広い世代で増加している「ドライアイ」について、川原眼科 久山クリニック(福岡県久山町)の末廣久美子先生に聞きました。
【眼科専門医】川原眼科 久山クリニック 末廣久美子先生
川崎医科大学医学部卒業。愛媛県立中央病院、済生会福岡総合病院、国立病院機構九州医療センター、九州大学病院などを経て、2019 年より川原眼科分院久山クリニック院長。診察では、誰にでも分かりやすく気持ちに寄り添った説明を心がけている。
ドライアイは涙の量や質の変化が引き起こす目の病気。異常を感じたら早めに受診を
幅広い世代で増えている疾患。目の酷使や加齢も要因
「ドライアイ」は、角膜が乾燥して不快な症状を引き起こす一般的な目の疾患で、当クリニックでも受診される方が増えています。 ドライアイには、涙の「量」が不足してしまう量的異常と、涙の「性質」が変化しておきる質的異常の、2つのタイプがあります。涙には水分以外に、涙を目の表面にとどめる働きをするムチンというタンパク成分が含まれていますが、これが減少して不安定になるのが質的異常です。 原因はさまざまで、若い人の場合は、パソコンやスマートフォンなどの長時間使用でまばたきが少なくなり、目を酷使しているケースが多く見られます。他にも、エアコンによる空気の乾燥やコンタクトレンズの使用、加齢による涙の分泌量減少など、幅広い世代に起きる疾患です。
自分のタイプを知って適切な専門治療を
主な治療法は、点眼薬による薬物療法。涙の量や安定性を調べる検査でどちらのタイプかを診断し、それに応じた点眼薬を処方します。 これまでは、涙を補う保湿タイプが主流でしたが、最近はムチンの分泌を促し涙の質を向上させるものなど、さまざまな点眼薬があるので、自分に合う目薬を見つけることがポイントです。 涙の量が著しく少ないという方には、「涙点プラグ挿入術」という治療法もあります。鼻側の涙点(涙の出口)をシリコン製のプラグでふさぎ、涙を目の表面にとどめる方法です。 蒸しタオルなどで目を温めるセルフケアもお勧めします。涙の表面は薄い油膜で覆われており、水分の蒸発をコントロールしていますが、温めることで油の分泌を促します。何より、目を休めると気持ち良くリラックスできますよ。 ドライアイは、放置すると目の表面にキズが入り、さらに不快な症状を引き起こしてしまいます。違和感を覚えたら早めの受診を。また、症状が良くなっても治ったと判断せず、定期的な点眼を継続することが大切です。