ラーメンライター兼YouTuberラーメン大好きガーソーさんがお送りする福岡ラーメンレポート。 今回は北九州で30年以上愛されている「長浜ラーメンとん平」の3号店、昨年、北九州で一番有名な老舗豚骨ラーメン店無法松の跡を引き継いでオープンされた足立店に伺って、店長の平川さんに取材させて頂き、「長浜ラーメンとん平」の歴史と、無法松の味を今後販売されるのかどうか等今後の展開について伺ってきましたので、その取材レポートと実食レビューをお届けします。
北九州なのに長浜ラーメン?「長浜ラーメンとん平」の歴史
北九州で30年以上営業されている老舗の長浜ラーメン屋があるんですよと、最初に仲良くさせて頂いている券売機販売会社のSさんから聞いた時、北九州で長浜ラーメン???と大いに疑問に思い、かえって興味が沸いて、3号店を切り盛りされている店長=大将の息子さんである平川さんをご紹介頂いて、本業である不動産の仕事で北九州に行く機会があったら、お店に伺って取材させて頂くアポを取りました。 思っていたより早くその機会を得て、北九州で食べログラーメン部門No.1の3.72評価を得ていた豚骨ラーメン店無法松の跡に、2019年11月に出店された「長浜ラーメンとん平」足立店に伺いました。 ※「長浜ラーメンとん平」は1989年オープンの門司本店、2018年オープンの小倉東インター店、そして2019年オープンの足立店の三店舗で営業中です。
お店に着いてみると、真新しい看板には「長浜ラーメンとん平」と「無法松」の二つのロゴが端に書いてあり、無法松のロゴの横には修業中と書かれています。 どういうことなのか、めっちゃ気になりつつ、左脇の駐車場に車を停めてお店の前に。 ※駐車場は左横に2台、店舗前3台の計5台が用意されています。 店内は天井が高く、横に並んだカウンター8席の奥に一段高くなって厨房があり、手前側に6人用テーブル席が二つあって、コロナ対策なのか各席は少し離してあります。 まずはSさんのご紹介で平川店長にご挨拶をさせて頂き、お店の歴史を伺うことに。 開口一番、私が伺ったのは、「なぜ北九州で長浜ラーメン店を開業されたのでしょうか?」でした。
長浜ラーメンとん平は長浜ラーメンの源流の一つ、伝説の屋台長浜一番がルーツだった
平川店長に伺った話をまとめると、一風堂の河原社長や名島亭の木戸社長が修業をされたという伝説の屋台、長浜一番をご親戚の方がされていて、アメリカ留学から帰国した現社長がそこで修業して教えを受け、佐賀県諸富町に1985年に長浜一番諸富店を開業したのが始まりなのだそうです。 1989年に北九州大学にて学生時代を過ごした思い入れのある北九州の地に長浜ラーメンを広めたいという思いで、長浜ラーメンとん平、現在のとん平門司本店を出店され、長浜ラーメンの特徴は残しつつ、北九州の方々に愛されるように進化し続けてきた結果、30年以上に渡り支持されてきたとのこと。 そして2018年には2号店として小倉東インター店、2019年には無法松の跡に3号店として足立店を出店したとのことでしたが、1店舗で営業されてこられて、ここ数年で急に店舗数を増やせた理由を伺ってみると、平川店長をはじめとした現社長のお子さんたちの存在があったから出店が出来るようになったそうです。 後継者不足が深刻化している中、家業を継いで更により良くしようと思う後継者がいらっしゃるというのは、素晴らしいですね! 平川店長は子供の頃から店を継いで大きくすることを目標にしてこられたそうで、実際にお店に入るようになってから小倉東インター店を立ち上げ、3号店である足立店もオープンさせてらっしゃいます。
北九州で食べログラーメン部門No.1の老舗豚骨ラーメン無法松を引き継いだ経緯
北九州食べログラーメン部門1位 無法松の跡に出店され、更に無法松のロゴが付いていて修業中とはどういうことなのか?
