小学2年生の息子の同級生Rくんはとっても乱暴者。教室にある机をひっくり返す、お友達とケンカする、言葉遣いもとても乱暴です。そんなRくんのお母さんから聞いた、家での様子に「人は見かけで判断しちゃいけない」と感じた出来事です。
乱暴者のRくん
息子と同じクラスのRくん。学校の備品を壊したり、お友達と叩く・蹴る・物をぶつけることは、日常茶飯事の乱暴者です。大人にも
「うるせぇ!」
「しね!」などと暴言を吐いてきます。しかし私の息子がRくんと仲良しなので顔見知りです。授業参観日は、Rくんから話しかけられないように、会ってもできるだけ目を合わせないようにしていました。
先日Rくんのお母さんと久しぶりに会いました。色々と世間話をしているとお母さんは、困ったような表情で
「この前担任の先生から電話がきて、Rが友達を叩いたり蹴ったりしたあげく、物をぶつけてケガをさせたみたいなんです」と話し始めました。
「先生に怒られて逆切れして…『Rくんは感情のコントロールが難しいようです』と言われてしまって…」と悲しそうなお母さん。詳しく話を聞くとRくん自身も怒りが収まらない時、パニックになって自分の腕を噛んだりしているそう。
Rくんをお母さんの妹に預かってもらった時は従兄弟同士でケンカして、乱暴な言葉遣いをしていたので
「Rヤバいよ」と妹からも言われてしまったそう。
「ここまでくるとRに何か憑りついているんじゃないかと思って。それで口コミで評判のお祓いにまず行ってみようと思っているんです…」とお母さんは心底不安そうに話していました。
「お祓い」の言葉にびっくりしましたが母子ともに、特殊な力を借りたいほどに困った状況であることがひしひしと伝わってきました。
同じ習いごと
こんなRくんの乱暴者エピソードを聞くたびに「息子とあまり仲良くしてほしくないな」とこっそり願ってしまいます。
ところが息子とRくんは非常に仲良しで、ついには同じ習い事にも通い始めてしまいました。
ある日息子のお迎えに行った時、同じくお迎えにきたRくんのお母さんに出会いました。毎週習い事のお迎え時間は夜遅く、帰ってくる子どもたちはお腹ペコペコの絶頂です。急いで帰って食事を食べさせなければなりません。
Rくんのお母さんも
「今日は帰ったら、Rが弟とお風呂入っている間にお魚焼かなきゃ」などと言っています。その時のR君のお母さんの言葉に耳を疑い
「え? R君って弟君と二人だけでお風呂入っているんですか?」と思わず聞いてしまいました。
意外な一面
というのも、プールで溺れる小学生のニュースをテレビで見る度に「小学校低学年を風呂とプールで一人にしちゃいけない」と肝に銘じてきた私にとっては信じがたい話だったからです。
Rくんのお母さんは
「そうなんですよ。弟の頭、豪快に洗うんですけどね。弟も大人しく黙って洗われてて。アハハハ」と、楽し気に教えてくれました。
Rくんのお父さんは公務員。飛行機を乗り継いで何時間もかかる場所に単身赴任をしています。
お父さんが子どもをお風呂に入れたり面倒を見ている隙に、お母さんが食事の支度をしてしまう、というご家庭が多いのだと思いますが、母子家庭やワンオペ育児ではそうもいきません。
Rくんは大人同士の会話の中で自分が話題に上っていると知っていても、隣であっけらかんとしています。弟の面倒を見る事は、もはや当たり前になっているのかもしれません。
見直したよ!
偶然知った乱暴者Rくんの意外な優しい一面。「子ども心に家庭の事情を何となく察したのではないだろうか」「母さんの負担を軽くするためにRくんなりにがんばっているのではないだろうか」等と思いを巡らせていると、なんだか切なくなってきました。
この一件以来、今まで苦手で避けきたRくんが、急に頼もしく、よりお兄さんに見えてきたのです。
Rくんに会うと私の方から話しかけたり、挨拶をしたりする回数も増えました。
「人は見かけによらない」と言いますが、「子ども」も「見かけによらない」ことを学び反省しました。
(ファンファン福岡公式ライター/ダイワ エノ)