はじめての出産はわからないことばかり。同じ状況にいるママ友は強い味方ですよね。私にとって同じ病院で出産したママ友は励みになる存在。しかし、息子が1歳になった頃そんなママ友と大げんかをしてしまったのです。
授乳室で仲良くなったママ友
私が出産した病院は、出産して数日後から退院まで赤ちゃんと一緒に病室で過ごす母児同室システム。赤ちゃんが泣けば授乳室に行き、ミルクをあげたり、おむつを替えたり。
昼夜問わず新米ママたちが授乳室に集まり、辛いけど楽しいまるで部活のような密度の濃い交流が生まれました。
中でも2つ年上のママ友A子は子どもが同じ男の子で家が近所。すぐに意気投合しました。頭が良くて勉強家のA子は子育てについてよくアドバイスしてくれました。
はじめはお節介にも感じましたが、私が子育てに悩めば
「大丈夫だよ。お互いがんばろう」とやさしい声をかけてくれるお姉さんのような存在になり、お互いの家を行き来するようになりました。
散歩中に大ゲンカ!
子どもが1歳を過ぎると、A子も私も仕事復帰をすることになりました。A子はおすすめの保育園などの情報を教えてくれ、私の仕事復帰は順調に進みましたが、お互い忙しくなり頻繁に会うことはなくなりました。
入園後3カ月が経っても息子は保育園に慣れず、帰ってきてからは毎日ぐずりがち。とっくに日は暮れていましたが、その日はどうにか息子を落ち着かせようと近所に散歩に出かけることにしました。
泣き続ける息子を抱っこして、とぼとぼと歩いていると、向こうからベビーカーを引いたママが歩いてくるのが見えます。それは久しぶりに会ったA子の姿でした。
「元気だった?」私はすがるようなうれしい気持ちで声をかけました。
ところが、
「こんな薄着で子どもを散歩させて! 保育園の通い始めはちゃんとケアしてあげないとだめ」と、A子からは意外な言葉が返ってきたのです。
泣いている息子をあやすと
「そんなやり方では泣き止まないよ」と、A子は私に説教をはじめました。
本音を聞いてみると?
「その言い方はきついよ。息子が保育園に通い始めで余裕がない!」A子の言葉に耐えられなくなった私は、強い口調で言い返しました。
気がつけばけんかになり、A子の目には大粒の涙。私も悔しい気持ちと悲しい気持ちが混ざり泣いていました。話が収まらないので、近くの公園のベンチで話をすることに。月明かりの下、2人のママと子どもがたたずむ姿は異様な光景だったと思います。
「子どもがぐずるようになって悩んでいたの」
最初に切り出したのはA子でした。私と全く同じ悩みを抱え、どうすることもできない中で、夜に能天気に散歩をしている私にばったり会って八つ当たりしてしまったとのことでした。
「同じだよ。子育てがこんなに大変だと思わなかった」私も悩んでいたことを打ち明け、お互いけんかしてしまったことを謝りました。
気が付くと話題は出産後必死だった授乳室の思い出に。いつの間にかイライラしていた気持ちがスーッとどこかに消えました。A子も私も最後には笑顔になり、たまには会って悩み事を吐き出そうと約束をして帰途につきました。
その後ママ友とは…
その後、私が引っ越しをしたことでA子とは離れてしまいましたが、節目には連絡を取り近況報告をするのが楽しみの一つになりました。
濃密な子育て期間に一緒に過ごしたママ友との思い出は宝物です。一見面倒にも見えるママ友付き合いですが「捨てたもんじゃない」かもしれませんよ。
(ファンファン福岡公式ライター/こはる日和)