忙しい毎日の中で、頑張りを認めてくれる人がいると嬉しくなりますよね。私には、今でも見返す一枚の写真があります。それは、ごく普通の洗濯機の写真です。そんな映えない写真が、大事な宝物になったワケをご紹介します。
忙しい平日の朝! 洗濯をしようとすると…
娘が年長さんになってすぐの、ある朝のことです。
いつものように、夫のお弁当と朝ごはんを同時並行で作り、水筒を準備し、娘を着替えさせ… と慌ただしいルーティーンをこなしていました。夫が出勤し、娘を園バスに乗せるまでは息つく暇もありません。
2人を送り出した後、洗濯をするようにしています。
洗濯機が止まるまでの間、コーヒーを入れて休憩するのが私の日課。ですが、この日は少し様子が違いました。
洗濯カゴから洗濯機に洗い物を入れようとしたのですが… 一枚も見当たりません。洗濯機を開けてみると、全部洗濯機の中に入れられています。
「なんで?!」と思わず一人で叫んでしまいました。
洗濯ネットも使ってある… 夫の優しさ?!
よく見ると、下着などのデリケートな物はちゃんと洗濯ネットに入れられていたため、夫が気をきかせてくれたのかな? と思いました。洗濯機を上から覗いた写真を撮って、
「これ、やってくれたの?」と夫にメッセージを送ってみました。通勤中の夫から、すぐに返事が。
「いや、俺じゃないよ?」
だとすると、わが家にはもう娘しかいません。
でも、洗濯の仕方なんて教えたことはないし、ネットに入れるのも知っていたなんて驚きでしかありませんでした。
洗剤は高いところに置いてあったので投入はされておらず、不思議な感覚で洗剤類を入れ、スタートボタンを押しました。「まさか5歳の娘がここまで出来るの?!」という気持ちでいっぱいのまま、コーヒーを入れるのも忘れてしまい、洗いあがった洗濯物を干したのでした。
「ママががんばってるの、見てるよ」娘の一言で洗濯機の写真が宝物に
午後、娘がいつも通り園バスで帰ってきました。
私は到着前からそわそわ。「おかえり」の一言もよそに、開口一番娘に質問していました。
「ひょっとして洗濯物、洗濯機に入れてくれた?」
そうすると娘は、ちょっとモジモジながら、
「うん」と恥ずかしそうにうなずきました。
「すごいよ! 洗濯ネットを使うのとか、よくママがやってるやり方がわかったね」と私が言うと、満面の笑みで
「いつもがんばってるママをみてるもん」と娘。
毎日、名もなき家事をこなしていますが、ほめてくれる人はなかなかいません。
「ありがとう」と伝えると、照れ隠しなのか
「ママはまいにち、たいへんだからね~」と私に背を向けて玄関まで走り出します。
その背中を見ながら、心の優しい子に育ってくれたなぁ、と泣けてきてしまいました。
洗濯物の入った洗濯機の写真は、印刷してアルバムに入れてあります。まったく映えない写真ですが、今でも私の宝物です。
娘は現在小学3年生。ギャングエイジと呼ばれる年頃で、達者な口調で反抗心をむき出しにしていますが、優しさは持ち合わせたまま大きくなってくれています。
私が家事をしているときは、1歳の弟が邪魔をしないよう一緒に遊んでくれる、優しいお姉ちゃんです。これからも、そのまま優しい心の持ち主でいてほしいなぁと思っています。
(ファンファン福岡公式ライター / まゆり)