創業50年以上の名店の秘密に迫る企画【老舗探訪】。 今回は、創業70年、市内初の蕎麦屋「古式生そば ひさや」をご紹介します。
福岡市で初めての蕎麦屋 食料不足のため、麺類といえば海藻で作られた簡素なそうめんが主流だった戦後。 田中惣十郎さんは自身の人脈を頼りに何とか食材を調達して、1946(昭和21)年に妻・ひささんと市内初の蕎麦屋を開店しました。 当時から手伝いをしていた惣十郎さんの息子、現在店主を務める五郎さんが本格的に厨房に立ち始めたのは20歳の時。現場で料理の腕を磨きながら、休日は他店を食べ歩いて研さんを積みました。 創業時から不動の人気「A丼」、幻の「B丼」
イワシ、サバ、うるめ、カツオの薫製と天日干しを日によって使いわけてダシをとります。 この道65年の店主が作る蕎麦はもちろん旨いが、ひさやの名物は実は創業当時からある「A丼」です。四角いさつま揚げを天ぷらにして、青ねぎと卵でとじる「A丼」は「A(ええ)丼で、A級の味」と田中さん。玉ねぎだけをのせた「B丼」は開店して数年でなくなったが、「A丼」は今も昔も変わらぬ売れ筋です。 老舗のひとこと 常に顔を上げて前を向き、工夫を続けること。麺を湯から上げるタイミング、提供のスピード。すべてはお客さまに喜んでいただくためです。 2代目 田中五郎さん 《古式生そば ひさや》 福岡市博多区店屋町5-11 TEL/092-281-1263 営業時間/11:00~19:00 店休日/日曜