インフルエンザに罹った兄夫婦が、中2と小2の子ども達の世話をしてほしいと、高齢の母にヘルプ要請をしました。その結果、母も感染してしまうことに…。そこで義姉がとった態度がどうしても許せなかった体験です。
インフルエンザに罹った兄夫婦
70代半ばの私の母は、優しい性格です。独立自主の精神で1人で暮らしています。わずか150mほどの距離に私たち家族が住み、電車で40分ほどの所に兄家族が住んでいます。兄は気の強い嫁に主導権を握られており、色々と母に頼りがちなところがあります。
冬のある日、兄から「夫婦でインフルエンザに感染した」と母の元へ電話がありました。
「子ども達の世話をしに来てほしいと言われたから、今日は帰らないかも…」。と、母は私に連絡してきました。不在時には必ず連絡をするようにしてくれていますが、今回は不在理由が心配でした。
母は花粉症以外は健康で、何十年もインフルエンザに罹ったことすらなかったので
「うつったらどうするの?」と強くは反対できず…。私はやんわりと止めましたが、
母は
「大丈夫よ」と全く気にせず兄の家へと向かい、泊まって子ども達の食事の支度をしてきたということでした。
70代の母も体調不良に
数日後、母は体調不良を訴え、風邪薬を持っているかと私に連絡をしてきました。
「どうやらお兄ちゃんのとこで、もらっちゃったみたいなの」と言い、そこから5日近く母は熱を出し寝込んでしまいました。母の発熱は実に数十年ぶり。38度前後の熱でしたが、娘の私が驚き、慌てました。
「インフルエンザだと思うから、とりあえず病院に行こうよ」と心配する私に
「寝ていれば大丈夫よ。病院に行くのはかえって負担」と言う母。
市販薬を渡し、毎日、様子を見に行き、ゴミ出しや食料補給をしました。
「もう少し強く反対しておけばよかった」と思う私に反し
「インフルエンザにかかるなんて… 私も弱くなったものね」と悔しがる母。弱っていながらも、強気な発言をしているので、少しほっとしました。
義姉から電話が
発熱して5日目。だるさも食欲不振も抜け、ようやく元の生活に戻れそうになってきた頃になって、義姉が母に電話をしてきました。兄は2日おきに母へ電話をしてきているのだから、義姉が知らなかったとは思えません。でも、今更というタイミングで連絡してきたのです。
聞き耳を立てるつもりはないけれど、聞こえてくる様子では、義姉は電話の向こうで謝罪しているようです。
「もう大丈夫だから気にしないで」と嫁を気遣うように話をする母。
特に私が毎日通っていることも告げず
「わざわざ連絡ありがとう」とお礼を言って、母は電話を切りました。
「休んでしまった分、夫婦共に仕事に戻って忙しいみたい」と私に話す母は、電話1本で済ます嫁に対する不満一つ言わないのです!
そんな母に代わって、腹を立てる私。何だか、兄夫婦の身勝手さのとばっちりを受けた気分になってきました。
義兄夫婦に怒り爆発!
当時、兄夫婦の子どもは14歳の娘と8歳の息子。14歳にもなる娘がいながら、なぜ高齢の親に子どもの世話を頼むのか… 正直呆れてしまいました。
兄と義姉は、上の子が生まれた時から、親を使い勝手のいいお手伝いさんにしており、今回も案じたのは老いた親ではなく、わが子の食事のことだったのです。
14歳の娘に頼んでコンビニでお弁当を買ったり、スーパーで必要なものを買えば済んだことなのではないか… と感じてしまいました。
母の具合が悪くなって、看病を兼ねたお世話をすることが嫌だったわけではありませんが、母は気を遣って私に世話になったことは伏せていました。そして兄も義姉も電話1本で済ませたのです。私の怒りの行き場もなければ、兄夫婦から謝罪もない結果となりました。
それ以来、感染力の高い病気が流行ると、母は
「うつされたくないから…」と、私には言うようになりました。
そのセリフは兄にも義姉にも同様に、いいえ、必ず! 言ってほしいと強く思っています。母に似ず私が狭量な人間なのか、母が「外面満点の女」だからか…。その両方だと私は思っています。
(ファンファン福岡公式ライター / 文月)