福岡の書店員さんに、福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。第15回目は「積文館 天神地下街店」の長沼沙耶さんに会いに行きました。クリスマス、年末を前に忙しそうなところを、恐縮です! ※取材は2019年12月
本屋大賞受賞、福岡市出身の女性が描くノンフィクション!
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 ブレイディみかこ 著
―ただでさえ人の往来が多い天神地下街ですが、一層にぎわいを増す季節ですね。店頭もなんだか華やかですね。 手帳や家計簿、カレンダーと年末年始ならではのアイテムを並べていますので、いつもとは違いますね。本屋大賞も発表され、2019年ももうすぐ終わりといった雰囲気です。 ―それでは2019年最後のキミスイ本は、何でしょうか? 本屋大賞でノンフィクション本大賞を受賞した「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(新潮社・1350円+税)です! 作者は福岡市出身のブレイディみかこさん。6月に発売されましたが、私の中で今年ナンバーワンの1冊なんです。タイトルから引き付けられましたが、内容がさらによくて。
―遂に出てきましたね! 話題になっていたので、いつこのコーナーに出てくるか心待ちにしていました。どんな内容なのでしょうか。 日本人の母みかこさんとアイルランド人の父を持つ中学生の息子が、イギリス南部の都市・ブライトンで巡り合うさまざまな問題。人種や貧富の差、宗教、友達、アイデンティティーなどいろんな壁がありますが、街角で、学校で、友達や親とのやり取りの中で、息子のニュートラルな思考や、交わされる母と息子との会話に、こちらがハッと気付かされることが多く、圧倒されます。
―重たい内容なのでしょうか。 それがそんなことはなく、ユーモアや笑いもあるし、ちょっと泣けるようなエピソードもあります。基本的に会話が多いのでとても読みやすいのも特徴です。
―長沼さんから、ただならぬ熱量を感じます。この作品がお好きなんですね。 大好きです! 今持っているのは私物で、初版なんですよ(笑)。店頭のポップも書かせてもらいました。読んでいると視野がどんどん広くなるのを感じる本でもあります。日本にもいろんな国の人が働きに来られていて、これからその数はますます増え、私たちもかかわっていく場面が多くなるだろうと思っていた矢先だったので、とても興味深く読みました。
―この本は人気がありますか? とっても売れています。修猷館高校の出身で身近な感じもあるのか、本屋大賞に決まる前から人気でした。女性全般や50~60代くらいと思われる男性会社員風の人も多く買っていかれます。購入者の年齢の幅が広いのも特徴ですね。 ―私はきょう購入して読むつもりです。年内に紹介もらえてよかったです。 今年は面白い本がいろいろ出ましたよ。9月に出版された凪良 ゆうさん作「流浪の月」(東京創元社・1,500円+税)も推薦したいです。誘拐犯と被害者の表現できない関係…。ぜひ読んでみてください。 ―やはり本のことは書店員さんに尋ねるのが一番ですね。来年もよろしくお願いします!
※情報は2019.12.20時点のものです