クリスマスといえば、子どもの頃はサンタさんからのプレゼントが何よりも楽しみでしたが、大人になった私の一番のお楽しみはクリスマスケーキです。 昨年は、長年食べたかったクリスマスケーキをついに手に入れたのですが、思い入れが強すぎたため、痛恨のミスをしてしまったのです。
10年以上も前に友人の家でいただいた、とあるケーキ屋さんのクリスマスケーキ。生クリームが苦手だった私に革命を起こした、とんでもなくおいしいケーキでした。
あのケーキをもう一度食べたいと思い続けて10年余り。そのケーキ屋さんはわが家からけっこう遠く、クリスマスケーキは12月24日と25日の2日間しか販売しません。毎年その日は仕事があるので買いに行けず、思いばかりが募っていました。
ところが数年前、カレンダーをチェックしていた私は飛び上がりました。「今年の24日はお休みだ! あのクリスマスケーキを買いに行ける!」。私は喜び勇んでケーキの予約を済ませたのです。
そしてクリスマスイブがやってきました。鶏モモ肉は前日の夜からタレに漬け込んで準備万端。ウキウキとケーキを受け取りに行った私は、ついでに評判のパン屋さんで大きなバゲットも購入しました。ワインも飲みたいし、そうなるとチーズやオードブルも欲しいよね、とスーパーにも立ち寄って。そんなこんなでウロウロしていたら、いつしか外は真っ暗でした。
大急ぎで家に帰り、さっそくチキンをオーブンに… しまった、オーブンは予熱が必要だった! そしてサラダを盛りつけたり、オードブルをお皿に移したり。調理する品は少ないからすぐにできると思っていたけど、こまごました作業に意外と手間がかかりました。
なかなか温まらないオーブンを見ながら
「先にケーキ食べる?」と娘に聞いてみましたが
「ダメだよ、クリスマスケーキは最後の主役なんだから!」と、娘はストイックにこだわります。
待ったかいあって、焼きあがったチキンはやわらかくジューシーで、われながら上々の出来栄えでした。評判のバゲットもさすがのおいしさで、ワインがどんどん進みます。「ああ、クリスマス最高!」と、私は幸せな時間を過ごしました。
そしてフィナーレはクリスマスケーキ! 10数年ぶりの再会に心がときめく私… でしたが。どうしよう。おなかいっぱいだ! ちょっとおなかを休めてから食べようかとも思ったのですが、買い物にも準備にも手間取ったので、すでに遅い時間になってしまっていました。
「早く寝ないとサンタさん来てくれないよ」と焦る娘にせかされて、私は大慌てでケーキを切り分け、パンパンのおなかに押し込みました。そんな状況でもケーキは十数年前と変わらない革命の味! ただ、もっとおなかが空いていれば、もっとおいしく食べられたはず…。
これは、憧れのクリスマスケーキがようやく食べられると舞い上がり、時間にもおなかにも余裕をなくしてしまった私のミス。今思い出してもまだ悔やまれます。二度同じ過ちを繰り返したくない私は、今年こそ食事の量と時間配分にはしっかり気を付けて、クリスマスケーキをしっかりおいしく堪能したいと思っています。
(ファンファン福岡一般ライター)