくってしまうのです。 銀行の「積立定期預金」を利用するとよいですね。あらかじめ指定した日に指定した金額が口座から引き落とされ、定期預金に振り替えられます。 普通預金よりも定期預金の方が少し金利は高めですが、ここは金利を期待するのではなく、毎月一定額を強制的に貯金する仕組みとして利用しましょう。目安は給料の10~20%。30%が理想ですが、初めは5~10%を目標にスタートしてみてください。
2-3. 「天引き」の財形貯蓄を活用すべし
あなたが勤めている職場に、もし財形貯蓄制度があるなら、これを利用しない手はありません。一番お勧めの方法は「給与天引き」です。 天引きされた金額は初めから無いものと考え、口座に振り込まれた手取り収入だけで生活するようにします。最近の財形貯蓄の金利はさほど高くないので、これも強制的に貯金する仕組みとして利用しましょう。
2-4. その他の方法
「先取り貯金」をするに、積み立て型の生命保険に入る方法もあります。保険料が口座から毎月引き落とされるので、知らず知らずのうちにたまっていきます。ただし、生命保険は満期や払込満了前に解約すると元本割れをする商品が多いので、事前によく商品内容を確かめてから加入するようにしましょう。 もう一つはとてもアナログですが、昔はやった500円玉貯金や壊さないと中身を出せない貯金箱を使う方法です。毎日500円玉やその日もらったお釣りの小銭を入れるだけでも1カ月で結構な金額がたまります。
3. 世帯構成で異なる貯金方法
独身でも1人暮らしと実家暮らしでは、貯金する方法は異なります。夫婦でも共働きかどうかによって変わります。
3-1. 一人暮らし
一人暮らしをしていると家賃や食費代で結構お金がかかるため、貯金ゼロの人が多いように思います。そんな場合は、財形貯蓄や積立定期預金などを利用して、まずは10万円の貯金を目指しましょう。そのために交際費や食費などを節約して、毎月少しずつでも貯金できる体質にしていきましょう。 月々5000円だと1年8カ月かかりますが、頑張って1万円貯金できれば1年足らずで10万円を貯金できます。毎月のやりくりが赤字ギリギリの人は、ボーナスが出たときに手を付けず、まとまった金額を貯金するようにしましょう。
3-2. 実家暮らし
実家だと家賃もかからず、家で食事すれば食費も浮きます。毎月まとまった金額をためていくことができるので、100万円や500万円も夢ではありません。一人暮らしでなかなかお金が貯まらない人は、一度実家に戻って節約生活をすることをお勧めします。
3-3. 共働き夫婦
共働きの場合、どちらか一方の収入で生活をして、もう1人の収入は全て貯金するくらいを目指してください。そのためにはお互いの収入をすべてオープンにして夫婦共有の口座を作り、将来の目標を一緒に考えて、貯金の目的を共有できれば完璧です。そのためにも年に1度は夫婦会議を開いて、家計の収支や貯金額をチェックしましょう。
3-4. 片働き夫婦
どちらか一方しか働いていない場合は、家事を任されている人がしっかり家計を管理するようにします。日々の買い物を少し工夫することで節約ができます。定期的に購入する日用品などはインターネットショッピングをうまく使いましょう。ウェブサイトによっては、週末や月末などセールをして割引額がいつもより大きくなったり、ポイントが10倍になったりしているので、まめに情報収集をするようにしましょう。
4. タンス預金に意味なし
貯金ができてきたら次に、そのお金を増やすことを考えていきましょう。銀行に預けていてもほとんど金利はつきません。そこで貯金額別のお勧め資産運用方法を紹介します。
4-1. 10万円貯金できたら
これぐらいの金額では、まだリスクを取った資産運用は勧められませんせん。しかし、ほとんど金利が付かないまま預けておくのはもったいないですね。まずは、個人向け国債などを検討してみてはいかがでしょうか。また、キャンペーンなどで金利が少し高くなっている定期預金などもおすすめです。
4-2. 100万円貯金できたら
100万円たまったらその半分は、少しリスクを取って投資信託などで運用してみるのはどうでしょうか。とはいっても、株や不動産に投資しているリスクの高い投資信託ではなく、国内の債券に投資している投資信託がリスクも低いです。残りの半分は、先に紹介した個人向け国債やキャンペーンの定期預金など安全な場所に預けておきましょう。
4-3. 200万円貯金ができたら
ここでもまた半分くらいの金額は、少しリスクを取っていきましょう。少額投資非課税制度(NISA)は年間120万円まで投資できるので、まだNISA口座を作っていない人は証券口座を作ってみてください。 投資先は、マーケットを分散して国内外の債券や株式に投資している投資信託を購入してみましょう。分散投資は、資産運用の基本です。そして残りの半分は、先ほどと同じようにリスクがない定期預金や個人向け国債などに預けておきましょう。
5.貯金の目的・目標を明確に
貯金額を増やしたいのであれば、支出を減らすか、収入を増やすか、資産を活用(運用)するか、この三つのいずれかの方法しかありません。なかなか収入が上がりにくいこのご時世、まず皆さんにやってもらいたいことは、家計の収支を把握してどこかに無駄がないかチェックすることです。
5-1. 固定費
特に見直してほしい項目は「固定費」です。固定費とは、家賃や住宅ローンなどの住居費、携帯電話やインターネットプロバイダー料金などの通信費、生命保険や損害保険などの保険料のことをいいます。これらは一度見直すと翌月からもその削減効果が継続できるので節約効果は抜群です。 今の保険が必要なものか、住宅ローンは自分のライフサイクルに合っているか、今一度考えてみてください。金融機関に相談してみるのも良いでしょう。 そこで自分の契約している保険やローンがどのようなものかを再確認してください。また進行中の資産運用が目的に合っているかどうかも見直してみてください。将来の収支予測を立てて、自分の人生に掛かる費用を確認しておくと、さらに良くなるでしょう。
5-2. やりくり費
次に、日々の買い物などの「やりくり費」にも手をつけましょう。日々の買い物を切り詰めようとすると、どうしてもギスギスした生活になってしまうので、ここは家計簿を付けるなどして楽しみながら節約するようにしてください。今まで家計簿をつけたことがない人は、明日からでも始めてみましょう。貯金する方法の第一歩は、家計の収支をきちんと把握することです。それを肝に銘じて、これから始まる貯金生活を楽しんでください。
まとめ
いかがでしたか?貯金を継続していくためには目的や目標が必要です。それがなければ頑張ろうというモチベーションが続きません。皆さんがこれから生涯にわたり使うお金は、いくら掛かるかご存知ですか? 私たちの人生って、どれだけ費用が掛かるのでしょうか? 一度ライフプランも考えてみてください。これから必要となる生活費、住居費、保険料、旅行費用、教育資金、老後資金などなど、将来の支出が明確になれば貯金の目的がはっきりするので、節約も楽しくできるでしょう。毎月こつこつ貯金することは、地道で遠い道のりのようですが、積み立てに勝る方法はありません。積立預金や財形貯蓄などを賢く利用すれば資産運用するよりも確実に増えていきます。皆さんも今日から貯金を始めていきましょう。