舌足らずな口ぶりはもちろん、言い間違えたり、覚え間違えていたり。小さな子どものおしゃべりは、聞いているだけで癒やされます。そしていったい何を伝えようとしているのか、正解を考えるのはまるでクイズを解くようで、頭の体操にも効果的だと思うのです。
かわいい言い間違いに癒される
娘が保育園に通っていた頃、仕事帰りに迎えに行き、手をつないで歩きながら、たどたどしい娘のおしゃべりを聞くのが楽しみでした。「先生」を「しぇんしぇい」としか言えなかったり、「ポップコーン」がどうしても「ぽっぷぽーん」になったり、舌足らずな言い間違えは本当にかわいくて、聞いているだけで心がぽかぽか癒やされていました。
当時「日本語はたしなむ程度」だった娘の語学力。間違って覚えた言葉も次々に飛び出すので、娘が本当に言いたい言葉を探すのに、私の頭はフル回転していました。
少し前に「アハ体験」という言葉がはやったのはご存じでしょうか? 何かを考えてひらめきがあった時に脳が活性化されることをいうそうですが、当時の娘との会話はまさにそれ。毎日がアハ体験の宝庫だったのです。
例えばある日、娘は給食の話をしていました。いつも食べるのがゆっくりで、それが悩みのひとつでもあった娘が、その日は得意気に
「今日はブンドリだったからね、すっごく早く食べ終われたんだよ!」と報告してくれたのです。
「ブンドリ?」私の頭にはクエスチョンマークが広がります。ブンドリっていったい何のこと? みんなでおかずを分捕りあって食べるとか? まさか新しいビュッフェスタイル? 最近の食育ってそういうこともやるのかな?
かなり頑張って考えてはみたものの、結局家に帰りつくまで答えが見つけられずギブアップ。モヤモヤしながら献立表を見ると、そこには「親子どんぶり」の文字が。なるほど、「どんぶり」が「ブンドリ」になったのか! と一人でくすくす笑いました。
また、ある日の娘は難しい顔で
「ママ、Sくんは○○のマドオトコなの?」と聞いてきました。
「マドオトコ?」。再び私の頭の中にはクエスチョン。Sくんは0歳クラスの頃から仲良しの男の子ですが、娘のマドオトコとはどういうことでしょう? すると娘は言いました。
「だってさっき言ってたでしょう? ○○はSくんのマドオンナって。それならSくんは○○のマドオトコなの?」
それを聞いてピコーン! と正解が分かった私。スッキリすると同時に吹き出してしまいました。
その日、保育園の先生が別れ際に言っていました。
「Sくんは本当に○○ちゃんが大好きで。○○ちゃんはSくんのマドンナですね!」
娘はそれを聞いていたのです。そして「マドンナ」を「マドオンナ」だと勘違いし、女の子だから「マド女」だと。さらにSくんは男の子だから「マドオトコ」だと思った娘がおかしくてかわいくて、いつまでも笑いが止まりませんでした。
小学5年生になった今では流ちょうな日本語を話している娘ですが、まだまだ「完成予想図」のことを「未来の設計図」と言ったりするので油断はできません。娘とのおしゃべりで、毎日心にも頭にも刺激をもらっている私です。
(ファンファン福岡一般ライター)