若いうちからの予防で骨密度の低下を防ぐ【諸岡整形外科クリニック】

 骨がスカスカな状態になる骨粗鬆症は自覚症状のないケースが多く、骨折が起きることで一気に生活の質が低下することも。将来の寝たきりを予防するために今からできることを、諸岡整形外科クリニックの八尋健一郎先生にお聞きしました。

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【整形外科専門医】諸岡整形外科クリニック 八尋健一郎先生

 筑紫野市出身。九州大学医学部卒業。同大学病院整形外科、国立病院機構九州医療センター整形外科などを経て2022年より「諸岡整形外科クリニック」勤務。地域の健康を守るホームドクターとして、一人一人に寄り添った医療をモットーとする。

女性に多い骨粗鬆症。瘦せすぎや生活習慣病にも注意

 骨粗鬆症とは「骨がスカスカ」「骨密度が低下する状態」のことであり、自覚症状のないケースが多くあります。怖いのはそれによって骨折が起きることで生活に質を一気に低下させること。そこから要介護になったり寝たきりになったりする方が多く、寝たきり患者の13%(8人に1人)は骨折が原因といわれています。実際、骨粗鬆症が進んでいても本人は痛くもかゆくもなく、骨折時の検査で初めて骨粗鬆症が判明する方がほとんどです。そこで重要なのが「骨粗鬆症予防」を考え、早めに取り組むことです。

 骨粗鬆症と診断される方は女性ホルモンが低下した「閉経後の女性」が最も多く、次に「活動量が少ないのに痩せすぎている人」。簡単に判別する方法として「体重に20足した数字が年齢より低い」方は骨粗鬆症の可能性が高いですね。糖尿病を始めとした「生活習慣病」の方も骨粗鬆症になりやすいといわれています。

骨密度を知り、向上させるのは将来の寝たきりを予防するため

 骨粗鬆症の方は尻もちをついたりくしゃみをしたりしただけで、脊椎骨折(圧迫骨折)をする場合があります。そこで、50歳前後に整形外科での骨密度検査を推奨しています。「ここが骨折したら検査しなくても骨粗鬆症」という診断基準になっている腰椎と大腿骨部をX線撮影するDEXA法なら、高い精度での診断が可能です。

 骨粗鬆症治療は服薬や注射などが主で、他は食事指導や日光を浴びる生活、運動の推奨などになります。しかし骨密度があまりに低い状態で骨折した場合は生活しながらの治療が難しく、神経障害を起こす可能性もあるため入院し、安静にして治療に取り組むのがベターだと考えます。

 対策を十分にとらない60歳以上の女性のほとんどが骨密度が低下していると考えられています。つぶれた骨は元に戻りません、だからこそ早いうちから運動や食事など「骨にいい生活」を心がけ、将来の寝たきりを予防しましょう。

高齢男性も「骨美人」を目指そう

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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