認知症は医療機関に事前相談することが大切です。池田脳神経外科(福岡県春日市)の認知症専門医、池田耕一先生に詳しい話を聞きました。
【脳神経外科専門医】池田脳神経外科 池田耕一 先生
南島原市出身。福岡大学医学部卒業。福岡大学医学部脳神経外科及び関連病院にて、脳血管障害、外傷治療や頭痛外来を担当。2008 年1月、脳神経外科の無床診療所「池田脳神経外科」を春日市に開業。脳血管障害や頭痛などの専門的治療を行う。日本認知症学会、日本認知症ケア学会、日本認知症予防学会、その他に所属。
認知症は家族による発見と円滑な受診が第一歩。家族の負担軽減もケアの一環
医療機関に事前相談し、本人には直前に伝える
「認知症」とは認知機能の低下が徐々に進み、日常生活に支障をきたす状態が半年以上続く疾患です。 多くの場合、認知症の症状に気づくのは生活を共にしている家族です。しかし、家族が遠距離で暮らしている、あるいは高齢夫婦で片方が既に認知症の場合、気づかれない恐れがあります。そのため、普段から地域とのコミュニケーションを図ることも重要です。 さて、家族を受診させようと決めたら、どこで診てもらうかを調べましょう。また、「本人の前で認知症という言葉を使わないでほしい」場合などでは、事前に受診先へ相談しておくこともおすすめします。そして直前まで本人には知らせず、その日の朝に「特定検診を予約したよ」など、疑われにくいような理由で病院へ連れていきます。付き添うのも、本人が一番信頼している家族であることが理想的です。
症状が進む認知症だからこそ、支える家族の負担を軽く
診察で大事なのは問診です。これまでに「おかしいな」と感じた出来事の内容や頻度、時間経過で悪化していないかなどを、本人と家族と別々に尋ねます。 併せて認知機能のテスト、画像診断、採血などを行います。画像診断は脳腫瘍、脳梗塞など器質的疾患の有無が重要なポイントです。採血で全身状態を把握し、腎機能の状態が悪いと認知症薬が使えない場合があります。 薬で認知症の症状を軽減させることはできますが、完治させることはできません。薬を途中で変更したり、場合によっては中断したりしながら、状態を観察していきます。 実は薬以上に大事なのが、介護保険申請やデイサービス利用などです。家族の負担を軽くすることが必要です。特に、ケアマネージャーと十分なコミュニケーションをとることが認知症ケアの重要なカギなのです。 認知症は本人だけの問題ではなく、家族や介護者にとっても大変重要な問題です。不安に感じた時はぜひ専門医に相談してください。