【びっくり出産エピソード】手術室のBGMのせいで涙が引っ込んだ話

初めての妊娠が双子だった私。急遽、帝王切開で出産することになり、不安と緊張でいっぱいの手術当日。いよいよわが子と感動の対面… と思ったら、BGMがミスマッチすぎて泣くに泣けない! そんな、ちょっと間の抜けた私の体験談です。

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緊急入院、緊急出産!

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 双子を妊娠していると分かると、戸惑いながらもわが子達に会える日を心待ちにしていました。ところがある日、今までにないお腹の張りを感じて病院に行くと…
 「すぐに入院してください」と医師に言われてしまったのです。

 しかもそれだけではありません。
 「手術は4日後です」

 なんと4日後に帝王切開で出産することになってしまいました。妊娠27週目、予定日より3カ月も早く出産することとなり、私は不安に押しつぶされそうでした。

地獄の4日を経ていざ手術へ

 入院初日・2日目は出産の手続きについて夫と打ち合わせたり、職場に連絡をとったり、名前を急遽決めたりと、忙しくしているうちにあっという間に過ぎていきました。

 しかし3日目からは羊水過多によるお腹の張りと腰痛に苦しめられ、だんだん身動きが取れなくなっていきました。あまりの痛みに、少しでも長くお腹にいさせてあげたいと思っていたのに「早く産んでこの痛みから解放されたい!」と思ってしまうほどでした。  
 
 4日目の夜は痛みのせいで一睡もすることができず、眠れないまま手術当日を迎えることになったのでした。

感動の対面のはずが…

 そしていよいよ手術当日。私は不安と緊張でいっぱいのまま手術台に上りました。体の痛みは限界を超えていて、腰椎に注射をする麻酔も、腰が痛すぎて注射の痛みをまったく感じないほど。

 しばらくして麻酔が効きだすと、やっと痛みから解放され、少しずつ冷静に周囲を見渡せるようになってきました。すると、緊張を和らげるためなのか、とてもポップなBGMが手術室全体に流れていることに気が付いたのです。
 (これ、前に流行った女々しい感じの曲だ…)
 (これはオリンピックか何かの主題歌だったような…)
 (イケイケの居酒屋くらいの大音量なんだけど大丈夫かな…。「メス!」とか聞こえないんじゃないかな?)
 BGMに気を取られているうちにいつの間にか手術が始まり、執刀医を始めとしたスタッフの方々が忙しく動き始めました。

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 手術器具の触れ合う音と陽気なJ-POPミュージックが混じり合う不思議な空間で、着々と手術は進んでいきました。何曲か聞いたところで、
 「一人目、出ます!」
 「おめでとうございます!」
という声が聞こえ、スタッフの方々が拍手をしてくださいました。
 「お母さん、元気に泣いてくれましたね、よかったですね!」

 生まれたてのわが子を抱えた看護師さんが近づいてきてそう言うと、手を握らせてくれました。
 (大きく産んであげられなくてごめんね…。生まれてきてくれてありがとう)
 小さなわが子の手を握ると胸がいっぱいになり、涙が込み上げました。

 しかしその瞬間、「JOY♪ JOY♪ JOY♪」と某人気ソングのサビが鳴り響いたのです!

 ヒュンッという、涙が引っ込んだ音が聞こえたような気がしました。
 (今全然JOYじゃないよ… というか、BGMが大きいせいで産声聞こえなかったんだけど…!)

いろいろあったけれど無事に出産

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 その後2人目も取り上げられ、手術は無事終了しました。
 その後現在まで、母子共に健康に過ごすことができています。BGMの選曲と音量にこそ動揺しましたが、お医者様やスタッフの方々の対応は素晴らしく、感謝の気持ちでいっぱいです。

 しかし後日、同じ病院で出産した友人から
 「事前にCDを渡せば、好きな音楽を手術中に流すことができる」というショッキングな情報を得てしまいました。時既に遅し…。

 もし知り合いが同じ病院で出産するようなことがあれば、絶対にこのことを教えてあげよう、と私は心に誓ったのでした。

(ファンファン福岡公式ライター / はやしグラタン)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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