福岡の書店員さんに、福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。第7回は、以前ファンファン福岡フリーペーパーにもご登場いただいた「リブロ福岡天神店」の福川キャサリンさんを訪ねました。店舗は福岡市・天神の岩田屋本館の7階にあります。
タレーランシリーズで知られる福岡県出身作家の本格ミステリー!
「夏を取り戻す」岡崎琢磨 著
―こんにちは。よろしくお願いします。以前の紙面では葉室燐さんの書籍をガイドしていただきましたが、きょうはどんな本を教えてくださいますか。 もうすぐ大型連休ですね。連休中にゆっくり読書する方もいるのではないかと思うのですが、一気に読めるミステリーなどは最適ですよ。きょうは福岡県出身の岡崎琢磨さんの長編ミステリー「夏を取り戻す」(東京創元社、1,900円+税)をご紹介します。
―岡崎さんというと、特に若い世代のファンが多いですよね? 「珈琲店タレーランの事件簿」という大人気シリーズが代表作で、これは確かに若い人にファンが多いですね。シリーズで累計200万部超えだったと思います。 ―す、すごいですね。しかし今回手にされている「夏を取り戻す」は、タレーランシリーズと趣が違って表紙から重厚な雰囲気が伝わってきます。 そうなんです。東京創元社の「ミステリ・フロンティア」シリーズから出た書き下ろし長編で、大人の方にもしっかり楽しんでいただける内容です。
―どんなストーリーなのでしょうか。 ミステリーはあまり内容を言えないので、説明するのが難しいですね(笑)。舞台は1996年。ある街で小学生が連続して失踪します。次々に謎が出てきて、いわゆる“ページをめくる手が止められない系”です。 86年生まれの岡崎さんは、この時代にちょうど小学生だったと思いますが、同じ年代でなくても、読んでいると小学生のころの感覚が呼び起されるのではないでしょうか。私も読んでいて、子どもの時の大人に憧れていた気持ちや、子ども同士で何かたくらんで「いつもと違ったことをしてみたい」と思っていた気持ちなどがよみがえってきました。 ―謎が次々と…気になります! 1つの出来事が起こる度に、ちょっとずつ謎が提示され、それらが連鎖していく…。つい入り込んで読んでしまいます。 この作品は昨年出版されたのですが、昨年はミステリーの豊作年で直木賞受賞作などもあり、それらの話題性に隠れてしまったような気がして。この作品の完成度の高さを皆さんに知ってほしいのです。もっと評価されてよい作品です!
―そうなんですね。ところで、岡崎さんはどんな方ですか? 優しくて、背が高くて、イケメンです。以前、ブックオカのイベントでご一緒した縁もあり、時々やり取りをさせていただいています。数年前から拠点を東京に移されていますが、福岡に戻って来られる時は当店に寄ってサインをしてくださったりするんですよ。この書籍もサイン本を棚に並べています。 ―このお店に通っていたら、いつかイケメンの岡崎さんにお会いできるかもしれないんですね、心にメモしておきます! 大型連休中に落ち着いて本を読みたいと思っていたので、ミステリーに浸りたいです。 実は、連休に一気に読んでほしいミステリーがもう1タイトルあるんです。「本屋大賞」ほか、あらゆるミステリーのランキングを総なめにした「カササギ殺人事件」<上・下巻>(東京創元社、各1,000円+税)です!! アンソニー・ホロヴィッツ作の上下巻(各1,080円)。これがもう、めちゃくちゃ面白い! とにかくすごい!
上巻の最後のページを読むと、必ずや下巻を読まずにいられなくなるので、最初から上下巻で購入されたほうがいいですよ。私は飛行機の中で上巻を読んだのですが、下巻を読みたいがために、飛行中、頭上の収納棚を開けてもらいました(笑)。
―そ、そんなに! 分かりました、肝に銘じて上下巻スタンバイしてから挑みます!
※情報は2019.4.16時点のものです