楽しみにしていたはずの幼稚園。でも始まった途端に連日の大泣き。通園バスの乗り場に連れていくだけで一苦労。バスに乗せるのは先生と母親の2人がかり。幼稚園の玄関では体をのけぞらせて全身で「拒絶」…。多くの幼稚園で見られる光景だと思います。現役幼稚園教諭であり、子育て中でもあるママが、そんな毎日を乗り切る方法をお伝えします。
不安に思わず幼稚園の先生を信頼して預けてみて
4月は、実は幼稚園の先生たちも気合を入れて、新入園児の受け入れに臨んでいます。
「今日は泣くかな? 泣かないかな?」と毎朝ドキドキしながら待っています。
通園に慣れないうちの朝は、お母さんも後ろ髪を引かれる思いでいっぱいでしょう。「まだ幼稚園は早かったかしら?」「幼稚園で何かイヤな思いをしていないかな?」と心配になるものですよね。
でも、まずは幼稚園の先生を信頼して託してみてはどうでしょう。
先生もプロ意識を持って、お子さんの笑顔を一分一秒でも早く引き出したいと思っています。 以前、私が先生として同乗していた園バスに、お母さんや私と格闘した末、自宅の玄関まで逃げ込んだ子がいました。私は追いかけて玄関に入り、抱っこしてバスに乗せました。お母さんとは
「お預かりします!」
「お願いします!」とアイコンタクトをしてお別れです。
さて、その子は幼稚園までの道のりをずっと泣いていたでしょうか? 実は、ものの数分で泣きやみました。
自宅に戻るほど絶叫して抵抗したけれど、他の子が泣いていないことに気付くと、スッとわれに返ったという感じでした。翌朝そのことを報告すると、お母さんはびっくりしていました。
また別の子の場合は、入園から2カ月の間、ママとの別れ際に泣いていましたが、バスの中で
「今日の涙はティッシュでふく? ハンカチでふく?」と尋ねると、
「ティッシュ」(or「ハンカチ」)と涙声で答え、私が涙をちょんちょんと拭いてあげると泣きやんでいました。
どのように泣くのか、いつまで泣くのか、というのは子どもによって違います。だから幼稚園の先生も一人一人に応じて対処を変えます。どうすれば早く泣きやみ、どんな話をしたら笑顔になるのか、先生同士で情報交換をしながら最善の方法を探ります。
お母さんたちは入園直後のわが子にいろいろな思いを抱くでしょう。 でも「ママも寂しいわ…」「ママだって行かせたくないの」などという言葉や振る舞いは、かえって子どもを不安にしてしまいます。 まずは「先生お願い!」とスパッと引き渡してくださいね。
登園拒絶が長引く、突然始まるときはこんな理由が
ただし、注意も必要です。
例えば、6、7月になっても全く変わらずに全力で拒否する、また、ずっと笑顔で登園していたのに突然泣くようになる、などの場合です。
このような場合には、担任の先生と連絡を取り合って原因を探ることをおすすめします。例えば、幼稚園バスで気分が悪くなったり、イヤな思いをしていたり、クラスになじめない、集団行動が苦手、先生や友達が怖いなど。いろいろな理由が考えられます。
また、お母さんが下の子を妊娠出産したのを機に赤ちゃん返りして、突然登園を拒否するようになる子もいます。家庭環境が不安定になり、その影響が出る子もいます。
幼稚園ではそんな一人一人の背景に気を配りながら、それぞれが気持ちよく過ごせるようにと対応していきます。 幼稚園児は、まだまだ自分の気持ちを言葉でうまく表すことができません。園バス拒否が長引く場合や突然泣くようになった場合には、幼稚園と連携を取りながら注意深く観察してみてくださいね。
(ファンファン福岡公式ライター/nanako)