私が子どもの頃の話です。節分の日には、毎年家族で豆まきをするのが恒例でした。「誰が鬼になるか?」が毎年の課題でしたが、その年はある秘策を使ってスムーズに鬼役が決定。ところが、その後びっくりするようなこわ~い事件が起こったのです! その事件とは一体…。
みんなが嫌がる鬼役。豆まきが始められないという時に秘策が!
私が子どもの頃の話です。節分の日は、家族全員で豆まきを行うのですが、毎年の課題は、「誰が鬼になるか?」というところ。きっと、多くのご家庭では、親が鬼の役、子どもが豆を投げる役かと思います。
わが家も昔はそうだったのですが、全員が渾身の力を込めて豆をぶつけるので、痛いことが何より苦手な父は、鬼役を辞退するという事態に。
それ以降は、ジャンケンやくじ引きで鬼役を決めていたのですが、盛り上がってくると加減を忘れるわが家なので、子どもの私が鬼になろうとも豆を投げる力はさほど変わらず、鬼役が当たってしまうとまったく楽しめない行事でした。
ある年、やっぱり鬼役がなかなか決まらなかった時に、母が
「行事は、みんなで楽しまなきゃダメだよね! 誰かが鬼になるのはもうやめよう!」と、窓の外に鬼のお面を貼り付けに行きました。
「今年から、鬼役はこの窓!」自ら窓ガラスに貼った鬼に向かって豆を投げ始めたのです。なんというナイスアイディアでしょう。これなら、誰も痛い思いをせずに、力いっぱい豆をぶつけられます。
ストレスなく、全員が豆まきを楽しむことができ、その日は満足しながら眠りについたのですが…、そのあと事件が起こったのです!
豆をぶつけられた鬼の恨み?!
節分の日は雨が降っていたのですが、翌朝は晴天。日の光を浴びるためにカーテンを開けました。
すると窓には、雨でビチョビチョに濡れて半分色が変わっている鬼のお面が! 子どもだった私は一瞬、本物の鬼がいると思い思わず
「キャー!」と叫んでしまいました。
節分が楽しすぎて、家族全員が鬼のお面を窓から剥がし忘れてしまっていたのです。習慣って怖いもので、きっと豆まきが終わったら無意識にカーテンを閉めてしまったのでしょう。
雨に濡れたせいなのか、存在を忘れられていたからなのか、はたまた豆を思いきりぶつけられた恨みなのか…。鬼のお面は、昨日よりも怒っているように見えます。
日の光を浴びようと開けたカーテンの向こうから見つめる鬼の目。剥がし忘れただけの笑える話ではあるのですが、全く予想していなかっただけに、今でも節分の日になると、あの鬼のこわ〜い目を思い出します。
翌年からは、窓にお面を貼った人が剥がすというルールに変わり、こんな経験をすることはなくなりましたが、それでも節分の翌日は、ドキドキしながらカーテンを開けていました。 現在は、自分が親の立場になり、娘が父親に豆をぶつけたがるので夫が鬼役をしていますが、この先もしも、窓に鬼の役をお任せする時は、うっかり鬼の面を剥がし忘れないように気をつけたいと思います。
(ファン福岡公式ライター/tamura)