店主の「好きなもの」があふれる郊外のコーヒー店【綾部珈琲店】

 福岡市地下鉄茶山駅から住宅街の細い道を抜け徒歩約7分、城南高校(福岡市城南区)の正門前に現れるシックでモダンな建物。自家焙煎(ばいせん)のコーヒーが楽しめる「綾部珈琲店」(同区)は、美しい空間の中で楽しむこだわりの味と店主の人柄に引かれて多くの客が訪れます。

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

 2019年10月にオープンしてこれまで、ファンがSNSでその魅力を発信している同店。店主の井田悠樹さんは10代の頃から「好きなことだけしたかった」と、さまざまな仕事を経験し、たどりついたのがコーヒーの世界。以前、同区別府にあった「綾部珈琲」を2005年に受け継いで経営していましたが、井田さんは2年ほどでその店をたたみ、一念発起して東京の「マキネスティコーヒー」(東京都墨田区)へアポなしで向かったそうです、しかもバイクで!

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

 「当時おいしいエスプレッソといえばそこ、というくらい有名だった日本のシアトル系コーヒーの走り。雇ってほしいと直談判し、最初は断られましたが、結局ロースター(焙煎士)やマネジャーなど修行を重ねて今に至ります」。

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

 この店の扉を開けると、機関車のように重厚な焙煎機がお出迎え。ドイツ製のプロバットというメーカーで、構造原理は100年変わらず使い続けられているそうで「ドイツ製品らしい無骨さと妥協のなさがいいんです。この焙煎機がうちの心臓。これを置くことを先に決めて、内装を考えました」。

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

 店内の落ち着いたブルーグレーのペンキは井田さんが自ら塗り、家具は、家具職人のハンドメードとヨーロッパのアンティークでまとめてられています。さらにカウンター越しに話しながらふと気付いたのは、187cmという長身の井田さんと目線が同じということ。

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

 「自分の身長に合わせて、カウンター内の床を下げて、客席と目線が同じになるようにしています」。豪快なようで繊細、ワイルドなようでマイルド、そんな井田さんの人柄はコーヒーの味、そして自家製のスイーツにも表れています。

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

 メニューはカウンター上の黒板に書かれたラインアップのみ。浅いりから深いりまで、「グアテマラ」や「ケニア」などシングルオリジナルコーヒーが常時6種類、それに日替わりのブレンド1種類を提供しています。一番人気は中いりの「ブラジル」(500円税込み)で、ほのかな酸味とナッツのような香りと甘味が楽しめます。

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

 今回はSNSでも話題の「ブラジルプリン」(400円)と、それに合わせたコーヒーをお願いしました。店で提供するハンドドリップコーヒーは、すべて欧米のアンティークカップに注ぐそうで「お客さまの雰囲気、合わせるスイーツ、飲むコーヒーの味によって気ままにカップを選んでいます」とのことで、私に合うようなカップをセレクトしてもらいました。

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

 南米出身の友人からレシピを教えてもらったという店の名物ブラジルプリンは「コーヒーで有名なブラジルで食べられているなら、コーヒーに合うはず」と作り始めたそうで、しっかり固めの食感と、ほのかにビターで香ばしいカラメルが特徴的です。

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp
出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

 コーヒーは、このプリンと相性がいいという、深いりのマンデリン(500円)をいただきました。どっしり力強い苦みのあとにスッとした爽やかさを感じる後味。ブラジルプリンを口にした後は、甘味との相乗効果でまた違うコクを楽しめました。

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

  他にはベースにクルミたっぷりでサワークリームの爽やかさが大人向けの「ニューヨークチーズケーキ」(450円)や、濃厚な「テリーヌチョコレート」(300円)など、いつも3種類のスイーツが用意されています。

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

 「うちでは旬の豆をセレクトしているので、豆の種類や生産農園は常に変化しますが、焙煎やドリップの技術など、ベーシックな部分を淡々と成熟させていくイメージです。おいしいコーヒーを楽しむ時間を味わいにきてください」と井田さんは話します。テーブルには井田さんがセレクトした文庫本が置かれ、「スマホを触る手を止めて本を読む時間もどうぞ」とさりげなく提案されています。

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

 郊外店ならではの落ち着いた雰囲気とこだわりの空間、店主とのおしゃべり、そこでいただくおいしいコーヒー&スイーツで、心も体もあたたまる体験が楽しめそうです。

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

綾部珈琲店

住所:福岡市城南区茶山5-7-1 電話:050-1432-2714 営業:11:00~20:00(L.O.19:30) 月曜休 インスタグラム:@ayabecoffee

綾部珈琲店 facebook

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

「ファンファン福岡/サブクリップ」(福岡都市圏内配布、福岡市地下鉄駅駅設置)紙面に掲載した話題、編集部員が突撃取材した話題などを紹介します!

目次