「お金」について、毎回決まった質問にさまざまな分野で活躍する方々に答えていただく人気企画「お金にまつわる10の質問」。 第4回は、創建約1,700年を誇る「鳥飼八幡宮」(福岡市)の宮司を務める山内圭司さん。神社の境内で肉を焼き、ステージではライブが行われ、4日間で約5万人を集めるという「秋フェス」や婚活パーティー、マルシェなど、今まで神社で実施されているイメージのあまりない催し物の仕掛け人でもあります。
それでは「10の質問」スタートです!
① いま一番欲しいものと、その価格、理由を教えてください
今一番欲しいものは、100年後もたくさんの方から「素晴らしい」と思っていただけるような本殿と境内です。予算は全部で…18億円くらいでしょうか(笑)。 3年後の2021年に、鳥飼八幡宮は遷宮(※)を迎えます。ただ新しいものを建てるというのではなく、神社のデザインをゼロから考えるところからスタートして、ゆくゆくは流行や情報の発信源となる場所にしたいと思っています。 ※遷宮…周期的に社殿を建て替えて、神さまに旧殿から移っていただくこと
また、「ルーズベルトと交渉を行った金子堅太郎」や「三井財閥の総帥・団琢磨」といった、この地にゆかりがあるにもかかわらず地元でも意外と知られていない歴史的な人物をバーチャルで紹介する、体験型の博物館も計画中。 人口減少や後継者不足、生活環境の変化などから、毎年全国で約1,000社の神社が消滅していますが、近隣の街の再開発や新しい商業施設のオープンなど、鳥飼八幡宮の周りの環境も大きく変わりつつありますので、変化に合わせて柔軟に対応していきたいですね。
② いまどんなお財布を使っていますか?
自分で買った、〈ジミー・チュウ〉というブランドの黒い長財布です。黒が好きなので、私服のテイストにも合っていますし、創始者がアジア系であるところも気に入っています。
③ いま1万円渡されたら、何に使いますか?
株を買おうかな。普段からそんなに株を買うわけではないんですが、今は貯金してもなかなか増えないですし。「経営」に直接結びつくものなので、お金を運用することは大事だと思います。
④ これまでに一番有意義だったと思うお金の使い方は?
2017年に、境内に新しい保育園を立ち上げたことです。福岡市は待機児童の数も多く、何か地域の役に立てることを…と思ったので。定員49人に対して、約120人の応募がありました。問題の解消にはまだまだ足りませんが、今後保育士の確保や育成にも力を入れていきたいです。
⑥ これまでにした一番高い買い物を教えてください(家・車以外で)
物でいうと腕時計でしょうか。ブライトリングというブランドの限定もので、百万円以上しました。たくさん持っているわけではありませんが、時計は好きですね。 それに、こういう物だったら子どもが受け継いでいけるので。21歳の息子と17歳の娘がいますが、まるで自分の生き写しを見ているようで面白いです。いずれは神社を継いでくれるつもりみたいで、「世界一の神社にする」なんて言ってくれます(笑)。
⑦ これにはお金を惜しまないというものは?
仕事での投資です。お金や時間をかけた分、結果は返ってきます。例えば、今年で10回目を迎える秋季大祭「秋フェス」も、最初の1、2年は赤字でした。それでも、東日本大震災の復興支援や地域の活性化をしたいという思いで開催を続け、今では4日間で5万人が集まるイベントへと成長しています。 協賛をお願いする企業や店にも、自分で直接お伺いして熱意を伝えます。お会いする時間をとっていただくのも大変なくらいの方ばかりですが、面と向かって話すことで思いも伝わりますし、つながりが強くなるんです。
⑧ 独自のお金ルールはありますか?
自分の欲とか満足のためだけには使わないこと。欲しいものはありますが、「欲」はどこまでも際限がないですし、自分のためだけに使ったお金は何となく後からむなしくなります。家が神社なので、小さい頃から地域の人に支えられて自分たちが暮らしている、ということを意識していたからかもしれませんね。
⑨ お金はためる派? 使う派?
「使う派」です。お金って回っていくものだと思うんです。使った方が収入も上がりますし、「使っていたら、お金に困らない」んですよ。 例えば、人付き合いをするのにもお金はかかりますが、そうやって関わっていく中で点と点がつながって線になり、やがて円になっていくんです。お金はため込んでしまうと腐りますから。
⑩ お金はあなたにとってどんな存在ですか?
「お金」=「人」ですね。僕は何か物を買うとき、インターネットは使いません。「この人のところのこれを買おう」というふうに、必ず直接「人」から買うようにしています。 ネットを使えば安いし楽ですが、ただの「モノ」になってしまう。でも、人から直接買うときは、商品のことも聞けるし、その人の思いも聞けます。そうやって人とのつながりができていくものだと思っています。
鳥飼八幡宮 山内 圭司
約1,700年の歴史を持つ鳥飼八幡宮の宮司。「猪の丸焼き」などの肉料理や音楽フェスを行う「秋季大祭」や、BBQをしながら婚活ができる「縁結びの宴」などの人気イベントの仕掛け人でもある。熱い思いと軽やかなフットワークで、100年後の神社や地域を見据える。現在は2021年に控える「遷宮」という一大プロジェクトに向けて、多忙な日々を送っている。
お金にまつわる10の質問 – NO COFFEE 佐藤 慎介さん –