フクリパコラムでおなじみのアブローダーが、Kindleで出版しました!どのぐらい売れてるの?そもそもなぜ出版したの?今後の目論見は?「出版」を通してアブローダーがフリーランスの“仕事の作り方”を伝授してくれます。
先日、「本」を出版しました。Amazonが提供するKindleを使った電子書籍です。 実はこれ、「誰でも本を出版できる」サービスです。パソコンを使用したことがある人なら一度は使ったことがある「マイクロソフトのワード」を使って、簡単に出版することができます。僕も無料のアプリを使って出版しました。 さらに本の中身の90%以上をスマホで作っています。要は簡単に誰でも出版できます。いまや「スマホで本を自分でつくれる時代」です。今回は、Kindle出版を使ったフリーランスの営業や会社員が副業で使えるマーケティングの仕組みを紹介します。
本をスマホで作れる時代
みなさんは「本」に対してどんなイメージをお持ちでしょうか。「趣味や楽しみ」として本が好きだったり、「情報収集」として本を読んだりすることが多いかもしれません。僕は本が好きです。年間300冊以上は手に取るほど「本を読むこと」が習慣になっています。1日で数十冊読む日もあれば、1週間かけてしっかり調べながら読み進める日もあります。365日、本に触れるほど本が好きです。「本が好き」だからこそ、自分で本を作ってみたいと思うようになりました。せっかくなら自分で本がつくりたいとKindleで出版したわけです。
なぜ本をつくるのか?
なぜKindle本をつくることにしたのか、その理由は5つあります。一言でいえば、本は自分の活動を「宣伝」するツールになるからです。会社員やフリーランスとして活動している自分の「営業ツール」や「マーケティング戦略」に使えます。どうして本は使えるツールなのかを詳しくまとめます。
1. 本が自分の活動の宣伝ツールになる
本を出版することは単純に「自分の活動を宣伝する」効果があります。言い方を変えれば、本は「チラシ」と同じツールです。例えば、家のポストに「新しくできたお店のチラシ」や「出前のパンプレット」が入っていることはありませんか。何気なくチラシを手にとって「こんなお店ができたのか」とか「今度このお店で出前を頼んでみよう」と思うことがありますよね。要は、チラシやパンフレットは自分のお店を知ってもらうきっかけを作っています。 本も同じです。自分の仕事を知ってもらうきっかけを作ってくれます。「こんな仕事をしている人がいるのか」とか「今度この人に仕事をお願いしてみようかな」と思ってくれる人が仕事依頼をしてくださるのです。本を出すことによって「自分はこんな活動をしています」と多くの人に知ってもらうことができます。 以前 「コロナショックから考える、福岡のリモートワーク。」の記事でも紹介したように、僕は普段スマホで仕事しています。日本全国を飛び回りながら移動生活をしています。実際どうやって仕事をしているのか、どんな荷物を持って移動しているのか不思議に思われることも多いです。だからこそ、どうやって仕事をして、どんなアイテムを持ち歩いているのかを本にまとめました。今回僕が作ったのが「これからの時代のアイテム集 WEARABLEGEAR(ウェアラブルギア)」です。
面白いことに、この本をきっかっけに、いくつかの仕事の依頼をいただきました。仕事で使えるアイテムのレビュー依頼や最新の働き方に関するテレビ取材のインタビューなどです。これは「本」が自分の活動を広めてくれる「チラシ」になった結果です。本を作った結果、本が宣伝ツールとなり、新たな仕事に繋がるわけです。
2. インフルエンサーの出版ブーム
今、密かに巷でブームになりつつあるのが「インフルエンサー」による出版です。最近、こんな本をよく見かけませんか。「登録者50万人越えのYouTuberの自叙伝」や「月間100万PVのブロガーのエッセイ」などです。つい数年前までは「テレビに出ていた」タレントや専門家の方々が出版していた本が多かったと思います。しかし今では「ネットで活動している」YouTuberやブロガーが出版しているケースが増えています。 インフルエンサーが出版している理由の一つは、本が売れる見込みが想定しやすいからです。今や「出版不況」だといわれる世の中です。活字離れといわれるように、単純に文字を読む人が減りました。