多くの職場で「女性活躍」が叫ばれる昨今。数年ほど前、私が働いていたメーカーでは、管理職になったばかりの男性社員が「女性活躍」を意識し過ぎて、逆に若手女性社員たちから敬遠されるという事態が起きました。職場で起こったトラブルとは一体?
研修を受けて、男性上司の態度が一変!
私が勤めていた企業は、10年ほど前までは男性職場でしたが、リケジョ(理系女子)ブームもあって近年は女性社員も増えています。当時の部署では、男性社員が20人に対し、女性は私を含めて4人。
出産や介護などで女性のキャリアを中断させないため、会社としてもさまざまな制度を整えつつ、それを支える幹部社員にも女性活躍を支援するよう研修がたびたび開かれていました。
職場のリーダー的存在で、40歳すぎで管理職試験に合格した男性社員は、会社に忠実で仕事熱心な人でしたが、男尊女卑の考えが強く、大切な仕事は決して女性に任せてくれませんでした。女性を登用する人事には人一倍反対していました。しかし、そんな彼が管理職に昇進した直後から一変したのです。
若手女性社員に大きな仕事 男性社員からは不満も
管理職になった男性上司は、面談などで若手女性社員の意見もじっくりと聞いてくれるようになりました。管理職研修を経て、「女性社員も大切にしなければ」という気持ちが芽生えたようです。
特に、まだ結婚していない入社2〜5年目の若手女性社員に大きな仕事を与えるようになりました。
経験の少ない女性社員たちは戸惑う一方、彼女たちのフォローに男性社員たちは追われることに…。当然のことながら、男性社員からは不満の声が上がり、同時に
「なぜ急に、こんな無謀なことを始めたのか?」という疑問の声があがるようになりました。
「女性は子ども3人産む。急いで出世を」
ある日の会議後、私は思い切ってその上司に意図を聞いてみました。すると、自信満々な表情に手振り身振りを交えて、驚くような答えが返ってきたのです。
「若い女性が、これから子どもを3人産むとしたら、育児休暇で少なくとも5年は職場を離れることになる。出産前までに男性社員よりも早く出世させてあげないといけない!」
つまり、若手女性の将来を案じての策だ、というのです。
「昇進年齢の平均が30歳であれば、女性は25歳で昇進させておかなければいけない。それを理解して、男性陣も協力して欲しい」と言い出したのです。
この勝手な理論に、みんながドン引き。若手の女性社員たちは今のところ結婚する予定はなく、出産計画について上司に相談した覚えもありません。彼が勝手に女性社員の将来を想像し、良かれと思ってやった行動だったのです。
女性社員たちからは
「子どもを3人産むと決めつけるのは気持ち悪い」、
「人の人生を先読みしないで」、
「子どもを産まない女性についてはどう考えているのか?」といった陰口が続出。
男性陣からは
「男性の育児休暇は視野に入れていないのか?」といった声も上がりました。
孤立した上司の行方は?
こうした噂は一気に広まるものです。他の部署でも上司の悪評が立ちましたが、幸か不幸か本人の耳には届かなかったようです。
そして偶然にも、男性上司は、女性がいない部署に異動することになりました。そのため仕事上での影響は少なくなったようですが、飲み会に誘われないなど、その後も男性上司は明らかに孤立していました。
今回のトラブルは、考え方が極端な上司の話でしたが、そもそも「女性活躍の推進」に違和感を抱く女性社員は多い気がします。「活躍 = 出世」と捉える風潮が強いからかもしれませんね。
女性も男性も気持ちよく働ける職場作りは難しいな、と実感した一件でした。
(ファンファン福岡公式ライター / nayuka)