8月31日が近づくと、私はソワソワしてしまいます。それは、息子が小学6年生のときの8月31日に、ある強烈な体験をしたからかもしれません…。今考えても身の毛がよだつ、その体験とは? 果たして夏休みの宿題は無事に完成したのでしょうか。
8月31日に「宿題手伝って」と言い出す息子
夏休みの息子の様子を見ながら、正直イヤな予感はしていました。あまり宿題をやっている様子がなかったからです。でも聞けば「大丈夫」と言います。「6年生になって親が口を出すのもなぁ」と思い、そっとしておきました。
そして迎えた8月31日の夕方。
晩ごはんをつくっていると、やっぱり来ました!
「宿題… 手伝って」と悲壮感ハンパない息子が。
「大丈夫って言ってなかった?」ここはちゃんと教育的指導を… とも思いましたが、なにせ時間がありません。「とにかく一刻も早く取りかかるしかない」と腹をくくりました。
どうにか作文が完成
聞けば、作文にまったく手を付けていない、と言います。「川をきれいにする」というテーマについて、まずは息子にインタビューをして、考えていることや意見を吸い上げ、それを元に構成を考えることにしました。
次に、構成に沿って私が頭の中で文章を考え、時間がないのでそのまま口に出して話すと、それを息子が書き取っていきます。
途中で息子が
「小学生が、そんな難しい言葉は使わないよ!」と、なぜか上から目線のドヤ顔で言ってきて、ところどころくだいた表現にアレンジしだしました。
私は、「腹たつわぁ、それなら自分で考えろっていうの」と思いつつも、作業の方は順調に進み、なんとか完成にこぎつけました。
「できたー」と達成感にひたりつつ、
「頑張ったね! 明日は早いからもう寝なさい」と言おうとすると、なんと息子からとんでもない一言が飛び出したのです。
「あと、自由研究どうしよう」
「あと、自由研究どうしよう」ってアナタ、もう夜9時ですよ!
夜9時に衝撃の発言!
「え?」 私はしばし呆然としました。彼はいったい何を言っているのでしょう。だって8月31日の時刻はもう夜9時だというのに。
「うそでしょ、テーマも決まっていなければ、材料もない。これはさすがにムリ」きっぱり断りました。
すると息子はあきらめきれないのか、半ベソで
「自由研究… 自由研究…」とだけ繰り返します。
「いや、さすがにムリだって」と思いながら、ダメ元でネット検索してみると、あった、ありました! ペットボトルとお線香があればできる「ペットボトルの中に雲を作ろう」という実験が。
本来ならば自分で考えたテーマを扱うべきですが、時は8月31日夜9時… やるしかありません!
自由研究の行方は?
キッチンのゴミ箱からペットボトルを拾い、お仏壇からお線香を持ってくるように指示すると、息子はすぐさま飛んでいきました。お仏壇に手を合わせお線香を拝借している息子には、ご先祖様も「こんな夜に何してんねん」とツッコんだことでしょう。
実験は息子が担当し、私が写真撮影。その後は先ほどと同じように私が話す内容を息子が書き取り、最後に写真を貼り付けて完成! ネットの記事を再現しただけですが、私も息子も2時間集中してやりきりました。
今回はなんとかなりましたが、「次も」と思われては本人のためになりません。
「来年は絶対に手伝わないからね!」と宣言すると、
「わかった!」と、元気よく即答する息子… 本当にわかっているのでしょうか。
息子の成長
後に「川をきれいにする作文」が賞をもらい
「それ、ママが考えたやつだよね」と指摘すると、
「いや、僕が書いた!」と誇らしげに言い張っている姿も、おかしかったです。また、自由研究は無事にスルーされ(おとがめも無く)ほっとしました。
そんな息子も、今では高校2年生。あれ以来、本当に自分の力だけで、宿題や勉強をこなしています。
反抗期まっただ中、何を考えているのかさっぱりわかりませんが、テスト前に夜中まで電気がついているのを見ると「何も言わないけど、頑張っているんだな」と思います。
それでもやっぱり8月31日が近づくと「手伝って…」と言われそうな気がして、今でもソワソワしてしまう私なのでした。
(ファンファン福岡公式ライター / 柴田真千子)