出版の業界も市場そのものが縮小して本が売れない時代になっています。例えば、1万部売れれば「そこそこ」人気になったかなという具合です。もはや3万部で「ベストセラー」ともいわれるようになりました。 本が売れない時代だからこそ、TwitterやYouTubeで活躍しているインフルエンサーの本を出版しています。ネットで活躍しているインフルエンサーが本を出せば、そのフォロワーさんが購入してくれます。TwitterやYouTubeのフォロワー数を見ながら、どれだけ売れるのか予測しやすいのです。本が売れない時代だからこそ、今までとは違うネットで活躍するインフルエンサーを使った本が増えています。
僕の友人のTwitterやYouTubeで活動しているインフルエンサーたちも本を出版し始めました。1冊のみならず、2冊目を出版している人もいます。本を使って自分の活動を広めるマーケティングが流行っているからこそ、このブームにのって、自分でも出版するとどうなるのか実験したいと考えました。
3. 本を書くためのライティング力をつける
もしあなたが出版社の方から「本を書いてください」と頼まれたとしたらどうでしょう。いざ本を書いて欲しいと頼まれても、大抵の人は「何を書いていいかわからない」はずです。実際、本を書き上げることは、そこそこハードルが高い執筆の仕事です。仮に本ができたとしても、最低でも1万冊が売れるくらいの内容にしなければなりません。本を出版して自己満足するだけではもったいないです。せっかく書くのなら「多くの人」に読んでもらえた方がいいです。 だからこそ、出版の実験練習としてKindle本をつくりました。実際に本を作ることで、執筆のスキルアップをしたいと考えていました。もし出版社の方から本の出版を頼まれたとしても、本を書くスキルがなければ難しいです。本を書くための執筆力を高めるためにKindleで本を自作しました。 今回作った本は全150ページです。アイテム集として写真が多い雑誌を作りました。雑誌で使う写真撮影から、コンテンツに使う文章など全て一人で考えています。一度考えた案をもとに、フリーランスのコミュニティーの中でオンラインで意見をもらいながら完成させました。本の文章はほぼ全てスマホで作っています。詳しくはKindleの本で読んでもらうとわかるのですが、スマホの音声入力や最新のアプリを使って自分で作っています。要するに今の時代、本はスマホで作れます。 もし、自分が本を書くと仮定すればどうでしょう。増刷されるほど人気本をつくることができるでしょうか。2冊目が求められるほど欲しいと思われるでしょうか。よりいい本を作って、よりたくさんの人に本を届けるためのスキルをアップしなければなりません。本が好きだからこそ、自分で出版する実験をしています。いざ、自分が「本を書く」ときに、読んでくださる方の「記憶に残る」本を書くための演習です。
4. KindleはSNSと同じマーケティングツール
電子書籍はSNSと同じです。本は自分の活動を宣伝するチラシだとお話ししました。さらに深堀りすると「Kindle」は自分の思いや行動を「文字」で届ける「SNS」だと考えています。電子書籍が読めるサービスであるKindleをSNSとして利用するイメージです。僕はKindleをTwitterやYouTube、Instagramやブログと同じソーシャルネットワークサービスだと捉えています。 最近、大手企業が使う「広告」が変わりつつあります。これまで広告の主流だったのはテレビでした。しかし今ではテレビCMを辞め、自社のSNSを使って宣伝する企業が増えています。株式会社電通が発表した「2019年日本の広告費」のテレビメディア広告費とインターネット広告費比較によると、テレビメディア広告費が1兆8,612億円、インターネット広告費が2兆1,048億円となっています。要するに、ネット広告がテレビ広告よりも使われており、なおかつ金額が2兆円を超える規模だというわけです。
