九州国立博物館(福岡県太宰府市)で2020年1月5日(日)まで開催中の特別展「三国志」。展示をより深く楽しんでもらおうと11月23日に開かれた、三国志の深い魅力に浸れる一夜限りのイベント「夜な夜な三国志」の様子をお伝えします。
三国志好きの豪華ゲストが登場
イベントの目玉として開催されたトークショー「夜な夜な無双秘話」は、歴史シミュレーションゲーム「三國志」シリーズやアクションゲーム「真・三國無双」シリーズを手掛けた「コーエーテクモゲームス」のプロデューサー鈴木亮浩さんと越後谷和広さん、三国志好きの“歴ドル”小日向えりさんが登壇。 会場に集まった三国志ファンを前に、三国志の魅力やゲーム制作秘話など、ココだけでしか聞けない三国志トークを繰り広げました。
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「学生の頃は、夜な夜なゲーム『真・三國無双』を楽しんでいました」という小日向さんは、大学の卒業式で着たという諸葛孔明の扮装で登場。小日向さんは「三国志検定」1級を持つ、筋金入りの“三国志好き”。三国志の魅力について、「魏・呉・蜀(ぎ・ご・しょく)のどこも完全邪悪ではなく、それぞれの正義がぶつかり合っているところ、キャラクターが個性豊かなところ、日本史とは違ったダイナミックさが大きな魅力ではないでしょうか」と話します。
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鈴木さんは「高校生の頃に三国志ゲームにハマったのをきっかけにゲーム業界を目指した」と明かし、「私がプロデューサーを務めた『三國志13』は、憧れていたゲームだったので毎日ワクワクしながら作っていました」と語りました。
三国志がゲームになったワケ
コーエーテクモゲームスが手がけるゲーム「三國志」「真・三國無双」は、次々と新作が生み出されている人気シリーズ。三国志やゲームファンから絶大な支持を集めています。
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「このシリーズが生まれたのは、歴史シミュレーションゲーム『信長の野望』を手がけたシブサワコウ(コーエーテクモホールディングス社長の襟川陽一さん)が、次回作は自身も好きな『三国志』をモチーフにした作品を作ろうと思ったのがきっかけ」(越後谷さん)だそう。「当時は横山光輝さんの漫画や人形劇など、三国志がブームになりつつありました」と振り返ります。
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鈴木さんは「ゲームはシリーズで次々と生み出しますが、三国志を題材にしている以上、当然ストーリーは同じ。前作を楽しんでいる方も飽きさせないよう、登場人物を増やしたり、新しいキャラクターと既存キャラクターがかかわるエピソードを継ぎ足して新たに展開させたり。新作を作る際は、過去の作品と差別化をする工夫を凝らしています」とシリーズ作品を生み出す苦労も明かしました。
キャラクターの顔はあの芸能人!?
それぞれに好きなキャラクターがいるようで、鈴木さんは「無双シリーズでは主役級の『夏侯惇』」、越後谷さんは「張飛」、小日向さんは「趙雲」を挙げ「とにかくカッコイイ!!」と絶賛。越後谷さんは「多少、ゲーム制作過程で好きなキャラクターをちょっとだけ強くしたりすることもある(笑)」と会場の笑いを誘っていました。
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「キャラクターデザインは、基本的にデザイナーが顔を描いていきますが、多少はその時にはやっている芸能人の顔を参考にすることもあります」と鈴木さん。「全体のバランスを見て最終的にキャラクターデザインを決めていきます。ユーザーはやはりそれぞれに思い入れがあるキャラクターがいますので、『この武将はこんなに知力低くないぞ』とご意見いただくこともありますよ」とも。
リアルな三国志展の魅力は?
「魏・呉・蜀それぞれの武器の成長の違いが興味深かったですね。地形や環境で武器の成長が違ってくるという新たな発見は、ゲームに反映できたら楽しいかもしれません。あと、横山光輝さんの漫画から三国志に夢中になりましたので、原画はときめきました!」(越後谷さん)
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「曹操の書など、漢字がとてもきれいだったのが印象的でした」。小日向さんは「1800年も前の時代の人々が確かに生きていた、と感じられる展示に感激しました。曹操の書もですが、本当に生きていた人なんだなと。曹操の墓は最近発見されましたが、この時代に生きていられることも感慨深いです」(鈴木さん)
「真・三國無双」ものまねを生披露!
