熊本県出身のミニチュア写真家で“見立て作家”の田中達也さんの個展「特別展 『MINIATURE LIFE(ミニチュア ライフ)展』 」が10月14日(月・祝)まで福岡市中央区六本松の福岡市科学館で開催中です。田中さんが来場された日に行ってきました!
アイスクリームを地球に、コッペパンを新幹線に…。田中さんが生み出すのは、日用品とジオラマ人形を日常に存在する別の物に「見立てた」世界。
2011年から1日も休まずに写真作品を更新し続けているインスタグラムのフォロワーは国内外を含め200万人を超え、ファンが多くいます。 本展では写真作品100点に加え、実際のミニチュアを約30点展示。科学館での開催ということもあり「宇宙」をイメージした作品も。
入ってすぐに展示されていたのはブロッコリーを木に見立て、その下に立つ田中さんらしきジオラマ人形。人が下に立つことで、ブロッコリーが木に見えてくるのが不思議です。
楽譜からスコップやシャベルを使って音符を掘り起こしたり、ブラシの毛を稲に見立てて稲刈りをしたり。バーコードから脱走する囚人もいました。日常で何気なく見ているものが別の意味を持って輝きだす瞬間です。
そして作品をより楽しませるスパイスになっているのが、つけられているタイトル。クスッとしてしまうダジャレのようなタイトルや、「深い!」と思わずうなってしまうようなタイトルが並びます。
ファンデーションを大地に見立て、その上でゴルフをする人々に付けられたのは「ファーーーー!ンデーション。」、ジーンズを洞窟に見立て、その中へ乗り込む探検隊の名前は「インディジーンズ」。ト音記号とヘ音記号を楽器に見立てて弾く人に付けられたのは「私一人では何もできない」。いろんな感じ方ができるタイトルだなと写真を前に感心してしまいます。
タイトルを考える時は連想ゲームのように、素材や見立てたものに関連するワードを頭の中に展開するそうで「気分はラッパーです。韻をふみながらしっくりくるものを探しています」と田中さん。
細かい作品ばかりなので、制作には時間もかかるだろうと思ったのですが、所要時間は1作品あたり約3時間だとか。「アイデアにかかる時間は別ですよ。普段から目に留まるものを見ては想像を膨らませています」と言います。 一番アイデアが湧き出すのは100円ショップやホームセンターにいるときで、商品を見ながら携帯のメモに書きとめているそうです。
ジオラマの人形は1.5cmサイズ(1/87スケール)を一番多く使用していて、作業場の棚にはサイズやポーズごとに仕分けられた人形が収まっています。 「作りたいと思った時に、素材を探すことに時間を費やすのがもったいないので、ここの管理はきちんとしているんです」。
そもそもなぜ“見立て作品”を作ろうと思ったのでしょう? 「最初からこれをやろう、と思って始めたわけではなく、きっかけはインスタグラムでした」。 サービスが開設されて3週間ほどで登録したという田中さん。手元にあったジオラマ人形を撮影して載せていたそうですが反応はいまいち。「どうしたらたくさん『いいね』がもらえるんだろう」と思い、考えついたのがこの“見立て作品”だったそうです。
「身の回りにある物が別の角度から見ると違う物に見えてくる。誰しも一度はブロッコリーやパセリが森に見えたり、水面に浮かぶ木の葉が小舟に見えたりしたことがあるんじゃないかと思います。普段見慣れている物でもミニチュアの視点で見てみると、もっと世界は広がるんじゃないかと」
だから作品のモチーフは、「誰もが知っている物を使うように気を付けています」とのこと。「できれば世界共通で、見立てる前のモチーフが分かるのがベスト」。 会場は全て撮影OKです。楽しい気持ちを持って帰ってください。
物販には本展限定のグッズも用意され、フィギュアの造形製作などで知られる海洋堂とコラボレーションした「日本の昔話」(全8種類、500円)のガチャガチャなども。 自宅で“見立て”てみるのも楽しそうですね♪ 特別展 「MINIATURE LIFE展」 日時:~10月14日(月・祝) 9:30~18:00 場所:福岡市科学館 3階企画展示室(福岡市中央区六本松4-2-1) 料金:一般1,000円、中高生700円、小学生500円、未就学児無料 問い合わせ:福岡市科学館 電話:092-731-2525