長男を妊娠したときのことです。当時、私の勤めていた職場は小さな医療検査センターでした。従業員は15人程で、ほとんどが女性。そして、私が初めての妊婦だったのです。
言い出せない妊娠報告。つわりがつらくても相談できない!
妊娠が分かって、初めに考えたのが「職場にいつ報告するのか」ということでした。
すぐに報告するべき? それとも安定期に入ってから?
当時の職場では、結婚後に仕事を続けている例もなく、もちろん出産の前例もありませんでした。お手本とする先輩がいなかったので、どうしたものかと悩みました。しかも、私の少し後に結婚した先輩が初期流産を経験していたので、妊娠報告の時期には気を使う必要がありました。
なかなか言い出せず、悶々(もんもん)とする毎日。結局、初期流産の危険性がなくなってから、両親に報告するタイミングで職場にも報告しようと決めて、仕事を続けることにしました。
しかし、やがてつわりが始まり、休憩時間にトイレに行っては、おう吐する日々。誰にも相談できず、かなりきつかったです。危険な薬品を扱うときには、胎児に影響がないか心配でいろいろ調べました。重い物を運ぶときは、台車を使ってしのぎました。満員の通勤電車も大変でした。
そんな日々を乗り越えて、晴れて妊娠報告をしたのは、妊娠4カ月の頃でした。
きっかけは、制服のタイトスカートがきつくなってきたから。ホックを外してはいていたのですが、「もう限界!」と思っての報告でした。
悩んだおかげで? 結果、会社でも良い前例に
幸い、社長も職場のみんなも妊娠を喜んでくれて、優しく受け入れてくれました。重い物を運ぶときや薬品を扱うとき、残業時間にも気を配ってくれて、ずいぶん働きやすくなりました。
制服はマタニティー用を注文するかどうか聞かれましたが、私服の上に白衣を着て仕事をすることにしました。出産までは半年あったので、新しい人材への面接に立ち会い、仕事もしっかり時間をかけて引き継ぐことができました。
そして、私のお腹が目立つようになって来た頃、なんと2つ上の先輩が妊娠! 私と2カ月違いでの出産となりました。私という前例があったので、先輩の妊娠報告もスムーズに行きました。
その後、わが家は新居に引っ越し、私の職場まで通勤に1時間かかるようになったため、残念ながら出産を機に退職しましたが、妊娠8カ月まで仕事を続けることができました。
こうして、女性ばかりの小さな職場で、いろいろなことを考えて悩んだ妊娠報告。早過ぎると周りに余計な気を遣わせてしまうし、初期流産という危険もあります。反対に遅過ぎると、代わりの人材の準備が間に合わなくなって、会社に迷惑をかけてしまいます。
つわりのつらさを相談できないのはちょっと大変でしたが、結果的にはとてもいい時期に報告ができたと思っています。 (ファンファン福岡公式ライター/おきょうさん)