ここで足立店の看板に無法松のロゴが入っていて修業中の文字が入っている理由と、どのようにして無法松さんを引き継ぐことになったのかをお伺いしました。 無法松さんは後継者がいない等の理由でお店を手放すことにされ、その話を聞きつけた平川店長が手を挙げたことから話は始まったそうで、その際の話し合いで、無法松の名前を使用することやレシピを受け継ぐことを無法松の大将から快く承諾頂かれたそうです。 そして平川店長は長浜ラーメンとん平の味と歴史を守ることと同時に、無法松の歴史と味も守りたいとの思いで無法松のロゴは残しているとのこと。 ただ、無法松のレシピは教えて頂いていても、かなり特殊なスープの炊き方の為、満足のいくレベルに到達するまでは、修業中として販売はせず、味の再現を目指して奮闘されているとのことでした。 ということは先々長浜ラーメンとん平のラーメンと無法松のラーメンの両方を食べられるお店になるということで、それはめちゃくちゃ楽しみですね!
ちなみに、現在でも無法松さんのレシピで辛子高菜を製造されていて、こちらは店内では自家製ダイコンの漬物と一緒に食べ放題として卓上に置かれており、またお持ち帰りでの販売もされていらっしゃいます。 それと、まだ無法松さんの再現は出来ていないけれど、無法松×とん平のスペシャルコラボラーメンMUTONラーメンは販売されていて、そちらもぜひ楽しんで頂きたい、とのことでした。
「長浜ラーメンとん平」足立店にて実食レポート
では、「長浜ラーメンとん平」のラーメンがどんなラーメンなのか、ここから実食してレポートさせて頂きます。 ※実際には営業時間内にラーメンを頂いた後に、営業終了後にインタビューさせて頂きました。
メニューは長浜ラーメン、そしてチャーシューメン、味玉ラーメン、そしておにぎり、ごはん、餃子のラインナップで、先に記載した通り、大根の漬物と無法松で出されていた辛子高菜の二種類の漬物が食べ放題となっていて、無法松×とん平のスペシャルラーメンMUTONも販売されています。 まずはレギュラーメニューを頂いてみようと、長浜ラーメン+味玉の味玉ラーメンと餃子を注文。
待っている間に卓上を改めて拝見すると、辛子高菜や大根の漬物以外では紅ショウガ、生ニンニク、ゴマ、コショー、餃子のタレ、ラー油が揃っています。 小皿に大根の漬物と辛子高菜を取り、ラーメンを待っている間につまんでみたら、大根の漬物は控えめな味付け(醤油も置いてあります)で口直しに良い感じで、辛子高菜に関してはもちろん辛いですが辛すぎず、漬物としてラーメンだけでなくご飯にも合う味でめっっちゃ美味しい! 100g単位でお持ち帰り販売されているので、買って帰る方も多いそうです。
そんなに待たずにラーメン、餃子が登場! 出てきたラーメンは美味しそうなバラ肉チャーシューとネギがどちらもたくさん入っていて、麺は長浜ラーメンらしく細麺、そして見た目かなりしっかり炊きこまれた豚骨スープの組み合わせ。 そこにトッピングした味玉が入っています。
着丼した時から豚骨フレーバーがしっかり感じられていましたが、スープから頂いてみるとしっかりと濃度もあり、豚骨のコクと甘みが感じられるスープにキレよくタレが効いていて、美味しいです。 鹿児島県産の黒豚の頭骨を丁寧に下処理した上でアルカリイオン水を使用して2日間かけて炊き上げたスープは、まろやかで臭みや雑味がなく、濃厚ながらも飲みやすいスープに仕上がっていますね~。 そこに創業大正4年北九州市門司区のヤマニ醤油を使用したタレを使い、塩味によるキレと甘みによるまろみがでた今時の美味しい豚骨スープという感じです。
麺は特注の佐賀県神崎町(素麺で有名な地域)にある老舗製麺所大久保製麺謹製の極細麺、極細ながらコシがしっかりしていて、スープとの絡みもバツグンです。 ちなみに、麺番で言うと30番、少なくとも28番くらいに感じたのですが、製麺所の方曰く特注の26番だそうです。
