福岡の書店員さんに、福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。第13回目は福岡市・天神の岩田屋本館の7階「リブロ福岡天神店」の福川キャサリンさんに会いに行きました。今回は、西日本新聞社が出している本から紹介してくださるそうです。※2019年10月時点の情報です。
ホテルオークラ福岡の総料理長が綴るエッセーと挿し絵
「つかれた日には鍋にキャベツとホロホロ鳥を放り込み」 谷内雅夫 著
―こんにちは。キャサリンさん、今回もよろしくお願いします。なんでも西日本新聞社が出している本を紹介してくださるそうで。ありがとうございます! こんにちは。きょうご紹介するはホテルオークラ福岡 総料理長・谷内雅夫さん作「つかれた日には鍋にキャベツとホロホロ鳥を放り込み」(西日本新聞社、1,000円+税)です。料理にまつわる31篇のエッセーがまとめられています。
―エッセーなんですね。優しい雰囲気の表紙ですね。 オランダ・アムステルダム、仏・パリ、東京そして福岡。ホテルオークラのシェフとして手掛けてこられた料理やその土地での思い出、食材の話などが丁寧に綴られています。元はホテルオークラ福岡の会報誌「HAKATA spice」に連載されていたコラムを加筆・修正していて、1篇ずつが読みやすい分量です。出てくる料理もエピソードもすてきですよ。
―どんな料理が出てくるのでしょうか。 「野菜のクタクタ煮」、「オニオングラタンスープ」、「ムッシュ小野正吉のスフレ」。一つ一つがとてもおいしそうです。糸島野菜や佐賀のイノシシ、長崎の魚など九州各県にかかわる話も取り上げられています。小野正吉さんとは、ホテルオークラ東京の初代総料理長で大変著名な方ですね。オークラのファンはもちろん、料理を勉強しているような人にも興味深い内容ではないでしょうか。 ―ほかにもキャサリンさんお気に入りのポイントがあるそうですね。 見てください、挿し絵がステキだと思いいませんか? 実は今回、ご本人が書かれたというこの挿し絵に強く引かれて、多く仕入れました。丁寧で、上手でしゃれていますよね。今もこうして改めて見ていて、この挿し絵、本当にいいなあと思います。
―これまで多くの料理本を扱ってきたキャサリンさんの目から見ても、目にとまったという訳ですね。 料理本は写真が掲載されていることが多い中、挿し絵に力を入れているのが印象的です。この繊細で温かいタッチの絵を見ていると、人柄まで伝わってくるような気がします。さり気なく書かれたフランス語もアクセントですよね。全体的にかわいらしさや品があると思います。
―厨房や調理中の写真、料理の写真も載っていますね。 ホテルのレストランの厨房を見る機会などないので、とても興味深く見ました。特に鍋が重なっているカット、いいですよね。ホテルのレストランという、一般の人が知らないプロの世界を垣間見る楽しみがあります。それに「おいしいパスタを作る秘訣は“化学”にある」など、気になるフレーズも出てきて、プロの技の奥深さを感じられます。読んでいると、オークラのレストランにおじゃましたくなりますよ。 ―レシピも載っていますか? タイトルにもなっている「キャベツとホロホロ鳥の煮込み」が載っていて、家で簡単に作れそうですよ。ホロホロ鳥が手に入らなければ、普通の鶏肉でいいと書いてありますし(笑) 実は難しいことを読みやすくさらりと書いてあるのも、この本の特徴かもしれません。 ―ところで、料理の本は相変わらずたくさん出ているようですが、最近の傾向はありますか? 少し前から、家政婦さんが出した料理本がすごく売れていました。「時短」「作りおき」など、家事のプロがポイントを抑えて紹介する内容が人気です。また、1人分レシピもはやっていますね。
―そういえば、18日からBOOKOKA(ブックオカ)が始まりますね。 1カ月間の“本のお祭り”です。今年のブックオカ特製文庫カバーは、イラストレーター益田ミリさんが描いてくれた、とってもかわいいネコのイラストなんですよ! 福岡県内の協力書店で文庫本を購入すると巻いてくれます。ぜひ手にしていただきたいです。ファンファン福岡の読者の皆さんにブックオカの宣伝もお願いしますね。
―了解しました。イベントページを紹介します! イベントなど詳しくは下記のBOOKOKA2019公式ページでチェックを。
※情報は2019.10.17時点のものです