国民的テレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」の放映45周年を記念した「アルプスの少女ハイジ展」が12月25日(水)まで福岡市博多区の博多阪急で開催中です。スイス・アルプス山脈の大自然を舞台に、ハイジの成長やハイジと周囲の人々との心温まる交流を描いた作品は、今なお根強い人気を誇っています。内覧会の様子をリポートします。
スイスの作家ヨハンナ・スピリの同名小説を原作にした同アニメは、日本で1974年に放映がスタート。全52話で構成されています。日本の長編アニメーションとしては初めて事前に国外現地ロケ(ロケハン)が行われた作品としても知られています。
本展では絵コンテや台本をはじめ、ロケハン時の資料やキャラクターデザインなどを務めた小田部羊一さんの原画、舞台になった「アルムの山小屋」のジオラマなどが展示され、ハイジの世界を存分に体感できます。
内覧会には、アニメでハイジの声を担当した声優・杉山佳寿子さんが来場。スイスの民族衣装風を身にまとい「ペーター、ヨーゼフー、私、ハイジよー!」とハイジの声で登場してくれました。 45周年を迎えたことについて感想を聞かれた杉山さんは「びっくりです、こんなにハイジがみなさんに愛されるなんて、演じている時は考えてもいませんでした」と感慨深げです。
現在流れているシリーズCMについて触れるシーンも。「CMのハイジの声、私なんですよ! 過去収録していた音源をつなぎ合わせて作成していると思っている人もいるようですが、現在の声なんです」。所属事務所の先輩には「CM見た? そっくりな声の人が出てきたね」と言われたそうですよ。 杉山さんと一緒に場内へ入り、一緒に見て回ります。最初は作品内に登場するキャラクターの相関図やパネルが展示されていて、自由に撮影ができる空間です。
放送当初の1970年代に販売されていたグッズが展示されているブースでは「すごい、こんなにたくさんグッズが出ていたんですね」と杉山さんも驚いていました。 「杉山さんはこの中のグッズで何かお持ちですか?」という問いかけに、「当時は人気を予想できなかったので、持っていません(笑)。台本も52冊もあるものだから、引っ越す時とかに捨てちゃったんです。もったいないことしちゃったな」と残念そうに話します。 作品のファンクラブもあり、会報誌には杉山さんの当時のインタビューも掲載されていました。
アニメの製作現場の裏側が垣間見える展示物が並んだコーナーでは、杉山さんが思わず見入ってしまっている姿も。企画立ち上げ時資料をはじめ、衣装まで細かく描き込まれたキャラクター設定の資料、後にスタジオジブリを立ち上げることになる宮崎駿さんがほぼ1人で描き込んだという背景のレイアウト画像、海外のロケハン資料、フィルムや台本が展示されています。
「当時、声の収録は映像がないままで実施していました。画面に赤い線が出たらハイジが、青い線ならペーターがしゃべるといった方法で録音していました。画面の切り替わりが激しくて大変でしたよ~」。
キャラクターデザインを担当した小田部羊一さんの原画が飾られているコーナーでは、「小田部さんとは今も交流があって、会うたびに『何か描いて』って言ってるんですけども、らえないままです(笑)。小田部さんの絵は1枚も持ってないんですよ、私」と笑いながらぼやいていました。 優しい水彩画タッチの原画は、表情が生き生きとしていて、まるでハイジやペーター、クララの声が聞こえてくるようです。
「おんじ」とハイジが楽しく生活を送る「アルムの山小屋」のジオラマも展示されていました。精巧な作りで、屋根裏の丸窓から身を乗り出すハイジや、ヤギのユキちゃんと並ぶおんじ、寝そべるヨーゼフなどを見ているとなんだかアルムの山に来たような気持ちになれます。 本展ではフォトスポットも各所に用意されているので、ハイジになりきって写真を撮ってみるのも楽しそうです。
グッズ売り場には、ヨーゼフの特大縫いぐるみ(10万円)なども販売されていました。ちょっと高額ですが、すばらしい出来栄え。もふもふのヨーゼフが家にいたら癒やされそうです。 展覧会オリジナルグッズや45周年記念グッズを含む約700種類のグッズが用意されているので、お気に入りの一品を見つけてみて。グッズだけの購入もOKです。
特に目を引いたのは、久留米絣(かすり)とのコラボアイテム! 「アルプスの少女ハイジ×久留米絣儀右エ門(ぎえもん)」は、キャラクターたちの衣装を久留米絣で仕立てていました。 手掛けたのは「久留米絣をより現代の流行にマッチさせたい」と和のデザインを基調としたエレガンスカジュアルを提供する「オカモト商店」です。
コラボレーションのメインビジュアルに「ロケ地:耳納連山山麓(ろく)に流れる筑後川にて」と書いてあるのを見つけました。遊び心を感じますね。会場でぜひチェックしてみてください。
12月22日(日)まではグッズ売り場横にコラボレーションカフェ「アルプスの少女ハイジカフェ」もオープンしています。おすすめは「山小屋プレート」(1人前1,320円 ※平日限定20食、土・日曜限定40食)。作中に出てくる「白パン」やミルククリームシチューが一皿に盛られた、ファンの心をつかむ内容です。
ワークショップコーナーでは砂絵(1回550円)なども体験できます。親子でも楽しめる「アルプスの少女ハイジ展」、心温まるハイジの世界を楽しんで。
アルプスの少女ハイジ展
日時:~12月25日(水) 10:00~20:00 場所:博多阪急 8階催場(福岡市博多区博多駅中央街1-1) 料金:一般500円(税込)、中学生以下無料 問い合わせ:博多阪急 電話:092-461-1381
施設名:博多阪急
住所:福岡県福岡市博多区博多駅中央街1-1
※情報は2019.12.16時点のものです