【福博今昔通り物語】vol.9 天神西通り~福岡城ゆかりの街並み

 福岡市中央区天神地区の西側エリアを走る「天神西通り」。有名ブランドやおしゃれな店が立ち並び、人通りが絶えない商業集積地です。街並みは福岡城にゆかりがあり、豊かな歴史を有しています。今回は人気エリア「天神西通り」の歴史を振り返ってみましょう。

目次

地域から生まれた 半世紀超す愛称

 天神西通りは、中央区の舞鶴1丁目交差点から国体道路までの約500mの道路に付けられた愛称です。1960年代に医師の村山暁さんら地元の人々が「天神西通り」と呼び出したのが始まりで、68年には地元企業などでつくる「天神西通り発展期成会」が発足。街路灯62基を設置するなど、街づくりに取り組み始めました。

出典:ファンファン福岡

 同会は86年、「天神西通り発展会」(現・日野守隆会長)として新たに発足。現在も、通りを照らす街路灯69基を管理運営しているほか、毎月第3水曜日の午後3時から清掃美化活動「3・3クリーンキャンペーン」を行うなど、「安全、安心で明るく楽しい」街づくりに取り組んでいます。地域のたゆみない努力が、街の活力を支えているのです。

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医療機関が集積 商業地として活況

 街並みは江戸時代までさかのぼります。福岡市史などによると、福岡城は防衛力を高めるため、内郭や城下町などを堀や川で取り囲み、防衛上の門を設置したほか、敵が攻めてきても真っすぐに進めないよう、通りの随所に屈曲路や袋小路などを設けました。  西通り一帯にもかつて「佐賀堀(肥前堀)」「中堀」や「薬院門」などがあり、「薬院町」「薬研町」などの町がありました。こうした町名は64年の町界町名整理で「天神2丁目」などの名称に変更され、今は残っていません。ちなみに「薬院」という名は、薬草を植えた薬園があったことに由来するなどの説があるようです。

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 祖父の代から西通りで店を構える「こおのカメラ」の河野肇さん(56)と、「酒屋ナカムラ」の中村浩一さん(55)は、「以前この辺りには病院や歯科医院がたくさんあった」と言います。商店や医療機関、住宅が立ち並ぶ街並みは、80年代ごろからビルが集積する商業地へ発展し、現在の活況へつながっているのです。

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◆ちょっと寄り道~近くの通り散策◆  きらめき通り

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 天神西通りの近くを走る「きらめき通り」。沿線にはかつてNHK福岡放送局や多目的施設「福岡スポーツセンター」などがありました。福岡スポーツセンターでは、大相撲九州場所などが行われたほか、冬季はアイススケートも楽しめ、映画館「センターシネマ」も併設されていました。

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◆ミニ情報◆ S字カーブ

 天神西通り沿いにある天神西交差点(旧万町交差点、西鉄グランドホテル付近)。交差する明治通りが、S字のように曲がっているのにお気付きでしょうか。

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 ここも江戸時代の屈曲路の名残なのです。福岡市土木史によると、明治時代に市内電車を通す際、直線道に整備する話が持ち上がりました。しかし、移転対象地に教会があることで紆余曲折し、最終的に屈曲したままとなったのです。

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企画・制作/西日本新聞社メディアビジネス局

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