<面会交流支援サービス>知っていますか? 離婚後の子どもとの面会の実態

 「面会交流」という言葉を聞いたことはありますか? 「面会交流」は離婚した親(同居していない)と子どもが定期的に会うことを指しています。「面会交流支援サービス」の支援員として、私が感じた家族とのありかたとは? 子どもたちの想いをお話ししたいと思います。

目次

面会交流支援サービスとは

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 「面会交流支援サービス」というのは、子どもの面会時に、離婚した両親が顔を合わせることなく子どもを引き渡せるようにお手伝いすることです。また子どもが同居していない親と面会時間中、安全に過ごせているかを遠くから見守るサービスでもあります。

 私は知人の紹介で、面会交流支援サービスの仕事を依頼され、引き受けることにしました。私がお手伝いしている団体はNPO法人で、裁判所や公的機関から面会交流希望の家族の紹介を受け、面談の後、面会交流支援サービスを行っているところです。

 ほとんどはママから子どもを預かり、子どもがパパと面会するお手伝いをするケース。面会時間は2時間から長くて5時間、場所は児童館や公園で、安全のため人の目があるところに限られています。会いに来る親は離れて住んでいる人も多く、飛行機や新幹線でわざわざ面会に来る人もいて、様子を見ているとそれだけ子どもに会いたい一心なのが伝わって胸が痛くなるほどです。

両親の間で揺れる子どもの心

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 私がこのお手伝いで出会ったMちゃんは小学3年生で、パパと面会交流4年目でした。お人形のように目の大きなかわいい女の子です。
 「わたしチラシのモデルをしているの」と嬉しそうに教えてくれました。

 私がMちゃんを見て気づいたことは、パパを「この人」「あの人」と呼んでいたことです。どうやら、ママの言い方をそのまま真似ているようでした。ときには「パパ」と言いかけて「あの人」と直すことも。Mちゃんは心のどこかで「パパと呼んではいけない」と思いこんでいるようでした。きっと同居しているママへの小さな気遣いなのかもしれません。

 面会時間中、Mちゃんはいつもパパと鬼ごっこしたり、ボールで遊んだり、時には座っておしゃべりして過ごしています。笑顔でパパと話しているMちゃんを遠くから見守りながら私はいつも、何か寂しいものを感じずにはいられないのでした。

 面会時間たっぷり遊んでパパとさよならの時間が近づくと、Mちゃんはきまって少しずつパパにそっけなくなります。さよならするときはパパを無視するかのごとく、背を向けてしまうのです。寂しそうなパパは
 「じゃあね」と言い、いつも先にいなくなります。私が
 「パパにバイバイしなくていいの?」と聞くと
 「いいの。また会うから」と…。

 しばらくすると、私とMちゃんのところへママが迎えに来ます。ママが
 「楽しかった?」と聞くと、Mちゃんはいつも
 「ぜんぜん楽しくなかったよ。でも、遊んであげたの!」とその表情は誇らしげです。それぞれの親の気持ちを小さな心で理解し、健気に順応している様子を間近に見て、私はいつも、たまらない気持ちになるのでした。

支援員として思うこと

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 この面会交流支援サービスは子どもが小学校を卒業すると終了します。中学生以降は子ども自身が親に会いに行ける年齢ということで、別居している親に会うかどうかは子どもの意思に任されている形になります。

 面会交流支援サービスを卒業した親子へは定期的にその後の様子をヒアリングし、困ったことがあれば相談にのるなど別の形でサービスが続きます。中学生以降、子ども自身が別居している親への面会を続けるケースは3割も満たしません。年齢的に思春期でもあり、学校生活が忙しくなることや、同居している親への気遣いなど様々な理由が考えられます。最終的に疎遠になってしまい「顔も覚えていない」となるケースがほとんどです。

 支援員として活動するなかで、さまざまな家庭の姿やいろいろと考えさせられるシーンに立ち会うこともあり、家族関係の難しさを痛感しました。私にできることは些細な会話でもしっかりと聴き、共感を心がけ子どもたちの心にあたたかいものが少しでも残るようにするばかりです。

(ファンファン福岡公式ライター/松永つむじ)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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