今日は・・・ 医学用語について真面目に考えてみましょう。 ある日の外来。 『鼻に何かできた。』と患者様が受診されました。『鼻の中がなんか痛い。』そうです。
定石通り問診を進めたところによると、症状が出現したのは前日から。 肉眼的に鼻そのものに赤みや腫れはない。 熱感もない。 さて何だろう? 細菌感染? ヘルペス? 毛包炎? 鑑別疾患を一通り思い浮かべながら、鼻の穴の中を診察。 ・・・なるほど。 これは・・・ どう見ても鼻ク●である。 でっかい鼻ク●が穴を塞いでいるのだ。 聞いてみると、やはり前日、ご自分で鼻をほじったとのこと。 そのほじり方が余程乱暴だったのか(苦笑) 鼻腔粘膜を傷つけちゃったんでしょうね。
そしてこの方の場合、普通より鼻毛が濃くて長かったのも重なり、傷からの浸出液が大量の鼻毛を巻き込みながら固まってしまったために、鼻腔粘膜が引っ張られて痛みが出ていた模様。 ・・・原因は分かった。じゃあ、治療はどうする? ・・・って。鼻ク●取るしかないじゃーん‼ というわけで。 診察ベッドの上で。もっともらしく。看護師さんにライトで照らしてもらいながら。小外科手術用の細いピンセットとハサミで、鼻毛をチョキチョキ。巨大鼻ク●を無事摘出し、診察終了。 ・・・そして私は頭を抱え込んだのです。 『カルテにどう書けばいいんだ?』
所見はまあ、ありのままの状態を記載するとして。診断名は?処置内容は? 結局いい案を思いつかなかった私は、堂々と『鼻ク●』と記載し病棟回診に戻ったわけですが。やっぱり気になって仕方ないので、後から調べてみました。
なーんだ。カルテという公文書に「鼻ク●」と記載することに、いささかの恥じらいを感じたりして損した(笑)そもそもこのコラムも、「鼻ク●」なんて伏せる必要もなかったという(^◇^;) 診断名:鼻クソ栓塞(栓塞=塞栓、詰まること) 処置:鼻クソ摘出 皆さん、鼻掃除はほどほどに。。。そして、もし何かあった場合は・・・鼻のトラブルは皮膚科じゃなくて耳鼻科ですσ(^_^;)
武田りわ
福岡市城南区梅林にある「タケダビューティークリニック」院長。 お酒と旅と家族をこよなく愛する皮膚科医・美容皮膚科医。 美容医療と漢方、オーソモレキュラー医学(栄養療法)を取り入れた統合治療に注力。