中学生の息子を喜ばせようと思い、奮発して買った牛肉で、すき焼きを楽しむはずが…。年末のわが家に起こった、ちょっとしょっぱいエピソードの話です。
たまには贅沢しようと買った牛肉
息子は、肉よりも魚が好き、野菜大好き、ケーキは好きじゃない… と、子どもにしては渋めの味覚の持ち主です。
そんな彼が、珍しく
「焼肉を食べたい」と言い出しました。同じ年齢の子と比べると食が細いので、私は日頃から、息子に沢山食べさせたいと思っています。
焼肉といえば、「牛肉」とばかりに、近くのスーパーへ買いに行きましたが、この辺りでは、あまり牛肉を食べる習慣がなく、普段から品揃えがよくありません。
焼肉用の肉はあいにく手に入りませんでした。すき焼き用の肉が2パックだけ売っていたので、予定変更して今回はすき焼きにしようと思い、奮発して2パック全部を買い求めました。
ちょうど年末のことで、お値段もそれなりに高くなっていましたが、「たまには贅沢してすき焼きで年越しも良いよね?」と、息子と2人、夕食を心待ちにしながら年末の大掃除を頑張りました。
さて、いよいよ待ちに待った夕食の時間。
熱したすき焼き用のプレートでお肉を焼き、人参、ネギ、しらたき、豆腐に美味しそうに火が通り、醤油と砂糖で味付けをし、小皿にとった牛肉にかぶりついた息子。
「おいしい!」という笑顔を期待していた私ですが、息子はなぜか無表情…。
砂糖を足しても、しょっぱいのは何故?
味付けが下手だったかしら?と心配になって、
「おいしくない?」と聞くと、
「何だかしょっぱい…。」と言います。
「醤油を入れすぎたのかしら?」と、甘さを出すために、砂糖を多めに追加しました。それでも…、
「しょっぱい…。」と更に顔をしかめる息子。 私も味見をしてみると、
「うわっ! しょっぱい!」あんなに沢山の砂糖を入れたのに、どうしてこんにしょっぱいんだろう? すると、息子がハッと気づいたように、
「母さん、もしかして、砂糖って塩の右に置いてあるの?」と聞きます。
そこで初めて、私と息子は事態を理解したのでした。
その日の昼食は、息子が私の手伝いをしようと、初めてスパゲッティを作ってくれました。
わが家の砂糖と塩は同じ容器に入っていて、私はいつも置き場所で区別していました。今までは、料理をするのは私一人だったので、それでも間違うことはなかったのですが、慣れない息子は、使った塩を戻す時に、砂糖と塩の置き場所を逆にしてしまったらしいのです。
ということは、砂糖だと思って私が大量に入れたのは、何と塩だった…! せっかく奮発して買ったご馳走の牛肉は、甘くしようとして更に追加した塩で、途方もなくしょっぱくなってしまいました。
そそっかしいのは母親似!?
それまでのウキウキした気分は一気に吹き飛びました。
よりによって、どうしてこのタイミングで砂糖と塩の置き場を変えた? けれど、原因は、息子が私を喜ばそうと作ってくれたスパゲッティだし…。息子の喜ぶ顔が見たくて、折角奮発して買ったのに…。
その日の私達は、コントの様な出来事なのに、笑いにして吹き飛ばす気力が湧かないまま、残り物で夕食を済ませたのでした。
そそっかしい私の血を受け継いだのか、やっぱりそそっかしい息子。失敗したエピソードには事欠きません。 塩っ辛いすき焼きの話題は、今ではそんなエピソードの一つとして、思い出しては笑い転げるネタの一つになりました。
(ファンファン福岡公式ライター/Kitakitune)