ワークショップで制作された623個のCUPは、10月16日に太宰府市民の手によって野焼きされました。野焼きによってCUPはそれぞれ異なる色彩で彩られ、形だけでなく色彩も世界にひとつしかないCUPとなりました。今回は、「野焼き」と「黒陶焼き」の2種類の方法を行いました。野焼き当日は、多くの太宰府市民にもご参加いただき、地域が一丸となって作品を焼き上げることができました。この記事では、野焼きと、CUPの展示について紹介します。
−野焼き− 炎の中で変化するCUP
今回の野焼きでは、耐火煉瓦を組み上げることで簡易的な窯を作り、その中で野焼きを行いました。作品を急に火の中に入れると、温度差で作品が割れてしまうため、「あぶり」という作業を行います。この工程では、CUPを直接火が当たらない程度の距離に置き、徐々に作品の温度を高くしていきます。CUPが十分に温まったら、炎の中に作品を入れ、さらに温度を上昇させます。今回は、薪だけでなく、炭や籾殻も加えることで、作品が様々な色彩になるように工夫しています。炭や籾殻に埋まっている部分は黒く染まり、埋まっていない部分は白くなり、その中間は煙を纏った、夜空のような不思議な色彩となりました。
−黒陶焼き− 気がついたら焼けている!?不思議な焼成
黒陶を焼く方法は様々ありますが、今回は金属の網で簡易的な窯を作り、その中で焼成を行いました。この方法では、制作した作品を籾殻と粉炭を混合したもので埋め、上面に火を付けます。上面につけた火は、籾殻と炭を伝って徐々に下に向かって燃え広がっていきます。一定の時間をおいて、下まで燃え広がっていれば、焼けた合図です。この方法で焼かれた作品は、野焼きと比較すると柔らかな色の変化が特徴です。CUPは、黒からカフェオレ色までの色がふんわりと変化し、柔らかく人肌のような暖かさを纏いました。
割れた破片から新たなCUPへ
野焼きでは、作品同士がぶつかったり、薪に当たったりすることによって、いくつかの作品は割れてしまいました。大きな破片は、接着することで元の形に修復しましたが、修復しきれない小さな破片も数多くありました。私たちはそれらの小さな破片も、「制作者の想いのこもった大切なもの」と捉え、それらを漆で接着し金属粉で装飾するワークショップを行いました。磁器土でW杯の優勝杯を制作し、その形に参加者が想い想いに破片を配置することで、多くの人の想いが繋がった、新たなCUPが生まれました。
九州国立博物館からサッカー日本代表にエールを!
野焼きを終えたCUPは、11月29日より九州国立博物館にて展示されています。太宰府天満宮で制作された623個のCUPに加え、東京藝術大学や天草市で制作されたCUPも合わせた、約750個の迫力のある展示となっています。日本各地でアジアの国を想いながら作られたCUPが並ぶことで、アジアの各国の文化の様相が描き出され、展示台を一周すると、アジア旅行したような気持ちになります。また、CUPは見る角度によって全く色彩が異なり、一歩進むごとに全く違う世界に引き込まれていきます。会場には、ワークショップで描かれたスケッチも展示されています。お近くにお越しの際は、是非ご覧下さい。
アジア代表日本2022情報
−展覧会情報−
アジア代表日本2022「WORLD PEOPLE CUP」
会期:令和4年11月29日(火)〜12月11日(日)
*月曜日休館
会場:九州国立博物館1階 エントランス
観覧料 :無料(事前申込み不要)
以前の記事で紹介した、「変化するパブリックアート」(東京藝術大学/上野)は、現在設置に向けて鋭意制作中です!続報をお楽しみに! 詳細はこちらのファンファン福岡や、Instagram、facebookにて順次更新してますので、ぜひチェックしてください。
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