テレビよりもネットが使われている例はもっと身近にあります。例えば「Instagramに投稿したらドリンク1杯無料サービス」や「Twitterでリツイートすれば抽選でアイテムプレゼント」などのSNSキャンペーンをみたことがありませんか。これは、SNSの口コミ効果やシェアされる効果を使った宣伝方法です。要するに企業はSNSを使ってあらゆる方法を試行錯誤しながら、自分たちのサービスを広めています。 InstagramやTwitterのようなSNSと同じ効果が得られるのがKindleです。特にKindleは、「本が好きな人」や「活字を読む」タイプの情報収集が好きな知識欲がある人にアプローチできます。SNSによって利用者の層が違うからこそ、別のアプローチが必要になります。例えば、今話題のTikTokであれば10代をダーゲットにできます。Instagramは主婦層に人気です。Twitterは男性層が多く、YouTubeは最近幅広い年齢層に浸透してきました。 今は誰もがTwitterで投稿するのが当たり前になりつつあります。ほとんどの人がInstagramで映え写真を更新する世の中です。自分のYouTubeのチャンネルを1人1つは持つのが一般的になりました。それと同じようにKindleの出版が当たり前になるかもしれません。今でこそ、本を出版することはハードルが高いイメージがありますが、数年後には「誰もが1冊は自分で出版する」時代がくるイメージもできます。
5. 価格「100円」で売るカラクリ
実は今回、Kindle本を1冊100円で出版しています。Kindleの場合、本の値段を自分で決めることができるからです。100円で出版しているため、例えKindleの本を1,000冊購入されても10万円の売上にしかなりません。これでは利益はほとんど残りません。僕が本を出版している理由は、自分の活動を宣伝するためです。本の印税を目的に作っていないため問題はないのです。
活動を宣伝するために使えるのが「Kindle Unlimited」の読み放題サービスです。このサービスは、月額課金制で1ヶ月に何冊でも本が読めます。和書で12万冊以上、洋書で120万冊以上の本が読み放題となっています。この読み放題サービスに、自分が作った本を登録すれば読んでくれる人が増えます。読者は月額で何冊も読めて、出版者の僕はより多くの人に本を届けることができます。1冊100円でも読めるし、月額読み放題サービスでも読めます。こうして限りなく購入のハードルを下げることで、1,000円で販売するよりも読んでもらえる確率を上げています。「100円なら読んでもいいかな」「読み放題ならいいかな」と、心理的ハードルを下げています。こうすることで、読んでくれる人を増やし、僕がどんな活動をしているのか知ってもらう機会を増やしています。 さらに、読み放題サービスに登録された本の売上は、閲覧ページ数を元にAmazon独自の指標で決まります。単純に100円で販売した本の売上部数だけでなく、読み放題サービスで読まれた本の閲覧ページ数で金額が決まります。仮に毎日1万ページ以上に読まれたとすれば、数十万円の収入になります。ありがたいことに今現在、出版した本がかなり読まれ始めました。1日1万から2万ページ程度読まれています。1冊が150ページなので、単純に1日100人以上に読まれているイメージです。多くの方に活動を知ってもらう宣伝ツールとしては数字として効果が出てきています。
今の時期は何でも仕事になる
自分の活動を宣伝するツールを分散させるのも方法の一つです。「本」を出版して活動をまとめることで、他のSNSとは違う宣伝効果が生まれます。活動を宣伝した結果、テレビ取材の依頼やレビューを書く仕事依頼を受けることもあります。本の出版は仕事をしている自分の「営業ツール」や「マーケティング戦略」の一部です。 これまでフクリパの連載で幾度となく「何でも仕事になる時代」だと書かせていただきました。数ヶ月前の記事で紹介したように「離島に移住して魚突きをしたこと」も仕事になる時代です。ミニマリストとして「手ぶらで生活するアイテム集」を本にすることで仕事をつくることができる時代です。表向きは100円で出版されているただの雑誌でも、裏にはマーケティングの要素が詰まっています。
要するに、今の時代は「好きなこと」を「何でも仕事」にできます。あとは行動するだけです。もし気になった方は、Kindleで僕の本を読んでみてください。たった100円です。自動販売機でジュース1本買うよりも安い金額です。読んで少しでもいいなと感じていただいた方はレビューを書いていただけると嬉しいです。 文=アブローダー