目に入れても痛くないほど娘をかわいがっていた義父母。そんな義両親からのお誘いでクリスマスパーティーを開催することになりました。軽い気持ちでお邪魔したところまさかの展開に。数年経った今では笑い話になっているクリスマスのちょっとしたハプニングです。
義実家でクリスマスパーティー
「今年のクリスマスはうちに来ない?」という義父母から誘われ家族3人でお邪魔することに。2歳の娘はチキンやポテトなどの好物を前に、嬉しそうな娘を囲んでパーティーが始まります。
お腹も満たされてきた頃、義父が席を外ししばらく戻ってきません。いつも遊んでくれる「じいじ」が長いこと部屋にいないので、さすがに娘も
「じいじ、いない…」と気付き始めます。義母が私に目配せをして何か言いたそうにしているので近づくと、
「実は今から孫ちゃんにクリスマスプレゼントをあげようと思うの。お父さん、着替えているからちょっと待ってね!」
「着替えているって、まさかサンタですか!?」と驚く私。
当時2歳の娘は人見知りで怖がり。実は前日の保育園のクリスマス会で現れたサンタさんを怖がり大号泣したことを知っていた私。義父がサンタに扮するとは思っておらず… 1人ずつプレゼントをもらいに行くというイベントも先生から離れず泣いて終わった娘。その話を聞いていた私は、義父母の計画に嫌な予感しかありません。
私のリアクションを喜んでいると勘違いした義母は
「そうなのよ! 昔子どもたちに使った衣装を引っ張り出してきてね、すっかりやる気なの!」と嬉しそうに答えます。いやいや、そうじゃなくて… と反論したかったものの、目の前の義母や準備している義父のことを考えると何も言うことができません。夫はお酒も入ってやりとりに全く気がついておらず、私だけがソワソワした状態で待つことになりました。
突然のサンタの登場に泣きわめく娘
すると突然
「〇〇ちゃん! メリークリスマス!」と娘の名前を呼びながら白ひげサンタがリビングに登場。その大きな声と見知らぬ姿に娘の顔はみるみる引きつり、怖がっているのがひと目で分かります。
「ギャーーーーーッ!」と声にならない声で泣き叫び私にしがみついてくる娘。怖がりようを理解していない義父は
「どうしたのかな? サンタさんだよ~」と食い下がります。
「ほら、サンタさんが来てくれたよ」と合いの手を入れる義母。
近づいてくるサンタに娘は顔を真っ赤にして
「イヤーーーー!」と全力で拒否を続けています。泣き止まない娘を見て、さすがに楽しんでもらえていないと気づいたのか
「〇〇ちゃん、どうしたんだい?」とうろたえるおじいちゃんサンタ。もちろん娘は答えられる状態ではないので
「あー… すみません。サンタさん怖いみたいです…」と伝える私。パニック状態の孫を見て
「そうか…。じゃあプレゼントはここに置いておくね」と落胆した様子で部屋を出ていきました。
しばらくしてリビングに戻ってきた義父。もともと怖がりで人見知りの性格の娘は、まだ私にしがみついて泣いています。がっくりと肩を落として言葉を発しない義父。義母は残念がりながら義父をねぎらっています。夫はすっかり酔っていて一連の出来事をきょとんと傍観するのみ。
娘の機嫌はすぐには直らず、結局その日にプレゼントを開けることはできませんでした。せっかく準備してくれた義父母も、楽しいクリスマスが台無しになった娘もかわいそうに感じてしまった私。
「ひと言相談してくれていればこんなことにはならなかったのに」と思わざるを得ませんでした。
今では大人たちの笑い話に
数年経った今では、
「あの時は孫ちゃんにあんなに泣かれてびっくりしたな~」と言う義父に
「そうそう、あの時のお父さんったら何だか滑稽だったわよねぇ」と義母が返し、義実家でこの時期定番の笑い話になっているこの出来事。
娘の記憶には残っていないようですが、娘はサンタさんの存在を信じているのであまり余計なことは言わないでほしいと願う私なのでした。
(ファンファン福岡公式ライター/西本結喜)