ここで「真・三國無双」シリーズ公認ものまね芸人のガーリィレコードの2人がステージに登場。「真・三國無双」シリーズの数々のシーンを再現したものまねをユーチューブにアップし、登録者数は65万人超という、同シリーズファンにはおなじみの2人です。フェニックスさんは「『真・三國無双』は小学生の頃からずっとやってきました。大好きですね」と話します。
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「馬に乗った馬超のチャージ攻撃の広すぎる攻撃範囲」「真・三國無双8で村人に話しかけるボタンが変更されたため、起きるミス」など、“細か過ぎるけど分かる人には伝わる”真・三國無双ものまねを生披露。再現シーンのタイトルを伝える段階で笑いが起きるほどに会場を盛り上げていました。
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ステージの前に展示も楽しんだという2人。「当時のものを生で見られたという感動がありますね」とフェニックスさん。高井佳佑さんは「曹操の墓は迫力があって圧巻でした。あれが地下になるんですもんね」と驚いた様子でした。
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見どころを学芸員が生解説!
次は、同館の川村佳男学芸員が同展の見どころを紹介。 「奥が深い三国志。ゲームや漫画、小説などさまざまな三国志の世界がありますが、今回は考古学から見る三国志の世界が楽しめます。出土品や資料などを通して、三国志の世界を見るとどんな景色が見えるのか、そこにこだわりました」と話します。
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「やはり曹操の墓が体感できるのは貴重です」と川村さん。「地下の部分ですが、ここでしか味わえないスケール感だと思います」。
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曹操一族の墓から出土した「『倉天』磚(そうてんせん)」。「刻まれた文字に注目してください。一番左の行の上から2文字目と3文字目。三国志好きには刺さる言葉ですよね」と川村さん。 「『倉天(蒼天)すなわち死す』と書かれています。西暦184年、後漢時代の末期に起こった、三国志の幕開けを告げる『黄巾の乱』を起こした宗教結社『太平道』のスローガンが書かれているんです。曹操一族の中に『太平道』に関係する人物がいた可能性をほのめかす出土品なんですよ」(川村さん)。
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「この石牌『魏武王常所用挌虎大戟(ぎのぶおうつねにもちいるところのかくこだいげき)』は曹操の墓であることの決め手となったものです。海外初公開の展示品なので、貴重ですよ」。 三国志の魅力は「なんといっても奥深さにある」と川村さん。「登場人物の人間味、個性も楽しい。今回の展示では、それぞれのキャラクターの魅力が堪能できるような解説と展示を心掛けました」と話します。
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展示の魅力を紹介してイベントは終了。「今日はゲームや考古学など、いろいろな切り口から三国志を語ることができて楽しかったです。三国志展は、何度行っても新しい発見がある展示です。ぜひ足を運んでみてください」と小日向さん。鈴木さんと越後谷さんは「これからも三国志を盛り上げていきましょう」と呼び掛けていました。
巨大スクリーンでゲーム「夜な夜な大合戦」も
トークショー終了後、ロビーでは、中央の壁面を巨大スクリーンに見立てて三国志ゲームをプレイするイベント「夜な夜な大合戦」を実施。トークショーに引き続き、小日向さんや鈴木さん、越後谷さん、ガーリィレコードが参加し、こちらも盛り上がりを見せていました。
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この日、ロビーでは曹操や劉備、孫権のかわいらしいイラストに色を塗ってオリジナルの缶バッジが作れる「夜なべでMY缶バッジ」コーナーなども設け、子どもたちを中心ににぎわいを見せていました。
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完成品を手にして、子どもたちも喜んでいました。
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屋外では、中国などで見られる「天灯」を再現した「孔明の危機!? 三国志的イルミネーション」を展開。幻想的な雰囲気でイベントに華を添えていました。
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展示だけではない、三国志を体感しながら楽しめる一夜限りのイベントは大盛況のうちに幕を下ろしました。
施設名:九州国立博物館ミュージアムショップ
住所:福岡県太宰府市石坂4-7-2
営業時間:9:30~17:00
日曜営業
定休日:月曜日(祝日の際は翌火曜日)
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
アクセス:太宰府駅から649m