息子に言いたいけど言えない「その自由研究、やめたほうが…」その理由は

 小学校の夏休みの宿題、親子で頭を悩ませるものといえば「自由研究」がありますよね。小学校で初めての夏休みを迎えるわが家の長男も、現在自由研究のテーマ探しに奔走中です。そんな中、長男が「これ面白そう」と興味を持った標本作り。でも、私にはそれを全力で止めたい! と思う理由がありました…。

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自由研究のテーマ探し

出典:iStock.com/Hakase_

 わが家の長男は小学1年生。生まれて初めての夏休みをとても心待ちにしています。夏休みには、普段はできないような経験をいろいろさせてあげたいと思っていますが、何よりも親として気になるのは、夏休みの宿題をどうこなしていくか。特に時間のかかりそうな「自由研究」は、早めに計画を立てて、早めに仕上げてしまいたいところです。  

 そこで、長男と一緒に図鑑を広げ、どんなテーマに興味がありそうか探ってみることにしました。宇宙や恐竜、工作など、さまざまなテーマに興味を示していた長男ですが、海の生き物のページを指さし
 「これ面白そう!」と一言。

 見れば、そこにはきれいな貝殻の標本が掲載されていました。でも、それを見た瞬間、私は 「絶対やめた方がいいよ!」と心の中で叫ばずにはいられませんでした。なぜなら私自身に、自由研究の苦い思い出があったからです。  

貝の標本を作ることに

 私が小学生の頃に住んでいた家は海が近かったため、夏休みは毎日のように海へ遊びに行っていました。とはいえ子どもだけで泳ぐことは禁止されていたので、海岸をぶらぶらして貝殻を拾ったり、砂遊びをしたりして過ごすことがほとんどでした。  

 海へ行くたび、記念のように貝殻を持ち帰る私に、母は
「その貝を標本にしたら自由研究になるんじゃない?」とアドバイス。私も
「それなら簡単にできるかも!」と、夏中ひたすら貝殻を集めまくっていました。  

 そして2学期が始まる数日前。「材料はあるから、すぐに終わりそう」と、余裕しゃくしゃくの私は図鑑を広げて貝殻の標本作りに取り掛かったのですが…。ここで衝撃的な事実に気が付いたのです。

出典:iStock.com/WDnet

「あれ? この貝図鑑に載ってない!」 アサリや桜貝など、図鑑を見ればすぐに分かるものもありましたが、集めた貝の大半は正体不明…。標本箱に貝を並べてみたものの、貝の名前が分からないため、ラベリングを行うことができずに行き詰まってしまったのです。

 後で知ったことですが、貝は同じ種類でも個体差が大きく、見分けが難しいそうです。しかも生きた貝ならいざ知らず、貝殻の状態で波に洗われていた貝は傷や破損があることが多く、元の形をとどめていないため、なおさら判別が難しいのだとか。

 でも、そんなことを知る由もない小学生の私は、大パニック。家の図鑑じゃ分からない! でも図書館に行く時間もない。これができなければ自由研究が終わらな~い!

苦い思い出になってしまった

出典:iStock.com/Berg

 結局、友達に図鑑を借りたり、魚屋さんで聞いたりと悪あがきはしたものの、夏休み最終日になっても貝の名前を調べることはできませんでした。かといって、自由研究を提出しないわけにもいかないので、仕方なく正体の分かった貝だけを集めて小さな標本を作りました。  

 本当はもっとたくさん集めたのに…。私は小さな標本箱を見て、涙があふれそうになってしまいました。  
 もっと早く調べ始めていたら全部分かったかも。いやむしろ、図鑑を海に持って行って、名前の分かるものだけ集めればよかったかも。答えの出ない自問自答を繰り返しながら、重い気持ちで新学期を迎えたのでした。  

 そんな小学校時代の苦い思い出を持つ私。わが子には同じような思いをしてほしくないのですが、本人のやりたいことにブレーキをかけるわけにはいきませんよね。どんなテーマを選択したとしても、私と同じ失敗をしないよう、計画的に自由研究を進められるようにサポートしていきたいと思っています。

(ファンファン福岡一般ライター)

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