九州国立博物館で開催中の特別展「宗像・沖ノ島と大和朝廷」の見どころを日本神話のエピソードとともに紹介するシリーズ「日本神話×沖ノ島展」。第2回目のテーマは「黄泉の国」です。
前回、男神イザナキノミコトと女神イザナミノミコトが矛で海をかき回し、日本国土を産んだことを紹介しました。二人の神様はたくさんの神々を産みますが、火之神を産んだ時にやけどを負ったイザナミノミコトが亡くなってしまいます 。嘆き悲しんだイザナキノミコトは妻を追って死後の世界、黄泉の国を訪れますが…。
男神イザナキノミコトは亡くなった女神イザナミノミコトを追いかけ、死後の世界である黄泉の国へと向かわれた。暗闇の中でイザナミノミコトは、「私はもう黄泉の国の食べ物を食べてしまい、もとの世界へはもどれません。どうか、私の姿を見ないで下さい」とお伝えになった。しかし、イザナキノミコトは聞き入れずに火を灯されると、眼前にはイザナミノミコトの亡骸(なきがら)が横たわっていた。(『日本書紀』巻第一より) 古墳時代の中頃(5世紀)から、埋葬の時にお墓の中に土器 を一緒に入れるようになりました。 この器は中に サザエ が入った状態で発見されました。サザエのふたもあったことから、中身が入った貝が供えられたと考えられます。
こちらはミニチュアのかまど。やはりお墓の中から発見されたものです。高さは20cmほどで、実用品よりかなり小さく、死者のために作られたものだと分かります。
二つの発掘品から、古墳時代の人たちは亡くなった人も死後の世界で食事をする、と考えていたことが読み取れます。 ちょうど私たちがお墓に食べ物やお菓子 をお供えするのと同じですね。 そして神話の中でもイザナミノミコトが「黄泉の国の食べ物」を食べています。 死者が死後の世界で食事をする、という考えは、土器をお墓に納める風習などとともに、朝鮮半島から来た人々の影響を受けて定着したと考えられています。 古代の世界 でも海を越えて人や文化が行き交い、互いに影響し合っていたのですね。 特別展「宗像・ 沖ノ島と大和朝廷」 ■開催日 2017年1月1日(日・祝)〜3月5日(日) ※休館日:毎週月曜日 ■料金 一般/1500円、高大生/1000円、小中生/600円 ■お問い合わせ 九州国立博物館 ハローダイヤル 050-5542-8600(8:00〜10:00/年中無休) http://www.kyuhaku.jp