佐賀市『いいモノさがし』☆海苔加工品「有明の風」にインタビュー

佐賀市『いいモノさがし』インタビュー

「有明の風」初摘みシリーズ 焼のり/塩のり/めんたい塩のり/コラーゲン塩のり/おにぎり塩のり/のり佃煮(梅味)

佐賀市が認定する良質で安心、美味な『いいモノさがし』。佐賀海苔は15年連続生産高日本一を記録していますが、きょうは一番よい品質の初摘み海苔だけを使用した海苔加工品を販売する「有明の風」に取材しました。

出典:ファンファン福岡

――こちらは最高品質の海苔に、めんたい、コラーゲン、わさびなどを振りかけた海苔で、若い世代にも人気のある海苔の加工品を作っておられますが、ご主人は海苔のお仕事をいつからなさっているのですか。 東島吉孝さん:二十歳(はたち)のときからですから、46、7年目になります。海苔は私の父の代から始めました。昭和26年に私が生まれ、その翌年から、父は海苔の漁師になったんです。 家業としての漁業は140年以上、明治になってすぐのことで、私で4代目です。 ――佐賀といえば、海苔が全国的にも大変有名ですね。 東島さん:はい、ここ10年ぐらいは水揚髙が安定して、経営的にも安定しています。 ――一次産業である海苔の生産に加えて、加工品を作られたきっかけは何ですか。 東島さん:生産から加工品の製造、販売まで手がける6次産業になったのは、平成19年です。それ以前から、うちの奥さんがアルバイト的にぼちぼち、ネットで販売していましたが、自宅の敷地内の車庫を建て替えて、本格的に加工機械を導入したのはその年で……。

出典:ファンファン福岡

――加工と販売の「有明の風」ですね? 東島さん:「有明の風」はうちの販売店の名前、JF(漁協)では「肥前海苔グループ」といいます。県の事業で、平成十一年度に共同で使う海苔の加工場を埋め立てて作りました。その前は豊作と不作が繰り返し来ていましたので、生産設備投資が難しかった。 ――海苔の生産量は、浮き沈みが相当あるのでしょうか? 東島さん:昔はね。やっぱり天候に左右されるし、技術がまだまだなところがありました。機械や技術が進んだことにより、生産がコンスタントになりました。佐賀の海苔が15年連続日本一になったのもそれだからです。そうなってこそ、海苔業者も初めて設備投資ができます。 16年ほど前までは、うちも夫婦で海に出ていたんですよ。それが、奥さんが椎間板ヘルニアで腰を痛めて、手術して良くなったんですが、仕事は体を壊すためにしているのではないですからね。人を雇うようにして、彼女は陸(おか)に上がりました。でも、周りの奥さんたちは海に行ってましたし、手持ち無沙汰だったんでしょう、自分でワープロ、パソコンを勉強して、海苔をインターネットでぼちぼちと売り始めたわけです。

出典:ファンファン福岡

――そのとき、奥様は50代くらいですか? 東島さん:そうですね。 ――焼き海苔、塩海苔のほか、「有明の風」さんには多くのフレーバーの海苔があります。めんたい、わさび、コラーゲン、黒こしょう、おにぎり塩海苔などなど。 東島さん:最初は焼き海苔と塩海苔でした。漁師さんたちの間では、塩海苔はシーズンの最後あたりに獲れる、まあ、いうならば下級品なんです。そのまま食べるには口に入れにくいので、油を引いて、塩をふりかけて食べる。 ――佐賀は海苔は最高級のものが手に入りますから、皆さんの舌も肥えています。東京はじめ他のところでは、韓国産の海苔もスーパーで安価に出回っています。 東島さん:韓国産はごま油で味付けがしてありますね。平成十九年当時、佐賀海苔はすでにトップブランドでした。「有明の風」を始めるにあたって、「どうせ加工品を手がけるなら、塩のりといえば下級品という常識を覆して、初摘みの――われわれは<華海苔(はなのり)>と言うんですけれども、いいものを使おうと思いました。

出典:ファンファン福岡

――華海苔とはきれいな呼び方ですね。 東島さん:俗称ですけれども、2回それがとれる。海苔は二期作です。近年は温暖化でカレンダーが後ろにずれていますが、海苔の種付け解禁は10月の中旬以降、10月20日頃、カキ殻を吊り下げた網を海に張ります。1か月ほどしたら、海苔はとれます。1回目にとれるのが「秋芽(あきめ)海苔」で、大体12月下旬まで。 その後にとれるのが「冷凍海苔」。まだ1ヶ月たたないうちに、25日目ぐらいの苗の状態で引き上げて、冷凍庫で海苔の芽を冬眠させます。マイナス30度。冷凍海苔は冷凍庫から海に戻すと、すぐ成長します。 ――へえ……冷凍庫で冬眠させるんですか。知りませんでした。 東島さん:シーズンの初めのうちは水温が高いため、海苔に病気が出やすいんです。病気が発見されると、それを撤去してまた張り込んだり……そうやって親父の代から、ずっと海苔をとってきていますから、味付け海苔を作るなんてやりたくないなあという気持ちはあったんですよ。われわれ漁師の頭の中では、味付け海苔は一段下の品質のものを食べられるように味をつける、と思ってますから、抵抗がある。頑固だといわれようと(笑)。 焼き海苔が王道。でも、焼き海苔だけ並べていても売れませんから。 ――ならば、最高級の初摘み(華海苔)を使って、味付け海苔を作ろうと。 東島さん:そういうことですね。どうせ加工品をやるなら。「有明の風」の初摘みシリーズはこうして生まれました。 (取材・文 佐賀市シティプロモーション室 樋渡優子)

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