命がけ、といわれる出産。そのダメージは更年期に影響を及ぼすという噂まであります。これは、そんな噂を無視して、産後動きすぎた私に起きた体の異変についての体験記です。
里帰りなしの産後計画
第2子の息子の産後、私は里帰りをしないことにしました。2歳の娘が保育園に通っていたため、実家に帰るとしばらく休むことになります。それよりも自宅から保育園に休まず通わせ、日中のびのびと過ごした方がいいと思ったのです。
また、夫が、息子の産後に育休を二週間ほどとれることも決まっていました。
2週間は夫に家事を任せて赤ちゃんのお世話に専念。その後は実母が2週間手伝いに通ってきてくれることになっていたので、その間に少しずつ体を動かしていこう。完璧な計画で、息子の誕生に備えました。
冬の寒い日、無事に息子が誕生しました。帝王切開だったため、術後のおなかの痛みに驚きましたが、退院時には普通に歩けるまでに回復。産後1週間で、家族4人の生活が始まりました。
生まれたての赤ちゃんにみんなメロメロ! ですが、おむつ替え、授乳、沐浴、抱っこ… と、やはり新生児のお世話は大変。夫が娘のことも家事もやってくれたので、お世話と体を休めることに専念できていました。
夫の育休が終わり、実母が手伝いに来てくれた頃には、体もすっかり元に戻ったように感じていました。体が動く分、うまく周囲に頼ることができず、動けるんだから自分でしなきゃ、と寝不足の体で家事に育児に、せわしなく動いていました。
突然始まった不調
あっという間に産後1カ月。私の生活は、細切れ睡眠の夜が明けたら、朝ごはんや支度をして、息子を抱っこ、ベビーカーを押しながら娘と保育園へ。日中は息子のお世話と買い物、掃除、ご飯の準備。夕方娘を迎えに行き、ご飯やお風呂、寝かしつけ… というものでした。
ある夜、横になっていると突然寒気に襲われました。熱を測ってみると、なんと39度! そんな高熱が出たのは、生まれて初めてでした。夫に仕事を休んでもらい、息子のことも全て任せて、横になっていました。そうしていると、次の日には熱も下がりました。「なんだったんだろう?」と思いながら、病院にも行かなかったのですが…。
なんと、それから半年の間、毎月高熱が出るようになったのです。二度目の時には病院に行きましたが、検査をしても原因は不明。
ある時は明け方、ある時はうたた寝から目覚めると、寒気と急な高熱。その度に丸一日横になって熱を下げる、の繰り返しでした。おかしいと思いながら、なすすべがありませんでした。
抱っこができない…!
何度目かの高熱が出て、下がった翌日のことです。朝起きて、息子を抱っこしようとすると、右手に全く力が入りません。
何とか左手で支えながら抱っこし、おむつを替えようとしましたが、とにかく力が入らず、無理に動かすと筋肉痛のような痛みが…。
その日は実父と出かける予定だったのですが、急遽かかりつけの病院へ送ってもらいました。なんだろう、湿布で治るかな、不便だな… と思いながら診察を終えると、
「今すぐ、大学病院へ行ってください」と、先生は険しい顔で言ったのです。
これまで、大きい病院に縁がなかった私はびっくり。脳神経系の病気の可能性があるから、検査してもらってくださいとのことでした。よくない病気だったらどうしよう。入院することになったら、治らなかったら…。子どもたちのこと、これからの生活のことを考え、急に不安におそわれました。実父の運転で、そのまま大学病院へ。
大学病院では採血や検査、診察をしてもらいました。
その結果、風邪の菌が筋肉に入って炎症をおこす筋炎だろうという診断でした。薬をもらい、その日はそのまま帰宅。薬を飲むと徐々に手に力が入るようになり、再診察の頃には元通り手は動くようになりました。
お医者さんには、
「はっきりした原因はわからない」と言われましたが、私は、産後に寝不足の体で無理して動きすぎたことがもとだったのではないかと思っています。元気だし動ける! と思っても、やはり産後の体には、しっかりした休養が必要だったのだと思います。
自分の体をいたわれるのは自分だけ。今でも、無理しすぎていないか、立ち止まることを大切にしています。
(ファンファン福岡公式ライター/かきくけ子)