ついついそのままにしてしまいがちな、目の疲れ。もし続くようだと「眼精疲労」かもしれません。大原ちか眼科(福岡市中央区)の大原千佳先生に聞きました。
【眼科専門医】大原ちか眼科 大原千佳先生
東京都出身。東京女子医科大学卒業。東京大学医学部附属病院分院、日本医科大学付属病院、吉祥寺南町眼科院長などを経て、2012年「大原ちか眼科」開業。YouTubeチャンネルで目の健康の啓発活動を行うなど幅広く活躍。
目の調節機能が疲れ、衰える。40歳を過ぎたら生活環境と眼鏡を見直して
目を酷使せざるを得ない現代社会。治らない疲れが眼精疲労
目が疲れたと感じ、しばらく目を休めれば治る状態は「目の疲れ」、それが治らないまま続くことが「眼精疲労」で、後者はただの疲れではなく、立派な目の病気です。 眼球は、水晶体の厚みを変えることで遠近にピントを合わせ、入ってきた光(視覚情報)を網膜に結像します。しかし、水晶体の厚みを変えるための「毛様体筋」や、眼球運動をコントロールする「外眼筋」などを使い過ぎると、眼精疲労が起こります。 例えば、度の合わない眼鏡を使用している、過度なパソコン作業や長時間のゲームなど、思い当たることはありませんか。人は、情報のおよそ80%を目から得ていますが、今や「人類史上最も目を酷使している」時代。インターネット経由で得られる視覚情報の種類・量とも急増することによって、目の使いすぎで起こる健康被害が危惧されています。 さらに、緑内障や白内障、環境やメンタルなど、眼精疲労の原因はさまざまです。
眼鏡は医療用品。眼鏡店ではなくまず眼科へ
眼精疲労を放置すると、ドライアイや不眠、片頭痛や肩こり、自律神経の低下や脳疲労などが起こる可能性があります。それがQOL(生活の質)を低下させたり、事故を起こしたり、場合によってはうつ病につながるリスクなども考えられます。 真っ先にできる対策は、40歳になったら眼鏡を調整しに眼科を受診すること。眼鏡を眼鏡専門店で作っていませんか? 眼鏡は医療用品であり、本来は眼科を受診し、医師から処方せんを出してもらって作るものです。加齢で目の調整力が落ちているのに合わない眼鏡をかけ続けるのは、特に目に悪い行為です。 そして、誰にでもできるケアが「遠くを見る」こと。1時間に15分ほど目を休める習慣をつけましょう。眼精疲労用の目薬が市販されていますが、目薬は「保湿」程度の効果しかないと思ってください。洗眼も推奨しません。 違和感を覚えたら、気軽に眼科へ。当院のような小規模クリニックだからこそ、「眼科のかかりつけ医」としてアドバイスできることが数多くあります。