「ママ」「お母さん」「おふくろ」など、母親の呼び方はさまざま。小さい頃は「ママ」と呼んでいても、大きくなるにつれて呼び方を変えることは珍しくありません。小5になった長男は「ママ」と呼んでいますが、いよいよお年頃なようで、呼び方を気にするようになりました。
「学校ではママって言わない」宣言
長男は小学5年生。新学期が始まってすぐ
「ぼく、学校ではママって言ってないんだ」と、私の反応を伺うように言い出した長男 。
「そうなんだ」と軽く返事をすると
「何となく『お母さん』って言ってる」と続けました。
「いいんじゃないの? 学校ではお母さんって呼んで、家では好きに呼んだらいいよ! 大人になると、外では『母』って言う人もいるよ」と言うと、なんだか安心したような表情の長男。
その後、家では変わらず「ママ」と呼び、学校では「お母さん」と呼んでいるようでした。
そして11月に、小学校で親子学年行事がありました。親子でしめ縄リースを作るという活動です。長男に特に何か言われたわけではありませんが、私は行事のときに自分のことを「ママ」と言わないように気を付けないと、と思っていました。
長男が前に「学校ではママって言わない」と言っていたので、それを守らなくてはと思ったのです。
やんちゃな少年や硬派な野球少年は…
学年行事当日。体育館で、クラスごとに大きな輪になって、親子でリース作り。私は自分のことを「私」と呼ぶように気を付けました。家でも自分のことを「私」と言うこともあるので、長男は特別気にしていない様子でした。
リースにリボンを付けたり、造花を付けたりと、長男と一緒に試行錯誤しながらの作業。
「なかなか難しいね」など話しながら作っていると…
「ママー!」と大きな声が。
ふと顔を上げると、クラスで一番やんちゃなAくんが、飾りを持ってお母さんに呼びかけていました。その後何度も
「ママ、これは?」
「ママ、こっち来て」と話していたので、私はちょっと意外だなと思いました。
すると今後は、硬派な野球少年Bくんが、私たちに話しかけてきたのです。
「〇〇(長男)、どこまでできた? おれ、ママに今やってもらってる!」と話す野球少年。この子も「ママ」って呼ぶんだ… と驚いた私。
長男はさほど気にした様子もなく過ごしていたので、呼び方についてはもう忘れているのかな… と思いました。
ざわついていたせいか、周りも特別に「ママ」の呼び方を気にしている人はいないようでした。私だけが過剰に気にしていたのかなと思ったほどです。
長男と拍子抜け
家に帰って夕食のときのこと。
「ねぇ、みんな普通に『ママ』って呼んでたね」と長男に言ってみました。すると長男は
「ね! びっくりした! Aくんがあんな大きな声で『ママ』って呼ぶの意外だった!」と目を丸くしながら言いました。
「Bくんも意外だったね」と私が言うと
「わかる! Bくんは『ママ』って呼んでないと思ってた」と長男。
学年行事の場では、呼び方について気にしていないのかなと思っていましたが、どうやら長男も心の中で驚いていたようでした。
それから長男は
「あんまり気にしなくてもよかったんだね」とほっとしたような明るい表情で言いました。
「ママが気を使ってたの、気付いてた?」と聞くと
「うん、ありがとう。わかってたよ」と長男。
「ママ」と呼ばれなくなる日まで
気付いていながらそんな素振りも見せなかった長男には少し驚きました。友達の呼び方についても、驚いた感情をその場では隠せるようになったのかと成長を感じたものです。
小さい頃からずっと「ママ」と呼ばれてきたので、いつかそう呼ばれなくなると思うと寂しい気持ちがあるのが本音です。しかし、これからも長男の気持ちを大事にしながら 、大人になっていく手伝いができたらいいなと思います。
(ファンファン福岡公式ライター / ちこた)