チャーシューは鹿児島県産の豚バラ肉を使用、ヤマニ醤油をはじめとした調味料でじっくりと炊き込んで作り上げた逸品。 チャーシューのみでも素晴らしく美味しく、ご飯に合わせて辛子高菜を添えたらもうそれだけで美味い丼になるくらいにバリうまです。
味玉は半熟具合と味付けがほど良く、これも美味いですね~。
餃子はやや小ぶりですが、しっかり焼いてパリパリの皮目とジューシィーな餡の組み合わせがバリうまで、手が止まりません。
正に進化系長浜ラーメン
長浜ラーメンと言えばどうしても元祖長浜屋のイメージが強く、スープは濃度低めの豚骨スープでタレはしっかり効かせてあるけど重たくなくて、毎日でも食べられるくらいの味わいが軽いスープに細麺の組み合わせ、肉は刻んだ塩辛いタイプというのが長浜ラーメンの一般的なイメージだと思います。 とん平のラーメンはスープ自体のボディがしっかりしていて、細麺という大前提は崩していないものの、豚骨スープやチャーシューに関しては、臭みがなくコクと旨味、そして甘みも感じられる今時の美味しい豚骨ラーメンであり、そういう点からすると正に進化系長浜ラーメンで、北九州の地に合わせて、長浜ラーメンの枠を壊さない範囲でアップデートし続けてこられたということだと思います。 進化し続けるその片鱗を味わうべく、次は無法松×とん平のスペシャルコラボラーメンMUTONを頂いてみました。
MUTONはスペシャルコラボラーメンというだけあって、まず見た目から豪華です。 バラ肉チャーシューと刻みチャーシュー、ワンタン、そしてキクラゲに白ネギと青ネギ、そして最初から上にコショーがかかっていて、すごく具沢山。
スープはとん平のスープとほぼ同じように感じられ、黒豚の頭骨で丁寧に炊き込まれた豚骨スープ、そこにとん平よりも更に甘みを強くした感じでタレが効いています。 後から伺ってみると、スープはとん平でタレが無法松のコラボなのだそうです。
麺は大久保製麺の特注麺で、とん平の麺よりも気持ち太めですがやはり細麺、気持ちモッチリ感がある感じで、この麺もまた美味いんですよね~。
また刻みチャーシューもスライスチャーシューもどちらも歯応えは残りつつも柔らかく仕上がっていて、味付けがまたしつかり、そのままでもバツグンに美味しく、かつラーメンとも相性バッチリです!
ワンタンは海老も入った餡がしっかり入っていて、これもまた単体でも十分に美味しい逸品です。
無法松のラーメンを食べたことが無く比較が出来ませんが、とん平のラーメンとはまた違う一杯、かつ麺も具材も美味しく、ボリュームもあって満足でした。
これからの「長浜ラーメンとん平」について
お店としての強みは、やはり30年以上の歴史があること、そして創業者から次の世代へ受け継がれる思いがあること、それらを踏まえた上で、より美味しいラーメンでよりたくさんの方に喜んでもらいたいというシンプルな行動原理で一歩一歩着実に進まれているというところではないかと思います。 その上で、無法松という同じ老舗豚骨ラーメン店の味も次代に繋げて再現していきたいと思って日々努力されているのだから頭が下がります。 各店の日々の営業をしっかりこなしながら、まずは無法松ラーメンの再現、それからいずれとん平と無法松どちらも店舗を広げていけたら、と平川店長は語ってくれました。
まとめ
北九州で長年営業している「長浜ラーメンとん平」は伝説の屋台長浜一番の流れを汲みつつ、地元に根付きながら進化し、次代の後継者を得て、同じ老舗豚骨ラーメンの無法松をも抱えて更に飛躍しようとされていました。 味と歴史を紡ぎつつ、更に進化を続けていくこれからの「長浜ラーメンとん平」に注目ですね! 尚、今回はセルフコラボとして、ラーメン大好きガーソーさんYouTubeでも動画配信中です。 良かったらそちらも合わせてお楽しみ下さい。 取材協力店 長浜ラーメンとん平 足立店 福岡県北九州市小倉北区神岳2-10-24 電話 093-533-6331